2018年7月28〜31日 第1回タロット企画トークショー(前編)  編集:Rista

カフェパが15年目に突入したばかりの7月上旬、みんなの掲示板にこんな題名の掲示物が貼られた。
【かふぇぱ・たろー 制作 2018】
この不思議な島に出入りする面々をモチーフに、タロットカードを作ってみようという企画。それぞれ意味を持った絵札のセットで占いをするアイテム、ということで、デザインだけでなく意味にも合うキャスティングが欠かせない。
でも、どんな感じで選べばいいのだろう?
そのヒントを探るため、我々は10年前に一度行われた同じ企画の資料を取り寄せ、それを紹介するトークショーを開くことにした――


ナイツ「フィアロウ、八霧、遅くなってごめんな。今日はよろしく。(スピネル含めた三人よりはひときわ小柄なポケモン。椅子の上に立ち上がり、目立つように両手を振る)タロット企画解説トークショー、まあ適当につけた名前なんだけどさ、始めるぜ!」
八霧「宜しく頼む。(舞台上で拍手している。)」
フィアロウ「いえいえ、こちらこそよろしく。(その後にパチパチパチ、と拍手。)」

この日のカフェは店員たちの手でテーブルと椅子が並べ替えられ、壁を背に座る出演者たちと、彼らの話を聞く観客席に分かれていた。
観客席の方には今年の夏祭りを心待ちにする常連客の皆さんが集まっている。

そして出演者は3人と1匹。
まずはタロット企画の主催者、“現代魔女”として活躍する黒葛野八霧(つづらの やぎり)。
「当時の常連」代表、何かと不幸な役回りが多いヤミラミのナイツ。
「今の常連」代表、最近はみんなのお兄さん的ポジションにいるらしいフィアロウ。
そしてトークショーの告知には出ていなかったが、八霧のパートナーであるスピネルも、当然のような顔で八霧の背後に控えていた。眼力がとても強い。

ナイツ「まずはおさらい。今回話すタロット企画っていうのは、掲示板に書いてあるこれな。(八霧が書き込んだ記事のコピーを両手に持って掲げる。内容は「みんなの掲示板」参照だ!)ここでよく顔合わせるみんなを、タロットの、何つーんだっけ?絵柄に当てはめてカードにしようじゃないかって企画なんだ。」
八霧「うむ。制作に当たって、主題となる人物を募集しておる。」
ナイツ「といっても、すぐには浮かばないと思うんだよな。(記事のコピーを下ろし)」

ここで司会進行も兼ねるナイツが、普段は島の様子を映すモニターの一つを指した。
次々と現れるポケモンの絵柄、これは市販のカードの一例らしい。

《1・魔術師 2・女教皇 3・女帝 4・皇帝 5・法皇 6・恋人 7・戦車 8・力 9・隠者 10・運命の輪 11・正義 12・吊るされた男 13・死神 14・節制 15・悪魔 16・塔 17・星 18・月 19・太陽 20・審判 21・世界 0・愚者》

セイラ(パチリス)「ほぇ。タロットって、こんなに種類があるんだね……。(普段ならすごーい、いっぱーい!って言い出しそうな様子でいる。すごーい、いっぱーい」
牧田(トレーナー見習い)「大アルカナですよね…」
八霧「寓意画のある22枚のみじゃな。 棒や剣等の紋標札までは流石にのう。」
スピネル「…タロットには大アルカナと小アルカナの2種がある。大アルカナの22枚。小アルカナの56枚。さすがに小アルカナまでやっていてはキリがないので今回は大アルカナのみとする…と言っている(通訳)」
合計で78枚。確かに多い。
スピネル「補足すると、大アルカナは大きな運命のうねりを示し、そのカードが結果に出るという事は占術において重要な意味を持つ。大アルカナのみの簡易占術があるのはそれが理由だ。」

この大アルカナの22枚について、誰がどのカードの絵柄にふさわしいか投票してもらう。
そういう企画なのだが……

ナイツ「それぞれの意味は後で解説してもらうとして、見ての通りこんなに種類があるし、「うちにはこれにぴったりの奴がいるぜ」って手を挙げてもらうだけじゃあ、多分揃わない。でも、ここで出会った友達とか気になる奴とか、身内以外の「あの子ならこれにぴったり!」っていうのを出し合えば、もっと早く揃うはずなんだよ。」
八霧「実際、前回の企画でも殆どを他薦で出して貰っておるし、採用したものも他薦のものが多い。 何しろ札占じゃからの。自分の気づかぬ側面を見通すもの、他人が札を取り占うもの。他から見た視点の者こそが本質に近いというものじゃからして。」
ナイツ「そうそう、これって10年半前にいっぺんやってるんだよな。それも今八霧が言った通り、みんなが投票して意見出し合って、1位になった意見から決まってた。そのとき選ばれた奴らのこととか、どんな理由で選ばれたかっていうのを聞けば、みんなが選び合う参考になるんじゃないかって思って、今夜こうして集まってもらったんだ。ここまではオッケー?」

