2019年2月10日 【未来の使者】記録 2019年2月黄昏時  編集:ロイシェ

2018年2月、バレンタインデーを過ぎたある日。広場中央に箱が置かれていた。カフェ店内ではテーブルの上に機械が広げられている。

[場所:Cafe"Party"店内]
フィアロウ(スマホを片手にモニターを眺めていて)「その箱、中身がまだ分からないんだよね。今こっちで解析進めてるから誰も触っちゃダメだよ。」

その言葉の後、箱の蓋が勢いよく開き、無数の赤い光の玉が現れる!

[場所:Cafe"Party"店内]
フィアロウ「すみません、ランチセット一つ。」(サンドイッチ、スープ、紅茶を指差していた。)
スフレ「やっぱりここは落ち着けていいな・・・」(ゆったりとチーズケーキを食べている。珍しく一人だ)
モモ「……、ちょっと広場行ってきますね。行こう。セラス。」
セラス「ええ。」(モモとセラスは店外へ出て広場に向かおうと)
[場所:森の広場]
(今日は珍しく三人のキーブレード使いが同じ日に島に来ていた。広場にあった箱の事で議論していた。)
カゲロウ「うーん、触っちゃいけないらしいけど。」
ラグナ「お前なら躊躇なく開けそうだな。」
カゲロウ「なー、開けないよー!」
ハウル「相変わらず仲良いのね。」
アテナ「誰も近づかないように見てないと・・。」(でも、何故だろう。この箱を見ていると不安になるというか・・・。とりあえず仲間達は避難させているが。)
歌音「こういうのって、実は歴史ある古い遺産でしたってことが判明したりしそうですけど……どうなんでしょうね?」(こてりと首を傾げながら、少し離れた場所で箱を観察している……。)
グランス「うわぁ、今日はなんだか人がいっぱいいるなー。……あの箱が何かあるのかなー……?」(木の陰から、広場の様子をそっとエルフーンのぬいぐるみが伺っていて。)
リリコ「うー、まだまだ寒いー。」(広場のすみの方でディを遊ばせていた。)
[場所:聖なる森]
シャイト(祠の前で頭の中に語りかけてくる何者かと声を発さずに会話している。相手の言葉にはキョトンとして首を傾げた)
セイラ(セイラと偶然くっついてきたシェリカ。森の祠のそば。共にお祈りを終えて、帰ろうとするところ。ルネッタはシェリカの護衛役)
[場所:静かな入り江]
ヨシナリ「……」(「広場の箱には触れないように」。事情を軽く聞き、逆に興味を持ってしまった娘を無理矢理引きずり遠ざけているうちに島の端が見えてしまった。砂浜と波の境目で足を止める。)
ノア「ねーーー」(見るだけだから。いじんないから。もっかい箱見るーと暴れている。)
ヨシナリ「……駄目だっての。今日はもう帰るぞ」(ここに立たせていても仕方ないと、霧を探し始めた時であった。)
[場所:灼熱の火山]
ミズ(サクヤから降り、森へと飛び去って行く彼の背を見送る。さて、そろそろ帰ろうかと振り返れば霧が広がっているけれども)「――星、きれいだなぁ」(足を止めた。澄んだ冬の星空は、いつもよりもずっと鮮やかで美しくて――)

それは一瞬の出来事だった。箱から出てきた無数の赤い光の玉が矢となり襲いかかってきた!

