ポケモン基礎知識(1) ポケモンとは?

この島で過ごすにあたり、決して避けては通れないもの――ポケモン
島の中だけでなく、霧を通してつながっている多くの世界にも、彼らは存在する。

ポケモン。それは一言で言うなら、不思議な生き物。
わざを使い、戦ったり冒険したり、ときには誰かを手伝ったり。
怖がらなくていい。
あなたが彼らのことをよく知り、よく心を開けば、彼らはあなたの心強い味方になってくれるだろう。

ここでは「初めてポケモンとふれあう初心者トレーナー」そして「初めてポケモンと出会った人」向けに、ポケモンという存在について解説する。


<特徴>

ポケモンとは何なのか、それは諸説ある。
一般的には、ある共通の特徴を持った生き物をひとくくりにした呼び名とされている。
ひとつの生態系、という人もいる。

ポケモンはもともと「ポケットモンスター」の略称で、その名は“元がどんなに大きくても、ポケットに収まる大きさまで縮こまることができる”という一風変わった特徴に由来する。
今も世界や時代、情勢によっては別の呼び方をされていることもある。

だから、ひとくちにポケモンといっても、様々な種類がいる。
最新の研究によれば、人前に現れその姿がはっきり確認されているものだけで718種にものぼるという(2014年1月現在)。
それぞれ違った姿や能力を持ち、住み着く場所もそれぞれ違う。
どんなものがいるのか気になったあなたはぜひ、「ポケモン図鑑」をひもといてみてほしい。

ポケモンにも心はある。人間の言葉を何となく分かっている種族も多いらしい。
中には人にも分かる言葉を話したり、テレパシーで心を通わせることができるものもいる。
違う生き物だからどうせ分からないだろう、なんて高をくくっていると痛い目に遭うことだろう。


<分類>

ポケモンはとにかくたくさんいるので、分け方はいくつかある。

・わざなどの能力に関わる「タイプ」
どのポケモンも必ず1つか2つ、「タイプ」と呼ばれるものを持っている。
これはポケモンたちの性質や特技などにより分けられていて、主に戦いの場面でわざを仕掛けたり、受けたりするときに影響する。
詳しくは「ポケモン基礎知識(2)タイプと相性」で紹介している。

・特徴による「分類」
ポケモン図鑑の各種類の説明には必ず「○○ポケモン」という表記が付けられている。
姿などの特徴を、似た生き物の名前などを借りて表していることが多い。
普段意識されることは少ないが、ポケモンをよく知らない人にとっては、どんな感じの生き物なのか想像するのに役立つことだろう。
同じ分類名を持つポケモンも何組かいるが、必ずしも近縁種とは限らない(でも近い特徴があるのは確か)。

・おおざっぱな「生息地」
水の中、森の中、洞穴の中、草原や砂漠や火山や深海、などなど。
それぞれに違った種類の野生ポケモンが住み着いている。

・子孫を残す際に関わると噂される「タマゴグループ」
実は、ポケモンがどうやって生まれてくるのか、人間の研究者は誰も解明できていない
わかっているのは「オスとメスのポケモンが一緒にいると、どこからか“タマゴ”(注)を持ってくることがある」こと。
しかも、同種のポケモン同士でなくても、似た特徴を持つポケモンのペアならタマゴを拾ってくる場合があるのだとか。
この「ペアを作れる組み合わせ」の研究から作られた仕分け方がタマゴグループである。
あくまで学者たちの調査の結果なので、本当にグループ内の組み合わせでないとダメなのか、本当のところは分からない。
(注)この“タマゴ”についても、他の生き物のタマゴとは違う、ゆりかごのようなものだという説もある。

・伝説のポケモン
滅多に出会うことができず、言い伝えなどにその名を残すだけ、という珍しいポケモンもいる。
その多くは強大な力を持っていて、人が滅多に来ないような場所にひっそりと暮らしていたり、一所にとどまらず各地を飛び回ったりしているらしい。

・幻のポケモン
存在することは確認されているものの、目撃例もほとんどないような種類だっている。
出会えたらラッキー。
彼らと次々に出会っては友達になれるような人間がいたら、それは何かの物語の主人公だ。


