2020年8月5日 夏祭りバトル!熱き疾風の激突!!  編集:Rista

夏真っ盛り、島はおなじみ夏祭り。
今回はいろいろあって人手は少なめだったものの、恒例のポケモンバトル大会は例年通り実施され、個性豊かな面々が腕を競い合った。

これはそんなお祭りの一場面。
2020年大会に刻まれた熱戦の記録である。

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模擬店開催期間はまだ翌週だったためか、島への出入りは少ない。
波が打ち寄せる音の他に何も聞こえない入り江は、文字通りに静かだった。

おや、砂浜の様子が……?

ドン「よいしょっと(霧…からではなく地面からひょっこり顔を出した。砂を掻き分けてその巨体が現れる)もうすぐ祭りだったな。食材もそろそろ仕入れておくか」
 ドサイドンが あらわれた!
 ……いや、なぜそんなところから出てきたの? などとツッコミ入れてくれる仲間は一緒ではないようだ。
ドン「いや先にバトルもやってたか。(砂を払い、地面を均して)ロイドってたか、前にバトルの話もしてたからどっかで出来るといいけどなぁ」

 そこへ現れた二人連れ。
ロイド「うみはひろいーなー、おーきいなー。(リザードンのレンを連れ歩きながらやってきた。) 」
レン「築地から見る海とは一味違うな。」
 リザードンと肩を並べているのは、二股の尾を持ち二足歩行をする灰色の猫。妖精の一種ともいわれる“ケットシー”のロイドだ。
 オーバーオールを着込んだ姿を遠目に見れば人間とあまり変わらない。本当のところそれは実体ではなく、いわゆるアバターなのだが、細かい説明は脇に置く。
 今ここで大切なのは、彼?がポケモントレーナーである、ということだけだ。

ドン「…その前に今年はギディさんと力比べできるかなぁ(現れた地面を戻した後モンスターボールを撫でる。霧からきたロイドやレンを見て)あ、噂をしたらなんとやら」
ロイド「あっ、ドンさんだー。こんばんはー。(にぱっと笑顔)」
レン「しかし、やっぱドサイドンにしちゃ大柄だな。何を食べたらあそこまで大きくなるんだがな……。」
ドン「…よう。(ロイド達に手を振り、レンをの方をみた)毎朝カレーと牛乳かな?…前に言ってたが、バトルやるかい?」
ロイド「ドンさんが対戦相手になってくれるのー?」
レン「……普通っちゃ普通か。いいぜ、相手になってやらぁ。」
ロイド「でも、ドサイドンだからレンと相性が悪いね。」
レン「上等だ。逆境こそが燃える方だしな。」
ドン「そんな特別な事はやってないぜ、毎日普通に飯食って鍛えて…でも良いけど、相性として良いのか;って思う所はあるんだよな…」
 でと、ドンが手にしているモンスターボールを手元で転がして見せた。当のドンがドサイドンの中でも大柄なので、ボールは相対的に小さく見える。
ドン「そこでピンチヒッターが居るんだけどどーかな?レン?っていうんだな。アンタが構わないなら…俺でも良いが?」
ロイド「どうしようか、レン?」
レン「あぁ?別に俺は誰が相手でも構わねえが、采配はプレイヤーであるロイドの役目だ。」
ロイド「(しばらく悩んだ末に)そのピンチヒッターの方でいいかな?」
ドン「よーしわかった!それなら今度俺とだな!(頷くと後ろに下がりながらボールを放り投げた。白い光が放たれるとボーマンダが地面に降りるように現れるぞ!)ルールは5ターンか無制限だ。投稿はこっちでやっとくから気にしなくて良いぞ!」
レナ「レナです…ところで(左側の目に大きく傷をつけ、真っ赤なマフラーをなびかせながら軽くロイド達に礼をした)私いつから代打になったんです?(…」
 ボールに入って連れ歩かれていたボーマンダと、そのボールを運んでいたドサイドン。別にトレーナーとポケモンの関係ではない。
 しかし地中を潜っている間も土や砂から守られていたわけだから、便利な道具としての使い方ではある。かも。

ロイド「わぁ、ボーマンダさんだねー。」
レン「ある意味やりにくいが、まぁ試合にレディファーストは勘弁な。ロイド、いつも通り指示を頼むぜ!」
ロイド「うん、まかせて!」
 こちらはかけ声一つで準備万端、スイッチが切り替わったようだ。
ドン「それじゃあ…行くぞ姉貴。相手はリザドンでも始めてだ。ロンやユディーの時よりも確実に行くぞ(全体を把握できるようにさらにドンが離れて、顔のプロテクターにインカムを装備した)いつでもこい!」
レナ「…ええ。(ドンの言葉に軽く頷くとその場からすぐに動けるように四股を広げ力を入れる)」

試合開始!

