3月5日 異常震域! デュークVSザリアス  編集:大使


3月5日夜、9時半頃のこと。
銀河共和国領惑星バルモラの代表としてカフェ『パーティー』を訪れていたドサイドン、ザリアスは島の広場に来ていた。
この島でできた友人からバトルを申し込まれたためである。
今日は島滞在最後の日、彼としては最高のバトルにしたかった。
ザリアスは銀河共和国におけるドサイドンの、自分の武器である槍を地面に突き刺し、相手の到着を待った。
暫くして、彼の後ろに殆ど音もなく誰かが着地した。


デューク「・・・今日は一人なんだ?」
ザリアス「実にロマンチックな登場だな? デューク。」


そう、ここでできた“友人”の一人である黒い巨大サイドン、デューク。
月を背に立つその姿は、実に神秘的に見える。
ザリアスの言葉に対し、デュークは90度に届きそうなくらい首をかしげた。


デューク「ロマンチック・・・かぁ?」
ザリアス「・・・・ヨルノズクかね君は」
デューク「そうか、では羽根でも生やして飛んでやろうか?(ニッ)」
ザリアス「できるのかね?」


苦笑いを浮かべ、冗談だろうと言うかのように両手を広げるザリアス。
実際、デュークはオメガ化という彼の特殊技能を使うことで飛ぶことは可能だ。
だがデュークは首を元に戻し、横に振った。


デューク「・・・いや、止めておくか。流石にお前さんの前じゃ見せたくない」
ザリアス「私では信頼できない、そういうことかな?」
デューク「・・・そうじゃないよ;」

ハッハと笑い声をあげるザリアス。
対するデュークは苦笑交じりに両手を広げ、ザリアスに応じる。


ポケマニ(1175)「ぁ、いましt・・・あれ、今日は皆さんは居ないみたいですね。」


▼あ! やさいの ポケマニ が あらわれた!
・・・・ではなくて、“やせい”。
・・・・・でもなくて、ここで魔道師のポケマニが広場にやってきた。
因みに彼の言う“皆さん”とはザリアス率いるサイドン達、バルモラ戦士団のことである。
ザリアスはデュークに対しこれ以上言及するのを止め、ポケマニに目を向け愛想の良い笑みを浮かべて見せた。


ザリアス「今日は島の観光に行っているよ。」
ポケマニ(1175)「うぃ、そうですか。」
デューク「島の観光かぁ・・・火山あたりをぞろぞろと歩いてるのかなぁ・・・。」

腕を組み、考えるように火山を見上げるデューク。
やはりサイドンという同族として、気になるのだろうか。
そんな彼に、バルモラ代表のドサイドンは微笑みを浮かべて同じように腕組みする。

ザリアス「そういえばデューク・・・・私と、戦いたいそうだな?」
デューク「おっと、あいつ、ちゃんと話してくれた様だなwま、そのとおりだよ。」


冒頭で話した、バトルを約束した“友人”とはデュークのことである。
数日前に、デュークはこの島で唯一コンタクトの取れるポッターを介し、彼にバトルを申し込んでいたのである。
ザリアスはデュークに頷いて、地面に突き刺していた全長3.5メートルもの長めの槍を片手で引き抜いた。


ザリアス「さて、ガラントスから少し聞いたとは思うが、我々は槍を武器として戦ってきた。」
デューク「・・・成る程、最後は趣向を変えて・・・か。」


ザリアスの間接的な“ルール説明”をデュークはすぐに理解した様子で、彼は背負っていた風呂敷の中をまさぐり、何かを探し始める。
因みにザリアスの言うガラントスとは、ポッターの本名のことである。
興味があるのか、試合を観に来たポケマニがふむと首をかしげる。


ポケマニ(1175)「・・・得意武器も有の戦い、ですか。」
ザリアス「君の星の武器も見てみたい。」
デューク「・・・流石に此処でも発砲はまずいよな。」


独り言のように呟き、デュークが風呂敷から取り出したのは彼の特製武器である“ギガスアーム”。
この大砲は戦車砲並みの破壊力を持ち、砲身の先端にブレードを装備すれば巨大な槍にも変身するある意味何でもありな“チート武器”である。
しかし普段豪快なデュークも流石に考慮したのか、その砲身を半分ほど出したところで風呂敷に引っ込めてしまった。
・・・・・風呂敷がどれだけ大きいんだ!という突っ込みをしてはいけない。
代わりに出したのは刃元にドラゴンの棘を思わせる鋭い突起物があり、刀身が接触したもの全てを焼き尽くす獄炎の如く紅い、焔刀ファルシオンだ。
彼はそれを鞘ごと背中に背負い、ザリアスに向き直った。


デューク「んじゃ、ワシはこれで行かせて貰う。」
ザリアス「では・・・・楽しませてもらおう。(槍を頭上でぐるぐると回し、構え)」
デューク「んじゃ、死なない程度に頑張ろうな?(体を低く構え、ドリルを回転させ始める)」
ザリアス「勿論だとも。(ズシンと一歩目を踏み出し、徐々に速度を上げデュークに接近)」
ポケマニ(1175)「ふみゅ・・・。」


