2019年8月17日 夏祭りバトル!交差する水と刃!  編集:Rista

夏真っ盛り、島はおなじみ夏祭り。
恒例のポケモンバトル大会では個性豊かな面々が腕を競い合った。

これはそんなお祭りの一場面。
2019年大会のMVPに選ばれた熱戦の記録である。

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風の湖。
本日の対戦相手が湖畔で顔を合わせた。
かたや、ポケモン2匹連れ。どちらが戦うのか?
こなた、人間の少年が一人。彼はどのポケモンを使うのか?

シャイト「(近くの木の枝にちょこんと座る)僕はここで見てるねー(頑張ってーとエールを送る)」
リリル「ワタシ、ニンゲンとバトルするの初めてだよ!(ワクワク)あ、ワタシはリリル!よろしくね、ミズくん!(自己紹介を忘れていたのに気づき、そう言った)」

 まず名乗りを上げたのはダイケンキのリリルだった。
 水陸の両方に対応できる水ポケモンなので、この湖とは相性がいい。

ミズ「(湖畔で大きく深呼吸を一度。靴と靴下を脱ぎ、シャツを脱ぐ。右腕を染める青は肩まで広がっていた――)……大丈夫、頑張れ、僕。(言い聞かせるように呟くと、手を広げて湖に倒れ込むように入った――水に包まれる。水が少年の体を作り替えていく様子は、湖の中でもない限り伺うことはできないだろう)」
リリル「えっ、ちょ、え!?(ミズの変化にビックリしている)」
シャイト「大丈夫大丈夫ー(呑気に)」

 湖に入っていく少年に驚くリリル。一方、ピカチュウのシャイトは事情を知っているようだ。
 おや、ミズのようすが……?

ミズ「(ズボンをくわえて、上がってきたのは第2世代の1進化――ワニノコだった。ズボンを自分の荷物の所に置きながら、シャイトを見た――あれ、戦うのは……あのダイケンキの方か)えっと、リリルさん……ですか?(驚いているであろう相手に、名乗るよりも先に確認を一つ)」
リリル「(ぱちくりしながら)うん、そうそう!ワタシがリリルだよ!(ダイケンキの割には貫禄が無い。……進化したてだからだろうか?)あれ、シャイトの方が良かった?」

ミズ「(貫禄の有無関係なく、50cmと150cm――三倍近い体格差は、十分に迫力がある。緊張した面持ちでごくり、生唾を一つ。リリルの言葉にハッとすると、ブンブンと全力で首を振って)い、いや、そんなことないです! むしろ、シャイトさんだと弱点になっちゃうし――いや、でもあなたの方がいいとかそういうことでもなくて!(…」
リリル「ああ、いいのいいの。気にしないで!(あわあわしているミズを宥めるように)はぇー……ミズくんって変身できるニンゲンなのねー……(ぼそっと)……それじゃあ、バトルといきますか?」
シャイト「先攻後攻決めてからだよー」

 対戦相手、ミズの準備も整った。緊張感が高まってくる。
 まずはシャイトによるコイントス(1d2、1が表で2が裏)で先攻後攻を決めることに。

ミズ「――(頑張れ、自分! 目を瞑り、小さな手の平でぺちんと両頬を挟んで気合いを入れた。そのまま目を開き、放られるであろうコインを見守る――)」 (1D2 → 2 = 2)
シャイト「(ぴん、とどこからか出してきたコインを弾く)」 (1D2 → 1 = 1)
ミズ「……僕が先攻、ですね。(果たして、ダイケンキの攻撃を避けられるのだろうか――受け止められる自信は無い。不安を鎮めるように、大きく大きく息を吐いた) よろしく、お願いします(ぺこり、頭を下げた。) 」
シャイト「……(じろり、と背後を見ている。悪かったよう……)」
リリル「うん、よろしく!(攻撃に備え、深呼吸を何度か繰り返す。心を落ち着かせているようだ)

 水タイプVS水タイプ。ルールは5ターン制のシングル。
 バトル、スタート!