フィアロウ「なるほどねぇ。確かに参考になると思うよ。今夜のことを通して、皆が皆を選びあうきっかけになると思うし。」
セイラ「うにゅ、とりあえずは大丈夫、かも。(みんなで選ぶのの参考に、前回の結果を発表する感じかな?と、こくこく頷いている。」
ナイツ「じゃあ、カフェパ版カードの絵柄を一枚ずつ見て行くぜ。」

本来ならここで前回の企画で作成した画像を披露したいところだが、諸事情で公開できないので、ここでは文章による簡易的な説明とさせていただく。
普段皆さんが遊んでいるときと同じように、想像しながら読んでいっていただきたい。

ナイツ「一応全員と顔見知りなオレが説明して、意味とかの説明は八霧に任せた。まずはこちら!」


《0・愚者》
(棒きれに布をくくりつけたよくある“旅の荷物”を担ぎ、崖の上へ歩く男の後ろ姿。黒いコートの裾が風になびく。その足元には一緒に歩くマグマラシが。)

ナイツ「いきなり顔見えないけど、こいつの名前は塑羅、つかみどころがなくて、頭は黒いけど中身はどこぞの万事屋みたいな奴っていえば分かるかな。パートナーはマグマラシのノロシ。こうやってトレーナーとポケモンをセットにするのもアリなんだぜ。」
ヒロ(リザードン)「名前は「そら」って読むよ。プロジェクトPの前半をあさったことがあるなら名前は見たことあるかもね。……何で僕がフォローしなきゃいけないわけ?(ぶつくさ」
フィアロウ「第三部の登場人物一覧に掲載されてるね。トレーナーはプロP初期のほうでも見かけたけど。」

フィアロウ「どうしてトレーナーとセットにしたのかな。(お冷を飲みつつ、八霧の解説を待つ。)」
八霧「愚者は言うなれば遊戯札の切り札、道化札じゃ。 ふらりと現れては状況をひっくり返し、また別の遊戯では致命的な自爆札。 良い面で言えば零からの出発、旅立ち、未知の可能性を示し、悪い面を見れば考えなしの我儘、責任からの逃避。 元の札の絵では、旅人の足元には犬が描かれておる。それが崖へ向かう彼に噛みつくのか、共に歩んでおるのかも、解釈によって分かれるのじゃ。」
スピネル「…道化札とはトランプで言うところのジョーカーの事だ。大富豪やポーカーにおいては大きく状況を変化させる文字通りの切り札だが、ババ抜きでは悪い意味で状況を変化させる札だ。」
ナイツ「……うん、マジでジョーカーの札がぴったりの奴だった。(なぜか遠い目)」
八霧「此処で言う冒険心とは旅に出る勇気ではなく、既に一所に留まらぬ掴み処のない真っ新な心そのものを指す。 気紛れに人を助けたり無視したりといった塑羅に、従いつつ偶に足元に火を噴くようなノロシ、と言った解釈から票が集まったものじゃと思うのう。」
ハカセ(妖精?)「なんかカプ・テテフみたいなヒトですね。 たとえがあってるかわかりませんけど…」
ナイツ「今ここにふらっと来てもおかしくないんだけど、こういう形で目立つのはいやがりそうだな。えーと、次行っていいかな?」
八霧「うむ、大丈夫じゃよ。」
フィアロウ「うん、どうぞ。」


《1・魔術師》
(青紫の帽子とマントを身につけた眼鏡の男が、魔法陣の上で聖杯に手をかざしている。右手で立てて持っているのは杖ではなく、槍の側面に斧が生えた、いわゆるハルバードだ)

ナイツ「お次はこちら、みんなからはポケマニって呼ばれてた。魔法というかオーバーテクノロジーというかすげー技術の使い手で。「魔術師と言えば」って15票集めて他の候補はゼロ、満場一致の決定だったらしい。ちなみに絵には出てないけど、パートナーはデルタっていうフーディンだったな。」
フィアロウ「右手に持っているハルバードは、「ユニバーサルハルバード」で、辞書の持ち物欄にも掲載されてるね。」