デューク、ザリアスがそれぞれ手にしているのは立派な“武器”であることを忘れてはならない。
両者が本気を出せば、それはもう恐ろしい光景になるのは目に見えている。
お互いの健闘(?)を祈り合い、二人の戦いは始まった。
ザリアスは槍を頭上でぐるぐると空気を斬るように回し、対するデュークは右手で刀を真正面に構え体勢を低くし、頭のドリルを回転させ始めた。
二人は暫く睨み合い、間隔をゆっくりと詰めていった。
開始後丸々1分経った頃だろうか、デュークは左手を剣の柄に触れさせ、低い体勢のままザリアスに不意に突進した。


ザリアス「はっ!」


即座に迎え打つザリアス、彼はデュークの剣より長い槍を勢い良く相手の胸部目掛けて突き出した。
デュークは仕方なくその場で素早く右にサイドステップし回避、槍がギリギリ届かない距離を維持しつつ、相手を中心に円を描くようにゆっくりと歩く。


デューク「・・・流石に槍は間合いが遠いな。そこでは届かん;」
ザリアス「槍の長所はリーチの長さだ。斬撃が出来ない分、それでカバーしている。」


・・・いや、届く事には届くが・・・岩タイプだから効果が薄いんだ。
二人のやり取りを見ているポケマニは、そう感じた。
彼も槍のような武器、“ハルバード”を持っているため、解るのかもしれない。
それでも、二匹の戦いは続く。
お互いエンジンがかかったのか、ザリアスは槍で素早く連続的にデュークに突きを入れ、デュークはサイドンとは思えぬ素早い身のこなしで巧みに攻撃を回避していた。
この一見、終わりそうも無い戦いが永遠に続くものと思われた。


デューク「成る程。では此方も・・・」


しかしデュークが動いた。
彼は突きの引き際を狙い、一気に間合いを詰めたのだ。
間合いを詰められることが槍使いにとってどれだけ厄介なことか熟知していたザリアスは、反射的に自分の武器を右肩から左足を防御するように斜めに構え防御体勢に入る。


ザリアス「おっ、君も素早いな・・・流石、共和国が一目置くのにも納得がいく。」
デューク「ふふ、お褒めの言葉をどうも!」


デュークは笑って応じ、剣を勢い良く振り下ろした。
それをチタニウム合金よりも硬い槍の柄で受け止めたザリアスは、衝撃で1メートルほど後方に下がった。
彼の足が小さな地響きを立てる。


ポケマニ(1175)「一進一退・・・か」
デューク「しぃぃ!」
ザリアス「ハァーッ!!」


サイドン、ドサイドン独特の重みのある力強い雄叫び、そして各々の武器が交差し両者は激しく切り結んだ。
ガチガチという金属同士が押し合う音と、二人の荒い息遣いのみがフィールドに響き渡る。
両者は相手が次にどう出るか、見極めている様子だ。


デューク「ぬっ、そういうときは・・・」
ザリアス「むっ!」


しかし、またもデュークの方が動いた。
彼は刃を少し傾け、槍の柄上を滑らせてザリアスの持ち手を狙った。
ザリアスは反射的に右手を離したが一歩遅く、刃は彼の頑丈な岩皮を数ミリ削った。
武器は左手で支えたものの、ザリアスは当たった右手を痛そうにフリフリと宙に振った。



ザリアス「おぉ・・・一本取られたな; 見事だ、デューク」
デューク「・・・切れないあたりは流石にお互い岩タイプ・・・こういうときは便利だな。」


まさにデュークの言う通りである。
岩タイプだからこそ、このような本格的な武器を用いた戦闘が可能なのである。
その他に鋼タイプも可能だが、それ以外のタイプのポケモンは決してマネをしないように。
人間? 勿論、論外である。
二人の戦士は再び距離を置き、武器を前面に出して構えた。


ザリアス「では・・・・2本目!」
デューク「さっきのは大昔に人から教わったもんだが、今度はかなり自分勝手にやってみるぞ?」
ザリアス。0(む?・・・初めて見るスタイルだが・・・)「・・・・サァーッ!!」
ポケマニ(1175)「・・・ふみゅ?」




ザリアスはドサイドンの持つ全体重をかけ、デュークに槍を振り下ろした。
ここでポケマニが異様な気配を感じ取り、背後の茂みを見やった。
彼にしかわからない、魔力的オーラがそこから漂ってきていた。



ポケマニ(1175)「・・・銀翼さんか、この気配は。」
銀翼「・・・・・・。」



たしかに銀翼の姿が、茂みにあった。
しかし彼はポケマニの呟きに、何の反応も示さない。
ポケマニがフィールドに目を戻したとき、ちょうど二人の戦士が同時に相手に攻撃を仕掛けたところだった。



ザリアス「チェック!」
デューク「あんたもw」



デュークの背にバルモラ戦士の矛先が、そしてザリアスの喉元に漆黒の巨大サイドンの剣が触れた。
両者がピタリと、まるで彫刻の如く静止する。



ポケマニ(1175)「・・・相打ちみたいですね。しかし・・・凄い攻防。」
銀翼「・・・・・・・・・。」
デューク「ふむ、そのようだな;・・・いつまでもこの状態だといつ間違いが起こるかもわからん;せーので引くぞ?せーのっ!」



デュークの合図で、双方同時に武器を引いた。
ザリアスは槍を自分の右肩に預け、焔刀ファルシオンを鞘に収めるデュークに微笑んだ。



ザリアス「君の実力は素晴らしい! 神々もきっと喜んでくれるに違いない」



そして、両者は歩み寄り力強い握手を交わしたのだった。