8月5日 2013年夏祭りバトル大会!(第3試合 瘴気の眠り VS ルエケム)  編集:Rista


 日付が変わって間もない丑三つ時。
 第2試合の少し後、模擬店の営業が一段落した森の広場で、次の一戦が幕を開けようとしていた。

オルム「ん……(こちらはもう決めてあるようだ。MBを手に取る)」
龍音「では、此方で。(ボールを一つ手に取った。)」
 今回勝負するトレーナーはこの2人。
 毒ポケモン使いで知られる少女、オルム。毎年スイーツの屋台が好評な【海蛇】店主の龍音。
 互いに向き合ってから、それぞれモンスターボールを取り出し、投げた。

オルム「ん。……行け(MBから、筝が現れた!)」
筝「あらほらさっさ! 何か久々の出番! カフェデビュー!! 待ってました!! しかも夏祭りの初戦とかもうあたしオルさまパーティの先鋒とか代表的存在とか代名詞的なんちゃらで良いような気がする今日この頃!!」
 飛び出してきたのはミミロップの筝。
 ところが、出したトレーナーがどうも腑に落ちない様子だ。
オルム「…なんで(」(←瘴気を出したつもりだった)
筝「瘴気君は衰退しました!!!」
オルム「…………………………………………(」

龍音「…事故ですか?;(此方が放ったボールからは、)」
ルエケム「ふしゅるるるっ。(舌をチロチロ。ハブネーク!)」
オルム「うん…」(←毒ポケ同士で対決したかった)
筝「(シャドーボクシングしながら)ヘイ蛇野郎! 蛇対決ならオル様の方がデカくて可愛いぜ!! 幼女とかポイント高いよね!!」
龍音「……。如何しますか。(」
ルエケム「可愛くてもなあ…(♂であった。)」
 始まる前から対戦相手の困惑を誘ってどうする。
 ちなみにオルムの本性というか元々の姿が蛇だという噂もあるが、本筋に関係ないのでここでは追及しない。気になる方はご自身の目で確かめていただきたい。

 さて、これからどうする?
 → たたかう
   ポケモン

オルム「交代していいなら瘴気にする。」
筝「えーt!!?;」
 せっかく出てきたのにそれはないよ、の気持ちを全身で表す筝。
筝「オルさまぁ! あたし頑張りますから! 捨てないで下さいよぉ!!」
オルム「瘴気にする(…)」
筝「………………。かくなる上は……」
 かたくななトレーナーに業を煮やし、筝が執った手段は、
筝「先手必勝ォー!!!(常識破りの先制電光石火でルエケムへ向かいかけた…ところでMBに戻された( )」
 見事に阻止された。
廻「……事故、っていうのも、あるんだ……;(屋台のテーブルで丸くなりながら、ぽつり。()」
歌音「……廻ちゃん、観戦したいのはわかりますけど、そろそろ帰りますよー……?;(」
えんら「あいー、まだあすだなー。」



 気を取り直して。
オルム「お待たせ(何事も無かったかのように龍音達を見て。MBから瘴気の眠りを繰り出す)」
 改めて繰り出されたのはゴルバット。今度こそ決めていたポケモンのようだ。
瘴気「…………何かな、主。我、アイツにだけは何かを言おうと思わないのだ…;」
オルム「…………私も正直…(」
龍音「…。」
ルエケム「交代だ?」
龍音「というか、「なかった事に」でしょうか。(」
ルエケム「そっか…(ふしゅるるる。)」
 対戦相手が承認すれば仕切り直しも認められる。
オルム「(とにかく、準備はできたようで。ルエケムを見る)…金縛りと、特に蛇睨みには気を付けて。それさえ防げば、相性的にもあなたが有利なはず。」
瘴気「フン。……蛇か。蛇だとディスれんな(……」
ルエケム「他ならディスるのか(」

オルム「開始の合図は、そっちに任せる(」
龍音「では、始めましょう。行きますね。(言ってから、)ルエケム、行ってください。」
 ルエケムが動き出した。しゅるるっ、と低く地面を這って瘴気に迫る!

瘴気「フン(真下へエアスラッシュを放つ! 巻き起こる砂埃と強烈な風で、ルエケムの視界を奪おうと! その間に滑空する様にしてルエケムから距離を取り、周囲を旋回するようにして動く)」
ルエケム「!(しゃあっ、と威嚇音。砂埃に突込んだ。)」
 強風に巻き上げられた砂埃が厚いベールになる。進化形のクロバットほどではないが、ゴルバットも素早さは高い。

龍音「ルエケム、外から狙われますよ!」
オルム「被せて」
 龍音が叫ぼうとした瞬間、瘴気の口から、脳を掻き回すかの様な怪音が発せられた!
 こうもりポケモンにはおなじみの攻撃、『嫌な音』だ!
龍音「……。(む、と耳を片方押さえて口を噤む。)」
ルエケム「(ゴルバットなら判るか、音が跳ね返る感じがない? 直後、)フシャアアッ!(と業とらしいまでに大声を上げて瘴気を威嚇しつつ気を引き、砂埃からは離れた地面からルエケムが飛び出した!)」
 こちらも砂埃を目くらましにしてみせた。音波の直撃から逃れたルエケムが、トレーナーたちの見える場所に姿を現す。

瘴気「穴を掘ったか。だが――」
オルム「……気を付けて」
瘴気「陽動か? フン。次の我が手は変わらぬわ!(その場から大きく移動しながら、ルエケム目掛けて嫌な音! 龍音が何か伝えようとするのを許さない!)」
龍音「…;。(むう、と口を閉じたまま。ずりずりと少し後ずさって距離をとる。)」
 いろんな音が混ざっているゆえの“嫌な音”。今度は音の壁が龍音とルエケムの間に立ちはだかる。
 しかしルエケムは止まらない。音波を浴びせるために自分の方を向いた瘴気を睨んだ。『蛇睨み』だ!