八霧「魔術師。奇術師や大道芸人と言った、魔法・魔術に限らず小手先や口から広く不思議を行う者も含むな。 物事の始まりや起源、想像力や話術を象徴しつつ、逆の位置になればその未熟さや空回り、消極性…また良い意味での口の周りが悪い意味での口八丁にも変わるな。」
牧田「…タロットの魔術師は、いかさま師だという説も聞きましたが」
ヒロ「今回の投票ではその路線で推薦出してもいいんじゃないかな、合うのがいればだけど。>牧田」
フィアロウ「俺は彼に会ったことあるけど、理論立てて話をするような感じ。イカサマはしなさそうな、ある意味まっすぐなタイプだったよ。」
八霧「金貨や杖、杯などは神秘を示すが、「それっぽい」小道具としての使用も多分に含む。 ポケマニの場合は動力を魔力とした技術屋の面もあったからの、真の魔術師としても機械術師としても当てはまっておった筈じゃ。」
スピネル「魔術や魔法を使える者は当時もかなりの数がここにいたが、彼は魔術師・魔法使いという「イメージ」が強かったからな。ほぼ圧倒的だった。」
ナイツ「何しろ一人で15票集めてるんだもんなー。」
八霧「その他の意味を照らすとそうじゃな、島の魔法使いとしての先駆者は教導の面を見ても奴がかなりの割合を占めておったし…後年若干の消極性、事態に会して腰が重かったという部分も確かにあったと思うぞ。」
ナイツ「教導?」
八霧「ああ、魔法使いであるという者は沢山居ったが、弟子を取ったり自分の技術を伝授したりという者はあまり居らんかったじゃろ。」
フィアロウ「魔法を教える側として依頼したのを引き受けてくれたりしたんだよな。」
ナイツ「あ、だから余計イメージ強かったのかも。弟子っていうと……(「次行くんじゃなかったの」の視線に気づいて)はいはい次行きまーす。」


《2・女教皇》
(黒と白の十字架が並び立つ、その間に金の玉座。白いベールを被った黒服の女が、静かに目を伏せて本を広げている)

ナイツ「続いて…………あ。えーと、リスタ、だな。一応オレのトレーナーで、ポケモンが集まるカフェを開こうって言い出して島を開拓した張本人。このときは普通のトレーナーだったんだよなぁ。」
牧田「普通のヒトだったんですか…」
フィアロウ「一応、この島はリスタの私有地って扱いなんだっけ。辞書で見た限りだと。」
ナイツ「外からいちゃもんつけてくる奴がいたらそうしろって言われてる。うん。今のところその辺は店長やセレビィたちがうまいことさばいてくれてるみたいだけど。」

八霧「知識や教養、聡明さを表す札じゃな。感情よりも理性で事態に挑む女性じゃ。自立的にして自律的、客観的な考えと見守る寛容さを持ち合わせる。 ……半面、その均衡が崩れた時が逆位置じゃ。混乱や感情を制御できず、恐慌と激情のままに対立してしまう。矜持と思い込みが拍車をかける、落差の激しさというものも表すの。」
スピネル「理性と自制。いわゆる「しっかり者」のイメージというわけだな。言い換えれば平時は抑制している分、ひとたび理性と自制の堤防を崩す感情の奔流が溢れれば制御は困難だ。」
ナイツ「………………。(八霧の説明の後半を聞くや、宝石の目から輝きが失せた。)」
八霧「……まあその、ものの見事に逆位置が当たってしもうた一人じゃなあ… 当たったというかなってしまったというか。」
スピネル「この時は時折感情を乱す事はあるものの、正位置の側面が強かった。ただ、後に逆位置に見事に当て嵌まってしまうような事態が起きてしまったのだな。…運命にカードの意味の方が後からついてきた形になるか。」
ナイツ「………………。(状態:まっしろにもえつきている  ……どうやらものすごく心当たりがあるようだ。)」
フィアロウ「会った事あるけど、正位置を把握しているから逆位置である。みたいなイメージがある。感情的に振舞ってるフリして実は理性的なところもある。みたいな。」