【ターン1】

ミズ「(顔を上げ、改めて相手を見た。ダイケンキは――やっぱり大きい。でも、小さいからこそできることもある――ぐ、と後ろに引いた足に力を込めると、足元にザワザワと小波が立ち)行き――ますっ!(力強く蹴った!忽ち巻き上がる水が体を包み、激しくうねる「アクアジェット」が流星のようにリリルへと向かう!)」
リリル「……っ!(『アクアジェット』を食らう。大きな身体なのが幸いしてか弾き飛ばされることはなかった。アシガタナには未だ手を触れず、代わりに自身のツノに力を込める)……いざ!(至近距離にいるであろうミズを突き上げようと少し身を引いてツノを突き出した。『メガホーン』だ!) 」

【ターン2】

ミズ「(しっかりと捉えた、けれども身じろぎもしない相手。跳ね返るようにして距離をとろうとするが――)ッぐ…!(間に合わず、突き上げる「メガホーン」を全身で受けてしまう――が、打ち上げられまいとツノに自慢のアゴで思い切り喰らいついて踏ん張り、突き上げる動きが止まった所で、ツノを抱きかかえるようにしがみ付いた!くるんと回り、逆さ吊りの体勢。正面にあるリリルの顔を真っ直ぐに見つめながら)――こんな攻撃、全然、痛くない…僕、頑丈ですから…っ!(そんなことはない、めちゃくちゃ痛い。それでも、それを表に出さずに堪えて、『いばる』を使った!)」
リリル「むっ……!(ツノに噛みつかれ、振り払おうとしたが、眼前で『いばる』を使われた!彼女の声とは思えない咆哮が湖中に響き渡る。攻撃は上がったが、混乱してしまった!)ンガーーーーーッ!!(混乱してるから、というより怒りからか。勢い良く両前足にあるアシガタナを抜刀し、逆さ吊りのミズを両サイドから挟み撃ちをするように『シェルブレード』二刀流! 混乱しているのでダイスの目が1ならば自身のツノに攻撃がいく!)」 (1D3 → 1 = 1)

【ターン3】

ミズ「(――来た!パッと手足を開いて落ちるようにして避ける。混乱した上に、両方の前脚を上げて思いっきり攻撃をする体勢――リリル自身を攻撃したことは、儲けモノだ。故に――下に隙が生まれると見た!)―――うわあああっ!!(吠えるように、叫ぶように大きく口を開いて声を上げ、思いっきり体に『かみつく』を仕掛けた!)」
リリル「ンガッ……!(さすがに自身のツノにシェルブレードが二発も当たれば一瞬我に返る。しかし、時すでに遅しだ。下の隙をつかれ、『かみつく』を食らう)ぐぅっ……!(そのまま仰向けで倒れ込んでいく。噛み付いているミズに目掛けて一本のアシガタナを使った『せいなるつるぎ』! まだまだ混乱はしているのでダイスの目が1ならば、自身の身体にダメージ!)」 (1D3 → 2 = 2)

【ターン4】

ミズ「(大柄な相手を倒した!行けるかもしれない――油断ではないが、一瞬過った思い。故に、迫る攻撃への反応が遅れた!)あがっーー(力強い一撃。横腹に受けてあっさり弾き飛ばされて地面を二転三転――高威力の技を二発も受けてしまった。削られた体力は余りにも大きくて……湖を背に、なんとか起き上がるものの、膝を付きそうになるが……踏ん張った!)頑張るんだ、って――決めた、んだ……!(ざわざわと、『げきりゅう』の影響か湖面の水が騒めく。力強く天を仰いで吠えたてれば、それに合わせて湖にも幾つか水柱が立つ――そして、仰向けに倒れるリルルを囲むように、地面に小波が立つ――彼女の下から、威力の増した『みずのちかい』の水柱が突き上げられる予兆だ!)」
リリル「……ハッ!(『みずのちかい』の予兆を感じ取り、身の危険を感じて我に返った。仰向けの状態からぐるん、と回転して起き上がる。ツノを攻撃した時に落としてしまっていたもう一本のアシガタナを手に取り、両手にアシガタナを携えた。目の前でアシガタナを交差させると、アシガタナの切っ先から水が迫り上がる。そして……)せぃ、やっ!!(水を纏ったアシガタナ。『シェルブレード』を地面に叩きつけた反動で飛躍し、『みずのちかい』の回避を図る!)」