ロイド「レン、『りゅうのまい』!」
レン「ギア上げていくぜ!(最初は仕掛けず、りゅうのまいで攻撃力と機動力を高める)」
ドン「初動でメガシンカはないか。oO(間接で来ると持ったが、舞なら近接特化の可能性が高いか)…ならこっちもだな!」
レナ「えぇ!(こちらは飛び上がって攻撃を回避するつもりだったらしい。地面を蹴って宙に浮くとそのまま勢いで縦に宙返りをし、振り払うように爪を展開した。こちらも「りゅうのまい」だ!攻撃とすばやさがあがった!)」

ロイド「あっちも初手のりゅうのまいだね……。」
レン「上等じゃねえか、俄然燃えてくるってもんだ!」

 「こうげき」「すばやさ」を一段階上げる「りゅうのまい」。
 激しい舞のプレッシャーと視線がぶつかる。どちらも気合いは十分だ!

ロイド「行くよレン、『フレアドライブ+』!」
レン「うぉぉぉぉぉ!(炎を纏いながらレナに突っ込んでいく!フレアドライブ+は従来より威力は若干下がったが大幅に反動ダメージを抑えた強化技である。)」
ドン「…フレアドライブだ!こっちの剣じゃ歯が立たない、避けれるか!?(レン技が威力を落としたものと知らないこちらは炎を纏った瞬間にドンが技を特定、早口でインカムに向かって声を出す)」
レナ「…っ!(ドンの声を聞きながら羽ばたき、反転して加速すると追ってくるレンとぶつかる時間を伸ばす。その間にレナは呼吸を整えて前面を向けるように体を向け、上側を飛び越えるように避けようとするが、勢いが落ちてないフレアドライブに跳ねられて吹き飛ぶが)勢いが落ちてない!(流石にこの程度で倒れる訳ではない。浮力を失い落下するが、水面を飛行するように飛ぶと下から回り込むように飛翔し、爪に光る刃を伸ばすと切り抜けるように「ドラゴンクロー」で切りかかるぞ!)」
レン「ぐっ!?(ドラゴンクローを受けて失速し、地面に転げる)」
ロイド「レン、大丈夫!?」
レン「こんなのはまだ、かすり傷だ。指示をくれ!」

 2ターン目にして攻撃がぶつかり合った!
 レンの「フレアドライブ」は反動を伴う技、だがその使い方はひとつじゃない。使い手や強化方法によってはこんなこともできるのだ。
 かたやレナも負けてはいない。翼が自慢のボーマンダらしく、空中で姿勢を立て直して反撃を決めた。

ロイド「レン、『かえんほうしゃ』!」
レン「燃えろぉぉ!!(レナにかえんほうしゃを繰り出す。こちらは従来通りの性能。)」
ドン「…安定化に成功した技か!それなら火力ではこっちが上のはずだ!」
レナ「立ち直りが早い!?(切り抜けが決まりそのまま上昇してからUターンをして急降下。そのまま突き刺してとどめを刺そうと思ったが、「かえんほうしゃ」を受け射線から避難。「ドラゴンクロー」で火球を切り払いダメージを抑えながら地面に着地した)次はフルパワーで行きましょう!…このヒトなら本気でやりあえる!」

 リザードンといえば大火力の炎!
 シンプルな攻撃は出も早く素直に届く。このターンでは防戦に回ったレナ、次はどうするか。

レン「小手先の技じゃ掻き消されるか。」
ロイド「相手ドラゴンタイプだから中々ダメージ通らないしねー。」
レン「タイプ相性なんぞ言い訳だって言いたいが、それだと後であの二人にブーブー文句言われるな。」
ロイド「多分聞かれてるよ。ボールにいるアーリアとロビンは僕と視覚と聴覚を共有しているからね。」
レン「なんてこった……。相手も本気で来るようだ!上等だぜ!(フレアドライブ+で勝手にレナに特攻していく)」
ロイド「ん?あれ?僕の指示は?」
 心も燃えてきたらしいレン、なんとロイドの指示を待たず勝手に飛び出していった!
 その間にドンとレナは何かを準備している?
ドン「…よしわかった(レナが首に巻いたマフラーを引っ張るように脱ぎ捨て、首につけたチョーカーが、キーストーンが光り、その後方ではドンが腕にベルト型の機械を取り付けた。) 『犀竜一体!』」
 ドンのメガベルトにつけたメガストーンと、レナのキーストーンが共鳴し、入り江に風が吹き荒れる!
 目に見える程の白い風がレナを包んだかと思うと、メガシンカしたボーマンダが現れた!
ドン「竜の「おんがえし」!(特性で強化された「おんがえし」!風の束があつまり、青白い爪の刃を展開すると横に薙ぎ払い、フレアドライブにぶつけるだろう!纏った炎ごとレンを吹き飛ばせるだろうか?)
レナ「今の私は「スカイスキン」!技も明日へと吹き抜ける風となる!」

 説明しよう!
 メガボーマンダの特性スカイスキンは、ノーマルタイプの技を出したとき、ひこうタイプの性質が追加される。
 しかも通常より少し威力が上がるのだ!