ショウマ(医者)「……その彼女が今は自己が唯一絶対のルールであり、それを他者に強制できるバケモノというのは皮肉なのか適任なのか」
スピネル「適任だろうと僕は思うが。感情でしか動けないバケモノは食われて早死にするからな」
アテナ(ピカチュウ)「・・・・・(ぴここここって長い耳を上げた)」
牧田(ショウマやスピネルを見比べて)
ナイツ「(モヤッとボールが飛んできた!ヤミラミは元の色に戻った。)……次に選ばれるしっかり者はちゃんとしっかり者であってほしい。あと夏祭りに呼ぶ作戦は遂行中ですよろしくお願いします。次ー。」
八霧「その感情をもう一度認め、自分の愛情を自覚することで、逆位置は正位置に転ずることができる。 占札の意味は表裏一体、悪い意味も良い意味も、同じものの側面じゃからな。 次行くかの。」


《3・女帝》
(赤い絨毯が敷かれた階段の頂点に金の玉座。ピンク髪に赤い目の少女が金の杖を手に微笑む。足下には盾が立てかけてあり、その隣でエネコが丸くなって寝ている)

ナイツ「セルティナ、通称セルト。確かに慈しむってイメージにはぴったりな奴だった。手持ちにはサンドパンのザックとかがいたな。」
フィアロウ「エネコはセルティナの手持ち……ではないのかな。」
ナイツ「エネコは手持ちじゃなくて、確か本人がエネコに変身できるんで採用されたんだったと思う、頭の色それっぽいだろ?」
フィアロウ「あ、ほんとだ。ピンク色の髪。(絵札を覗き込み)」

スピネル「愁海棠氏の恋人だったな。……この時は既に恋仲だったか。彼については後に出てくると思うので、紹介は後にさせてもらおう。」
八霧「優雅で女性的、女帝とは言うが家庭的な、包み込む愛情の魅力を持った者の札。幸せな婚姻も表す。 逆を見れば過保護や嫉妬、浪費…足るに足りすぎた幸せ過多な悪面を示す。 …この時点では恋仲で、その後結婚したのではなかったかの。」
ナイツ「手元の資料によると、「その二人で恋人のカードにも投票入ってた」らしい。」
スピネル「良くも悪くも「母親らしい」イメージのカードか。」
八霧「そうじゃなあ。 逆位置の表す、怠惰や情緒の不安定さを加味して、猫そのものの持つ意味を使わせて貰っておる。 当人だけで全ての意味の補完は難しいからな、こういった記号的表現も使用したのじゃな。」
フィアロウ「じゃあセルティナ本人はまさしく正位置に値する人物だったってことか。」
ナイツ「さっきまでのもそうだけど、結構みんな正位置の意味から投票してたんだよな。じゃあ次行くぜー。」


《4・皇帝》
(黒髪で眼鏡の男、ただし魔術師ポケマニよりちょっと気弱そうなタイプ。足を広げて赤い玉座に座り、赤い王冠を頭に乗せている)

ナイツ「続いてこちら、ポッター。魔法使いから某銀河の騎士にジョブチェンジした珍しい奴で、CNの師匠なんだ。指導力とか誠実さが買われて選ばれたみたいだな。」
フィアロウ「なるほどなぁ……。CNの師匠がこの人かぁ……。」
スピネル「彼については覚えている。真面目で誇り高く、演説が得意だった記憶がある。」
フィアロウ「……演説する機会があったのか。この場所で……。」

八霧「指導者の性質、行動力と分別を付けられる精神。これも理性を象徴する札じゃが、先ほどの女教皇と変わって男性的な心象を司っておる。 支配力と安定感を持つ一方で、横暴さや独断性、代表という立場の責任からくる自信のなさといった、未熟な男の側面も持つ札じゃ。 正位置と逆位置で、その自信のある振る舞いの中身が変わると言う訳じゃな。」
ナイツ「時には熱く主張することもあったんだよ……なんかよく見ると、絵の中で冷や汗かいてるんだよな。その辺が逆位置要素か?」
スピネル「「父親らしい」イメージのカードか。子を教え、叱り、導く父親。子を暴力で支配する身勝手な父親。」
八霧「そうじゃな、そういった像を想像すると分かりやすいかも知れん。自信のなさを他者にぶつけてはならん、自己の能力を信じ、周りを見る余裕を持てという託宣でもあるぞ。」
ナイツ「ここに来る者同士で知り合って、知識を分けてもらって、って交流は今のみんなにもあるんだよな?父親イメージ、誰になるんだろうな。次行きまーす。」


《5・法皇》
(金色の十字架を背にした、やはり赤と金の玉座。さっきの4枚とはまた違うデザインのそれに、足を組んで座るのは日焼けした白髪の男。無精ヒゲが特徴的だ)