【ターン5】

ミズ「――ゥゥ(顔を下ろし、唸りながら真っ直ぐにリリルを見据える。技の反動を利用して、飛び退いた相手の姿が水柱に隠れた。意識が地面に向いている――避けることに意識が向いていたのならば――今だ)ワァァ――ニャアアァッ!(吠えるような鳴き声と同時、湖の水をも巻きこんだ「アクアジェット」が背を押し、包み、ワニノコの体を撃ち出した。「げきりゅう」の効果か、最初よりも威力・速さの増したそれは、水柱のカーテンを貫いて、その先にいる 『と思われる』 リリルの正面に現れた!)」
リリル「(ミズの鳴き声に反応した。『アクアジェット』で突っ込んでくるミズに)っ!しまっ……!(咄嗟の『メガホーン』で向かい撃とうとするが、速さに追いつかず、『メガホーン』を発動する前に『アクアジェット』を食らう!そのまま地面に落ち、ドスンと音を立てて倒れた。戦闘不能です!) 」


 リリル、戦闘不能!
 このバトル、ミズの勝利!

ミズ「(思いっきり頭から突っ込んだ。ごつん、と鈍い音が一つ。パァンと纏った水が弾け、跳ね返った体は地面をぽてん、ぽてん、と転がり――仰向けに倒れ込んだ)――ハアッ……ハァ……あ、い、たた…た…(息も絶え絶え、ゆっくり体を起こし、倒れ込んだリルルを見て)――勝っ……た?」
シャイト「おわぁ……(ぽかーんと口を開けている。一瞬間が空いたが、手を叩いて拍手をした)すごい!ミズの勝ちだよ!!(ぴょん、と木の枝から降りた)」
リリル「うぅー、負けた……(口をとがらせている……)……んでも、楽しかったよ。(にへら、と笑って)」
ミズ「……よ、か、ったぁ(勝てたこと、リリルの笑顔にホッとすると、糸が切れたかのように起こした体が再び仰向けに倒れた)あ、た、たた……まさか、勝てるとか、思わなくて……(はぁっ、と満足そうに大きく息を吐いた)」
シャイト「おわ、ちょっと待って……(ガサゴソとバッグを漁る)……はい、オボンのみ(とミズとリリルの傍に置く)」

 勝負はついたもののミズも体力はぎりぎり。
 緊張が途切れ、どちらも動けなくなったところへ、すかさず差し入れが。
 さすがはダンジョン攻略を生業とする冒険家のシャイト、仲間のために木の実は常備しているようだ。

リリル「(倒れたまま、モッシャモッシャとオボンのみを食べている)……ワタシ、バトルの中盤何してたか全く覚えてないんだけど(なんか中盤だけ記憶飛んでる……と呟いて)」
シャイト「そりゃあ覚えてないよねー……(あれで覚えてたらビックリだ)」

ミズ「ありがとう、ございます……(硬いオボンの実、一口で口に入れると、ガボンと一回で噛み砕くワニノコの顎( そのままもぐもぐと口を動かし、飲み込んだ。リリルが話しているのは、「いばる」の後だろうか…)――僕も、なんだか途中から夢中で……最後の方は、あんまり覚えてない、です(はは、と苦笑いを零し)……僕、ちょっと休んでから、帰ります…バトル、ありがとう、ございました…(木の実を貰ったが、息も絶え絶えである()」
リリル「えーと……、『いばる』を使われて……気がついたら倒れてたってくらいしか覚えてない……(酔っ払いか何かだろうか)」

 相手を挑発し、攻撃力を引き上げると同時に混乱させる技「いばる」。
 逆により強い技を自分が食らってしまう可能性もある、なかなか大胆な技だ。

シャイト「まあ良かった。そんなに夢中になれたんなら大成功だよ!(ミズの帰る素振りを見て)……霧の途中まで送ろうか?(ほっとけない)」
ミズ「あ、い、たた…た…(起き上がると、服と靴を纏めて、端を持ちながら)あ、大丈夫です…この辺でちょっと休んでから、帰るんで…(あはは、とシャイトに笑い返した後で、リリルを見て)あの、リリルさん…ありがとう、ございました!(と、改めて一礼。森へと歩いていくのだった――)」
シャイト「そっか、分かった!気をつけてね!(ひらひらと手を振って)」
リリル「(休んでから帰るってさっきも言ってたでしょうが、と言いたげな眼差しでシャイトを見ていたが)こちらこそ、ありがとう!また会おうね、ミズくん!(とミズに向かってにこやかに手を振った)」
シャイト「さ、僕らも帰ろう。もう夜遅いし……」
リリル「そうだねえ……(二匹はのんびり帰りましたとさ。) 」