レン「(技を放ったはずが逆に吹っ飛ばされる)今、何が起きた!?」
ロイド「まずいよ、相手メガシンカしたよ!」
レン「俺はまだ使えないが……。この状況をひっくり返すなら、あれをやるしかないな!ロイド、アレ使ってもいいよな!?」
ロイド「うん、遠慮なく使って!(空中に三画の紋章を展開し、そのうちの一画が消失する)覚醒紋章(クレスト)装填!レン……行って!」
 空中に浮かび上がったのは、メガシンカのシンボルとはまた違う印。
 パートナーとの絆は様々な形でポケモンに力を与える!
レン「力が、みなぎるぜ!(対するレンも、メガシンカに匹敵する力を纏ったようだ。そのまま空中に舞い上がる)この一撃が、俺の全力だ!(レンの攻撃と特攻がぐーんと上昇し、太陽のように球体の炎を纏う)これが、俺が持つ大技オーバードライブ!レイジング、サン!(球体の炎を纏ったまま突撃する。その規模は先程のフレアドライブとは比較にならない)」
(1D100 → 92 = 92)
ドン「全力には全力!技には技!ついでに勝負にも勝つ!」
ドン&レナ『犀竜!「極限」一体!(二人が同時に叫ぶと二人の動きが連動するように腕を上げ、レナが風を巻き上げて上空に飛翔した。レナを中心吹くように島の風の流れが代わり、見えない空気の壁とボーマンダの赤い翼が確認できない程の風圧を纏って押しつぶすように頭上から突撃する。スカイスキンで強化された「ギガインパクト」!)』
(1D100 → 89 = 89)

 全力と全力が、互いに相手の底を知らないまま、真正面から激しくぶつかる!
 レンの爆風とレナの風が合わさって、周囲を巻き込むほどの熱風が吹き荒れた。

 メガシンカによる技の強化と体力的な余裕から生まれた勢い――
 全く違うシステムがもたらす大技と逆境でブーストされた心――

ドン「(満ちた波を押し返し、ドンも思わずその場に座り、腕を地面に置いて耐える程だ。)…姉貴!」
レナ「…っ;(レンもレナも爆風に巻き込まれて上空に吹き飛ばされるだろう。そのまま地面に落ちずに体制を直すと砂浜に跡をつけるように滑りながら着地した)まだなんとか!?」
ロイド「レン!?大丈夫?」
レン「やべぇ……身体の節々がいてぇ……。(激しい戦闘から解放されたためか身体が急激に悲鳴をあげる。)」

 風が収まった後、そこにいたのは、なんとか着地したものの次の攻撃とまではいかない両者。
 どうやらほとんど互角、相打ちに近い結果だったようだ。

ドン「…流石に5ターンじゃ決着は無理だな。(メガベルトを外して、風が吹くとレナが元の姿に戻るだろう)ブラストバーンとは全く違う技に見えたけど何の技だ?」
レナ「アレ破るなんてすごいじゃない。(元に戻ると、全員から離れて捨てたマフラーを拾いに行く)カッコつけて捨てちゃったけど何処飛んでたんだろう(…」
ロイド「勝敗は問わないらしいからいいんじゃないかなー?あぁ、あれ?技一枠を使って修得できる『オーバードライブ』という分類の技だよー。あまりに強力だから本来は一戦闘に一度しか使えないけど、戦況をひっくり返せるほどの、文字通りの切り札だよー。普通の超強力な技は何らかのデメリットを伴うけど、オーバードライブに属する技はむしろ強化効果を受けてから放つという規格化のものなんだ。今戦ったレンはもちろん、僕の手持ちの残り2匹も修得しているんだ。そのかわりに通常技は三つしか覚えられないけどねー。
レン「俺は逆境には強いタチでな。まさかメガシンカ相手にあそこまでやりあえるとは思ってなかったがな……。(筋肉痛でうずくまったまま)」
ドン「…Z技を取得したようなものか?(でも強化して放つのはちょっといいなーと腕を組んで)なら次は俺とだな!オーバー技ってのがアレだけ強いなら受けてみたいものだ!」
レナ「昔はもーちょっと動きが良かったんですけどね…;(目元の元々ある傷に前足で触れ、見上げれば枝に引っかかったマフラーがある)あった!」
ロイド「システム的には近いかな。僕達プレイヤーのポケモンは通常技も強化できるから三つでも戦えるバランスにはなってるんだよー。オーバードライブは能力強化が入ってから放つもののほかにフィールドを変動させる効果があるものもあったり様々なんだよー。」
レン「あぁ、後日な……。今は無茶しすぎたのか筋肉痛なんだ……いてて。」
ロイド「勝敗はどうあれ、久々に熱い戦いだったね。」
レン「だな。アリーナでの他のプレイヤーとの戦いもここまでの手応えじゃないしな。」
ロイド「うーん、あれは日銭稼ぎの狩場を選んだだけだからね……。」
ドン「ダイマックスとか色々便利だけど制限がある技だな。なら破れない事はなさそうだな…」

 ここで撮影は終わっている。
 目撃者によると、ドンはここで回していたビデオカメラを止めて、中身を抜き取ると店の方に振りかぶって放り投げた……らしい。
 その動きをユウリさんが予知してサイコキネシスでキャッチしたとかしないとか。

 何はともあれ、熱い勝負のひとつがこうして幕を閉じたのであった。