ナイツ「愁海棠、通称おっさん。農家の親父で元冒険者、さっき出てきたセルトの大事な人。いっぺん誰かをいじらせたら止まらなくなる奴だったけど、何しろいろんな知識が物凄くて、投票も2桁超えの圧倒的支持だったらしいぜ。」
フィアロウ「俺もおっさんって呼んでるけど俺と同じ歳なんだよなぁ。」
八霧「何しろ此処では珍しく、明確な「年長者」じゃからなー。 理解のある上司や年上からの助言、道徳観念や伝統、といった昔から続く保守的なものを象徴する。 もう一方のお節介さや余計なお世話、等という面もまあ確かにある男じゃのう。 場合によっては主観からの断定口調というものも、まあ弄りの一環としてようかましておったわな。」
ナイツ「そう。本当そう。<お節介さや余計なお世話」
フィアロウ「余計なお世話をしていたイメージはないけど、年長者の振る舞いは有ったなぁ。」
八霧「正逆共に、普段の行動からそのままとって、満場一致になった感じじゃったな。」
スピネル「「法」のイメージだな。そういうものは時に束縛や極度の保守にも通じるが。…そういう意味でも「母親的」なセルト嬢とは相性がよかったように思う。」
八霧「知識や助言と言った事で頼りにする者が多かったのと同じくらい、余計な事言うなするなしおって、の声も多かった…様な気がする。」

ナオキ(ラティオス)「・・・そういえば、あれをこのカフェに持ってきたのも愁海棠さんでしたっけ。(ようやく喋ったかと思ったら、呟きながら向ける視線の先には変化の杖があって)」
ソムニウム(夢の世界の住人)「あれ〜?あの杖〜?(首を傾げて)」
うなずいているのは、兎のような大きな垂れ耳を持つ、茶色の獣人っぽい人物。
最近のカフェにはより様々な世界からのお客様も現れるようになったという。
ナイツ「(変化の杖云々にはうなずいて)そんなおっさんも自分が弄られたときはめちゃくちゃ照れてて、後でそれを座談会のネタにされたときにもめちゃくちゃ面白い反応してた。座談会のはプロPに残ってるぜ。じゃあ次ー。」

そのときの様子は第三部の「カフェパ7周年記念・思い出座談会!」にばっちり残されている。
また、変化の杖に絡んだハプニングもプロジェクトPにはたくさん収録されている。要チェックだ。


《6・恋人》
(ぱっちりおめめのバシャーモ♀と、ゴーグルがついた帽子(いわゆるアビエイターキャップ)をかぶったリザードン♂。こちらに背を向ける形で座り、互いに見つめ合っている)

ナイツ「左のバシャーモが、もっち。右のリザードンが、ドンすけ。ここはカードの名前が名前だけにカップルの名前がいろいろ挙がってたんだけど、中でも当時の常連の中では有名なふたりだったんで、選ばれたんだって。」
フィアロウ「常連の中では有名……って、何か出来事でもあったのかな。」
スピネル「熱愛っぷりではなかったか?」
ショウマ「……(それをお前が言うのか的な目で見ているが口には出さなかった( )」

八霧「そのまま恋人、愛…といった意味もあるが、楽観的な性格や協力者の存在、恋愛に限らぬ趣味への没頭、調和といった意味も持つ。恋人同士に限らず、1人候補でも構わぬのでな。 逆になると破局や失恋、浮気などと言う意味もある事じゃし。集中力の欠如や衝動買い、などと言った若い者の犯しがちな過ちも含めた意味も持つぞ。」
ナイツ「目立ってたんだよ単純に。炎タイプ同士っていうのもあるけど、もっちにはトレーナーいたし、ドンすけは別の世界の出身だし、出会いからデートから全部ここだったんだ。」
八霧「熟練の夫婦よりは若い男女の連れの印象が強い札じゃな。 …彼らは後は、其々両方ともよう体を動かすのが好きで、多くの人との交流もあったと思うたが。」
フィアロウ「何て言うか、こう、多くの人に認められるようなふたりだった、っていう事かな。」
スピネル「この場所がなければ恋人になる事のなかった2人、という事だな。それは、此処にいる恋人のおおむね全員に言える事だろうが。」
八霧「「恋人」には試練の克服という意味もあるからな。隔たりを乗り越えて結ばれるという経緯はぴったり嵌っていたのう。」
ナイツ「そういうことだな!いろんな意味で、みんなに祝福されてたわけだ。」