<「わざ」と「とくせい」>

ポケモン全体に言える大きな特徴の一つとして、さまざまな「わざ(技)」を使う、というものがある。
それはポケモン同士で戦うときだけでなく、ときには人の仕事を助けたり、邪魔したりするのにも使われる。
「わざ」にもタイプが存在し、どのポケモンがどの「わざ」を覚えるかは千差万別だ。

ポケモンたちは経験を積んで成長し、様々な「わざ」を習得していく。
多くは教えられなくても自力で習得していくので、きっと遺伝子に刻み込まれた先祖代々の技能なのだろう。
また、自力ではひらめかないような技を、誰かから伝授されることもある。

一方「とくせい(特性)」はポケモンたちが生まれつき持っている体質や性質のひとつ。
多くは戦いを有利にしたり、悪い状況から身を守ったりしてくれる。
しかし内容によっては自分の意志に関係なく勝手に発動する場合もあり、一概にお得とは言えない。

「とくせい」は「わざ」と違って一生忘れない代わりに、選ぶこともできない。
また、種類ごとに持っている「とくせい」のバリエーションは決まっている。


<進化>

ポケモンたちの多くは、成長すると姿を変える。
それも少しずつの変化ではなく突然、一気に、別の姿に変わってしまうのだ。
この大変身をポケモンの世界では「進化」と呼んでいる。

著名なポケモン研究者の学説によれば、世界に存在するポケモンの90%は何らかの形で「進化」に関わっているとされる。
進化の条件は、多くの経験を積む、特別な道具に触れる、特定の場所へ行く、などさまざまだ。
1種類のポケモンに何通りもの進化パターンが存在することだってある。
ちなみに進化は一方通行。成長前の状態に戻ることはないとされる。

一部のポケモンは進化とは別の変身パターンを持っている。
こちらは「フォルムチェンジ」と呼ばれ、条件次第で元の姿に戻ることもある。

また最近の研究では、戦闘中に限ってさらに姿を変える「メガシンカ」なる現象も、一部のポケモンで確認されている。


<ポケモンと人間>

多彩すぎるポケモンたちのほとんどは、つい最近出てきた存在ではない。
有史以来常に人間のそばにいて、縄張りを争ったり、協力して文明を築いたりしてきたという。
中には人間の文明や科学技術から生まれたポケモンもいる。

たいした力を持たない人間はポケモンときずなを結び、力を借りる代わりに世話をしたり、作戦担当として一緒に戦ったりしてきた。
多くの世界で、特定のポケモンと共に生きる契約を交わした人間は「ポケモントレーナー」と呼ばれる。
トレーナー。つまり、戦うポケモンを指導し育て上げ、より強くなるよう手助けする存在というわけだ。
でも強さだけを競っているとは限らない。美しさをみがくペアもいるし、人助けやポケモン助けを信条とするチームもある。

そして忘れてはならないのが「モンスターボール」。
上記の“小さく縮こまる”性質を発見した人間たちが発明した、ポケモンを収納して持ち歩くための、手のひらサイズのアイテムだ。
これが広く普及した世界では、ポケモンという存在の象徴として、これをかたどったマークがよく使われている。

[モンスターボール]
 丸を書いて、左右に線を引いて、それをまた丸で囲むデザイン。覚えておいて損はない。
 ちなみに真ん中の丸はボタンで、押すと本体が上下に開く。

モンスターボールは、野生ポケモンを捕まえ、トレーナー契約をするために用いられる道具でもある。
小さく丸まって眠る場所なのでだいたい頑丈。居心地も日々改良が続いているとか。
また、1個のボールには1匹しか入れず、一度誰かが入ったボールに他のポケモンが入ることはできないので、専用の個室とも言える。
このため外敵だらけの世界よりは安全だと考えるポケモンや人間もいるし、人間の都合で一方的に閉じこめるオリだと主張する人間やポケモンもいる。

一方、人間のいない世界で暮らしているポケモンもいる。彼らは実に自由だ。
でもなぜか人間の文化から生まれたはずの種類も混ざっているという。
本当は、ポケモンのいる世界と世界は、どこかでつながっているのかもしれない。


ポケモンについてよく聞かれる言葉とその説明は、だいたいこんなところだろう。

何度も言うようだが、最後にもう一度だけ。
ポケモンは生き物だ。
これからポケモンたちと仲良くなりたければ、それだけはどうか忘れないでほしい。
彼らを道具として扱うことなど決してないように……