[場所:Cafe"Party"店内]
スフレ(視界の端に赤い光がきらめく)「ん・・・?」(なんだろう、と振り向いた時にはすでに光に飲み込まれていた)
フィアロウ(騒がしい空気を手で制し)「ちょっと待ってくれ、今ランチセットを写真に撮るところだかr……」(当然ながら光に襲われた。スマホごと。)
[場所:森の広場]
グランス「あの箱の上に落ちたら皆驚かせるかなー……それっ…!」(皆が目を離した隙に、ふわりと飛び出し、箱に向かって落ちていく。その瞬間、勢いよく開いた箱から飛び出した光の矢が、落ちてきたぬいぐるみを真下から射抜いた。)
アテナ(不安だし、兄さん電話してみよう・・と端末を取って視線を外したところで、箱が突然開いた。何だ!?と警戒した。幾つか矢は避けたものの。完全にかわせる数ではなかった。)
歌音「……えっ?」(箱が突然開いたのを見て、驚いたように目を見開いた。嫌な予感がして咄嗟に逃げようとしたが間に合わなかった。)
カゲロウ「うあああー!!!」(通常のリフレクトガードでは防ぎきれず光に呑まれてしまう。他の二人(ラグナとハウル)は防御より回避を選択していたためどうにか光に呑まれずに済んだようだ)
リリコ「うー…」(身体をさすりながら寒さに耐えていた。オモチャとディが霧に飛び込んでしまった事に気付かず。音もなく飛んできた光に気付けるわけもなかった。)
[場所:聖なる森]
シャイト「ちょ、ちょっと待ってよ!」(急に焦る表情になり、思わず声が出た。途端、赤い光の矢が視界の端に迫っているのが見える)「うわぁっ!?」(驚きのあまり、反射的に身を固めて目をギュッとつぶる。光に飲み込まれる間一髪のところで、謎の力によってどこかへ飛ばされた)
セラス「くっ……!」(追尾してくる光線を宝石を使って拡散させた。)
モモ(ボールを出してマルコに乗ると)「セラス!」(セラスへと手を伸ばし、セラスの手をしっかりと握ると霧の向こうへと逃げて行った。)
セイラ「!? シェリカ、ルネッタ!逃げて!!」(先に気付いたのはセイラだった。広場の方から飛来する無数の光の矢。咄嗟に「このゆびとまれ」と能力を使い、光を寄せつつ霊力の鏡で光を弾き時間を稼ごうとするが、何発かは弾いたものの回り込まれた光が直撃してしまう)
シェリカ「ルネッタ、コンパクションを……!」(時間を稼いでいる間にルネッタに空を飛ぶ道具「スターコンパクション」の展開を促したが、その直後に光に呑まれてしまった。)
ルネッタ「わ、わわっ… とりあえず、逃げないと!!」(セイラとシェリカの安否を確認している余裕もなかった。スターコンパクション最大速度にて宙を飛び、木々の合間を縫うようにして霧へと飛び込んでいったのだった)
[場所:静かな入り江]
ノア「……あ、ぎゃんかわ」(唐突に広場の方角を指す。同時に広場を赤く照らす大きな光……もとい無数の光が矢となって飛び、遠くで動く影を飲み込む瞬間が見えた。)
ヨシナリ「……!」(即座に娘の手を引いて走り出すも、凡人の足が光を引き離せるわけもない。――先に後ろの娘に矢の照準が合った瞬間、)「……、!?」(「どうせ彼一人の避難になるなら」と、手持ちのブロスターがアクアジェットに乗せた体当たりを繰り出し、強引につりびとごと真冬の海へ突っ込んだ。 水温もつりびとが娘に伸ばした手も気に留めないジェット噴射。水面での光の屈折を利用し紙一重の回避を続け、噴射していない方のハサミに溜めた空気を主人の息継ぎ代わりに使わせる。それを幾度か繰り返し、何とか島外へと繋がる海流に乗ることができたようだ……)
[場所:灼熱の火山]
ミズ「帰ろっか――」(な、と前を向いた瞬間、遠くから甲高いムクホークの鳴き声が聞こえた気がした。それが呼ばれたようにも聞こえて)「――サクヤ、さ――?」(振り返ったと同時、閃光に視界が覆われて――)

――光に包まれた者たちは気がつくと島の外にいた。再び島を訪れると呼び止める声がする。セレビィだ。
「あれは『パンドラの箱』『自分の弱い面をそのまま具現化させて本人に向き合わせる試練』を与える箱だった。」
「でも長い時を重ね、試練を乗り越えられなかった者の怨念を重ね、箱が変化してしまった。試練を与える対象と空間の拡大。それが今の状態。多くのダーク化したコピーが島にいる。」
「『パンドラの箱』の破壊方法は、ダーク化したコピー倒すこと。自分に打ち勝つこと。」
がんばってね。と言葉を残し、セレビィは飛んでいく。……遠くで自分と同じ姿をした影が通り過ぎた気がした。

――光から逃げ切った者が島の外に出ると呼び止める声がする。セレビィだ。
「あの光は消えたみたい。もう島に戻っても大丈夫。……でもその代わりに良くないものが現れてしまった。」
「未来の来島者に助けを呼んだんだ。仲良くしてくれるとうれしいな。」
「弱い自分を乗り越えた者に未来はあるから。パンドラの箱の底に『希望』があるから。」
ふわりとセレビィは飛んでいく。がんばってね。と言い残して。

――遠い未来、いつものように島に行こうとする来訪者を呼び止める声がする。セレビィだ。
「君の助けが欲しいんだ。」
「君達と違う時間軸の子達がいるのだけれど。2019年の3月にいくつかの出来事に巻き込まれて。」
「手を貸す方法は君の自由。このことを伝えるだけでもいい。」
「色々な子達と交流したり、助け合って欲しい。準備が出来たなら呼んで。道を用意するから。」
――準備が出来たあなたはセレビィに声をかけるとセレビィは言った。
「さあ行こう!2019年3月の島に!」