《7・戦車》
(真っ黒いサイドンが古代の戦車に乗っている。赤い爪がなんとも凶暴そう。本来このタイプの戦車は馬が引くものだが、ここに馬はいない)

ナイツ「初期プロPのレジェンドのひとり、デューク。身長3.5メートル、進化しなくてもめちゃくちゃ強いじいさんだった。結構おちゃめなところもあったりしたな。そうそう、このデュークの仲間たちが、ここの監視カメラのシステムとか「なぜなに」とか作ったんだぜ!」
フィアロウ「数回しかバトルを見たことなかったけど、強い奴だった記憶があるな。座談会で話してた時も面白いリアクションしてくれたりとかした。」
スピネル「今ここにはいないが、ドン君が目標にしているサイドンだったな。当時の面々に「カフェで最強のポケモンは?」と聞けば恐らくこの名前が返ってくるだろう。」

八霧「英雄、戦い、そして勝利。軍事的な戦闘力と活力に溢れる様、開拓精神を表す。自己の精神や葛藤を制御し邁進する、力強さに溢れた札じゃな。一方では弊害というべきか。好戦的、暴走や早合点等、力の制御を失敗するという意味合いの逆位置になるな。」
スピネル「彼は正位置の意味が強かったな。己の溢れる力と闘争心をうまく制御していた記憶があった。好戦的でありながら、参謀としての活躍が印象にある。」
ナイツ「えーと。(抱えて持ってきたメモ帳をめくって)タロットカードは上下の向きをシャッフルして使うのが特徴で、絵が正しく見える状態と逆さまになった状態とで意味が違うんだよな。みんながみんなを推薦し合うときは割とプラスの意味から選んでたみたいだったけど。」
いもうと(ムクバード)「……まーマイナスの印象とか指摘づらいとこあるし?(身内ならまだしもね。テーブルに尻をもすんと落ち着けながらピーチク。)」
フィアロウ「参謀かぁ。確かに力を自身で上手にコントロールしていた記憶もある。」
八霧「まぐま団である彼が太陽神話や火の車といった象徴を含むこの札に選ばれたのも、何かしらの縁を感じるのう。 懸念を顧みず邁進するか、戦略を考え一度立ち止まるか。一見して悪く見える意味でも其ればかりではないからの、警告や別の面としての意味も考えてくれるとよい。」
スピネル「補足するが、彼はマグマ団のメンバーだった。マグマ団の精神に共感を覚えたというよりは、マグマ団としてやって来たある男を気に入ったから、といった様子だったが――。彼については後々に説明されるだろう」
ナイツ「確か真っ黒なのも最初からじゃなくてファッションだったような気が……まあいいや、次行くぜー。」


《8・力》
(真っ赤な髪の少女が、真っ赤なドラゴンの背中に座っている。四隅にも四匹の竜がいる)

ナイツ「こいつはエンジェリナ。竜の血を引いてるとか聞いたことがある。ここはものすごく票が割れて……主催者が最終的に決めたんだっけ?」
セイラ「やっぱり、票が割れる事もあるんだ…。(前回の決まった時の事は知らないが、話を聞いた感じスムーズに進んでそうだったので、ちょっとだけびっくりと。」
いもうと「いやめっちゃ竜いない?? 仲間超いる系の人? それとも元々そーゆー絵柄なわけこれ(しかしまぁ力って感じが伝わってくる。)」
ソムニウム「うんうん〜これだけ描かれてると強そうな感じが〜」
フィアロウ「もしかして、女帝の時もそうだったけどこのエンジェリナって人、後ろの竜に変身するのかな、そうなると周りの竜がよく分からないけど。」
ハカセ「後ろの竜に変身… エルムさんみたいですね。」
ナイツ「羽が生えてたときあったような気がするけど、こいつは連れてきた系だったような……。ちなみにポケモンの方の仲間はブラッキーとかサーナイトとか、竜からはちょっと外れるけどガード堅いタイプだった。」