瘴気「おっと…(こちらを見ようとしているのに気付けば、即座に降下。視界から外れる。夜の空中という圧倒的なアドバンテージでかつ、ハブネークに勝る速度で、距離も取っているならば難しい事では無い。代わりに、降下する此方へ視界を向けようとするルエケムへ怪しい光を放つ! 光を盾として、蛇睨みの追撃を防ごうと!)」
 ちら、と動いたからか。オルムはパートナーから視線を一旦外し、龍音を見始めた。
 瘴気の方も先ほどトレーナーから言われた通り、今のところは蛇睨みを警戒して動いているのか、相手から視線を外している。

龍音「なかなか当てさせてはもらえませんね・・・(横へ数歩移動して、瘴気の様子を見上げている。)」
 こちらも様子見なのか。
 ルエケムの方は、ぺたりと地面にへばりつくように低くした姿勢は変わらない。瘴気の方へ顔を向けたまま後ろ向きに這いずり、光を浴びないようにするのを優先して追いかけるのは諦めた。

オルム「逆風。」
瘴気「心得た!(ばさりと翼を羽ばたかせ、滑空し、速度を生かして素早く上下左右へと動きながら、ルエケムへ迫る!)」
 一言の指示で瘴気が動き出す。

龍音「ええ、と……(爪先で地面を叩きながら考える。)」
 一方ルエケムは……龍音が何も言わないのに動き出す。
 しゅっ、と息を吹き、再び地面に『穴を掘』って潜った!

オルム「嫌な音。」
 すかさずオルムがたたみかけるように指示を出すと、瘴気も呼応した。穴の中目掛けて、かなりの至近距離から嫌な音を響かせる!
 反響音でとんでも無い事になっているであろう内部をよそに、響かせればすぐにその場を離れて距離を取った。
龍音「捕まえられないとどうしようもないですね。(腕組みして止まった。)」
 まだルエケムが地面から出てくる様子はない。
 『穴を掘る』といえば1ターン程度待ってから時間差攻撃を仕掛けてくる技だが……?

瘴気「フン、もう一撃――」
オルム「……逆風。真上から。周囲は十分に警戒して」
瘴気「む…? 了解した!」
 ふはははは、と高笑いを上げながら、瘴気は真上から穴へ接近する。
オルム oO(調子に乗り始めてる…。まずいかな…)
 トレーナーが慎重に場の状況を見ようとしたとき。

 穴の中からの光。
 瘴気が直接真上に来るのを見上げるルエケムが、もう一度『蛇睨み』を発してきた!

瘴気「予想通り出て来たぞ、主(獲物の察知は音波をもってしている。穴の入口にいるのを確認すれば、即座に声をかけ)」
オルム「…飛びかかって来ると思ったけど。…まあ、良いか。エアスラッシュ」
 翼を高らかに後ろへと構えた瘴気。そこから全力の、暴風じみた『エアスラッシュ』を放つ!
オルム「……(思ったよりタイミングが遅れた。大丈夫かな…)」 (1D100で蛇睨み命中したかの判定。30以下で回避。0があるかどうかは知らんが、出たら100として扱う) (1D100 → 43 = 43)
瘴気「……ち、避けきれなかったか」(こちらは蛇睨み命中により麻痺!)
 暴風の直撃によって地面が削られ、穴の入り口が崩れた。
 瘴気自身は技の反動で穴から離れた位置へと移動したものの、『蛇睨み』はしっかり見てしまったようだ。飛び方が不安定になっている。

オルム「…喰らったけど。時間か」
 ここで試合終了。



龍音「ううん、まともに捉えられませんでした。(とんとん、地面を叩く。)」
 龍音の動作を合図に、ルエケムが地面に引っ込めていた首を再び出して、這い出してきた。ぷるぷると首を振っている辺り、攻撃が当たってはいたらしい。地面に衝突した分だけ威力は削られていたようだが。
 皆様はお気づきだろうか。龍音は指示を言葉に出せていなかったが、その都度、足が動いていた。
 コウモリと同じく蛇も聴覚に優れることを利用し、地面の震動を使って密かに指示を出していたのだ。

瘴気「とはいえ一撃は与えたわけだ。我の勝ちだな(フン、と(…)」
オルム「……お互い、異常技ばっかりだったからね(…)」
龍音「……穴を掘るは一応、攻撃技ですよ…(補助としてしか使ってなかったけど!()」
オルム「それそのものに攻撃の意図が無い技は、攻撃技じゃない(…」
 逆に補助技を攻撃に使う例もあるから、技の定義は実に難しい。

ルエケム「まー麻痺当てたけど後間に合わなきゃだめだなあ」
オルム「時間があれば解らなかったかもね。……攻撃するまでに時間がかかるから、あまり向いてないかな。」
瘴気「我はいきなりせめても一向に構わんぞ、主!(ふははははっはは。麻痺したけど元気)」
ルエケム「ふいうち的には重要だよ(…」
龍音「時間配分を忘れてはいけませんね。…ほんとに…(家事とか)」
オルム「そうだね。…思ったより早かった。ん、勝負。有難うございました(ぺこりとお辞儀をする。大変珍しいシーン(…)」
龍音「ああ、此方こそ、ありがとうございました。(同じくお辞儀を返した。()」


 いろいろ危うくもありましたが、結論としては瘴気の眠りの勝利。
 こうして試合は無事に終わったのでした。