八霧「知恵、勇気、力、自分の力を信じること。獣性を飼い慣らす女性の強さ。強い絆に強い意志…とまあ見事に主人公の如き「力」の象徴じゃからな。各々から見てそういった人物が多いのもあったじゃろう。」
スピネル「確か…元となったカードは獅子を手懐ける女性だったか?」
八霧「うむ。そこからまず女性を優先し、また内に強力な獣性をもつもの、その力は潜在能力といった意味合いが強く…と絞ったような気がするのう。この力は技術や道具ではなく、自らの手に宿るもの。 また、逆位置になれば手懐け切れぬ強さや、戦車の時とは違ってうまく行かぬ強硬策、強引であったり逆に弱気になったり…。」
スピネル「強力な竜の力をほぼ制御できていたが、反面、不安定な思春期の少女らしい精神性があったからな。そういう面でもぴったりだったのか。」
いもうと「(ぴるる。)……さっきの戦車が戦って勝つ的な意味合い強めで こっちの力は強さ今手に持ってるぜすごいぜみたいなノリなのかな、めっちゃイメージで言ってるけど今」
ショウマ「……彼女、当時も20歳前後だと思うが」
スピネル「……20は子供だろう?」
ショウマ「そりゃあ、お前からすれば4桁以下は子供だろうな…(」
セイラ「さっきのは戦って勝つ。こっちは力を持ってるよって事… なるほど。(こく、こく。話を聞きつつ、頷いたり。)…力を持ってるよ、かぁ。確かに票が割れそう。」
スピネル「「戦車」は勝利と征服。いわば外に振るう力だな。 「力」は意思や不屈。強い理性を示す。いわば内に向ける力だ。」
いもうと「うんなんかうちのよりはるかにそれっぽい説明来たわあざす、芯の強さ的なアレな感じする。確かに女性的な強さってイメージあるわ。」

フィアロウ「四隅の竜は何なんだろうというのが未だに気になる……力って、肉体的なものと精神的なものとあるよな。」
八霧「四隅は確か…そうじゃな、この版の元の札が8、描かれている女性の頭上にも∞の図があしらわれておるのじゃが、本人に帽子を被せられなかったので、竜で円を作る…といった試みにしたような。」
フィアロウ「ああ、円環。(なるほど。といった風に」
ナイツ「まあ、今回選ぶときはドラゴンのことは置いといて、全体的な意味からイメージしてった方がいいかもな。また割れそうな気もするけど。じゃあ次ー。」


《9・隠者》
(翼を羽ばたかせるルギアのシルエット。その内側に、ランタンを持った銀髪の少年の姿が浮かび上がる)

ナイツ「続いて、銀翼。属性的には魔法使い方面だった。シルウィンっていうルギアと友達で、ものすごく仲が良かったから、こういう感じになったみたいだな。」
いもうと「(次のはおっ 飛行タイプ)……友達ってのはあれ? 出身地違うけど意気投合半端なかった系?」
フィアロウ「(次の札を見て)すごく仲が良くて性格も似てしまったってやつだろうか。」
ナイツ「銀翼とシルウィンは同じ世界から来た仲間で、まあゲットしてはなかったみたいだけど、だいたい一緒にいるか片割れを心配してるかのどっちかでさ。銀翼は考えるより先に突っ走るタイプでシルウィンがストッパーって感じだったけど、仲が良すぎて性格も似てたってとこは全く否定できないや。」
ハカセ「なんだ、僕とメラですか。」
メラ(ブースター)「絶対違う」

八霧「正位置逆位置、共に隠居し世俗を離れた者を示して居るが……其々、分析と邪推、思慮深さと悲観的、単独行動と引き籠り、慎重さと閉鎖性、完璧な仕事と細かすぎる視野…といった、同じ面を良く取るか悪く取るかの2面的な意味を持つ。」
ハカセ「う、うーん…わかるようなわからないような…?」
いもうと「ふーん。隠居後のバカンスでここ来てる人探したらいるんじゃね((行動より思考優先って感じのもそこそこいるっしょ。ぴるぴる。)」
セイラ「つまり、とても慎重なタイプのひとが当てはまる感じ、なのかなぁ……。(きょと。」
八霧「銀翼の選定は、他と比べるとやや逆位置寄りな印象も多かったような気がするのう。目的を達成する為に迷い、自信を持てずに、自分達以外の他者と距離を置く羽目になっていた時期があったと思う。 現状を見直し客観視せよ、停滞した状況を打破する為に持てるものを整理せよ。そういった託宣としての意味を持たせた選定もある。」
スピネル「助言。アドバイス…という事か。あるいはそうあってほしいという応援とも言えるか。」
フィアロウ「魔法使い寄りで突っ走るタイプ。それで隠者。ってどういうことかと思えばそういう事か。」
いもうと「逆位置的なイメージで票が集まっても困惑しなくていいってわけねつまり((応援として素直に受け取ればいいのね。)」

八霧「あまり明るい意味でない札もあるからのう。そういう札には正位置と逆位置で意味が変わるように、状況を好転させる示唆としての札じゃな。 …本来占う事の意味に近いのは此方かもしれんな。」
スピネル「…タロットにおける正位置と逆位置は、ある物事の良い部分と悪い部分を見る。例えば火だ。凍える冬における暖炉の炎。神話においては文明のきっかけ。夜の闇に灯る希望の光でもあるが。 悪く見れば火は破壊の象徴でもある。戦火に焼かれた村。灼熱の太陽が生み出す干ばつと日照り。神話における世界を焼き滅ぼすのもまた炎だ。」
ハカセ「ほう… 炎使いだけになんとなくわかる気が…」
スピネル「知恵,勇気という言葉もそうだ。一見すれば良い意味にしか取れないものも、余計な事を知りすぎれば招くのは破滅であり、逃亡しなければならない状況で勇気を奮えばそれは無謀と呼ばれる。」
ナイツ「他薦だからこそそういう選び方もできるって感じだよな。……で、次なんだけど、これは説明いらない気がしてきた。」


《10・運命の輪》
(皆の大半、もしかしたら全員に見覚えあるかもしれない金髪の人物が、輪になったミロカロスの内側に座っている。)

八霧「ヒイラギじゃな()」
ナイツ「たぶん知ってる奴も多いよな、ヒイラギだ。提案者権限で自分が名乗りを上げたんで投票項目から外されてたって聞いたんだけど。」
スピネル「…………………………では次にいこうか(」
いもうと「えー待ってよどーゆー選定条件だったのかくらい聞かして(この鳥トレーナーはだいぶ顔見知りだけど本人はあんまりなんですよ、ぴるぴる(…)」
八霧「流石に意味まで飛ばすわけにはいかんぞスピ。」
スピネル「……うむ…そうだな。…うん。わかった……(動物病院に連れて来られた事に気付いた犬の顔)」

フィアロウ「ヒイラギと……この輪になったミロカロスの説明もあった方がいいんじゃないかな。」
ナイツ「ミロカロスはあれだ、この湖のぬしポケモンの座に一番近いという噂もあるロジック様だな。」
ソムニウム「この湖〜…って事は今も居るのかな〜 直接会った事まだ無いんだよね〜」
フィアロウ「自分から名乗り上げたとして、その要求が通ることになるのなら、八霧とヒイラギの関係ってどんな感じなのか気になるよな。あと、選定条件に合致していたのかどうか。」

八霧「運命の輪、まさに運命の変化、岐路という意味を持つ。 正位置であれば好転、幸運、転換点。逆位置であれば遅延、不運、大誤算。 こうもくっきりと意味の分かれた札は他には無いな。良い時には流れに乗って頂点を見極め、そのまま維持する手腕を振るえ。悪ければ無理に逆らわず、時期を待ち、自分を活かせる場面を狙え。」
いもうと「え、今の話 運しかなくね(…(めっちゃ幸運または不幸な人が割り当てられるのかそういう運勝負が似合う(?)人が選ばれるのか。)」
セイラ「正位置で出れば大チャンス、だけど逆位置で出たら今はちょっとあれって感じなのかな?(あれとは。 う〜ん、と考える素振り」
ソムニウム「割と両極端だよね〜 …今の僕はどうなのかな〜」
八霧「本人というよりは、奴の姿勢や立場、物事に対する動き方じゃな。運そのものを指す札ではなく、現状に伸るか反るかの見極めを示す札じゃ。 そしてこの運命の輪、円には周期や永遠性を表す意味があり、同じ象徴として近い蛇の形を模してミロカロスを使っておる。」
いもうと「あーヘビは分かる。あれで見た。ちえのわとかいうやつ(自分の尻尾くわえて輪になってるやつだ。)」
フィアロウ「ああー。なるほど。現状に伸るか反るか……なるほどなぁ。(八霧の説明に合点がいったようで)」
スピネル「……良くも悪くも文字通りの「運命の分岐点」だ。車輪が回るように、運命も回るもの。塞翁の馬のように、縄のように、女神の愛のように。不幸から幸福へ。幸福から不幸へ。」
八霧「禍福は糾える縄の如し。良い事も悪い事も、在れば成り成せば来る。その時期を占い示すのが札である故、示す側、として奴が載っておる… という本人談じゃが。」
ナイツ「次、行きまーす。」



次は誰が登場するのか? 後半へ続く!