伝説のロケット団員  作:アーチャー 投稿日時:06/1/26


今から数週間(あるいは数ヶ月)前のこと。
とある辺境の森に堂々と建っている○○ロケット団基地での出来事。
その基地の近くで、1人のロケット団員と1匹のカイリュー、そして機械仕掛けの生命体が居た。

「・・・どうするよ?」
「僕に聞かないでよー;」
「・・・まぁとにかく、だ。こいつは凄まじい戦力になりそうだ!このヘルカイザーが最高幹部になる日も遠くねぇな!」
この発言に対して、機械仕掛けの生命体―レックウザをモデルに造られたと思われる―が口を開いた。
「?・・・その、凄まじい戦力とはどれの事なのですか?」
「お前だお前!」
ビシッとレックウザ(仮称)に人差し指を向けるロケット団員。
「その発言は間違っています。私には確かに戦闘用プログラムが内蔵されていますが、それはあくまで自衛手段です。」
それを聞いたロケット団員とカイリューは同時に同じ事を思った。
『どうしたものか・・・。』

おっと、登場人物の事を知らない人の為に登場人物紹介を。
このロケット団員♂の名はシュラン。
パートナーのカイリュー♂と共に行動する事が多い。


さて、この会話から数日前のこと。
ロケット団員のシュランが(多分)大晦日の日に(多分)神秘の滝をいつも通りにロボットで襲った。
無論、他の人によって問題なく処理(分解)されたが、その後分解した者からレックウザのロボットを譲り受けた。
それを基地に持って帰ったシュランが面白がって試しに知能回路を取り付けてみた所、これが大成功。
と、ここまでは良かったが、性格が小問題。
なにせ素人が作った知能回路だ、入力ミスが多数あった為に子供並に好奇心が強いのだ。(まあ素人が知能回路作れるのか、という事は置いといて。)


y月x日。
森でシュランとカイリューがロボットのレックウザ―ニックネームは「メクウ」―と会話してから1日が経過した。
本部はメクウを「性格のせいで戦力にはならない」と判断した為、全責任をシュランに持たせることで、シュランがメクウを所持する事を許可した。
その許可証と共に、シュランの居るロケット団基地に凄まじい物が届けられた。

『予告状。明日の午後23時、貴殿らの基地を破壊しちゃうからよろしく!by.伝説の基地破壊者』


14:30。○○ロケット団基地司令室。
この予告状について、お偉いさん方による緊急会議が行われていた。
「どう見ても悪戯でしょう。他の基地ではよくある事です。」
「だが予告なしに破壊された前例もある。しかも1人の少年によって。」
「それは一部の例外のみだ。ここは確かに辺境の地に建ってはいるが、そんなにヤワじゃない。」
「だが我々が例外になる確率は充分ある。・・・ここは念のため防衛策を講じては?」
「・・・よかろう。各部隊に戦術警報!対策は追って伝える!」
「はっ!」


16:30。
シュランは自室―中・高の寮に限りなく近い部屋―で暇そうに・・・マリオカートDSをやっていた。
「・・・っしゃあ、ぶっちぎりで1位!さすが俺!最強だな!」
「そりゃ毎日3時間以上やってたら上手くなるよ;しかも勝率90%以上の相手には全敗してるし;」
隣りでカイリューが窓から外を眺めている。
「えーい黙れ。・・・ふぅ、しっかしこの基地も暇だよなぁ、悪戯っぽい予告状ひとつで戦術警報かよ。」
言いつつDSを閉じるシュラン。
「最近物騒だからねー;」
「そんな事を言ったら俺はどれだけ危険人物なんだ・・・・・・そうか!俺は危険人物なのか!ふっふっふっふっふ・・・。」

「そういやさー、この基地の戦術警報ってどんなの?」
「無視かよ!ってか、どんなのと聞かれても・・・まあそうだな、通常の団員(およそ20名)は自室で待機。特殊部隊(およそ10名)は見回り。幹部クラスはいつでも侵入者と戦えるように転送室で待機って訳だ。」
「転送室?・・・あれ、そんな未来っぽいのがココにあるの?」
「ケーシィのテレポートを利用しているんだ。」
「あ、そう。」


19:00。
他愛のない会話をしている内に、夜になっていた。
シュランが夕食を食べつつビデオ―アニメのポケモン―を見ていると、ガチャっと部屋のドアが開き、特殊部隊の1人が入ってきた。
「異常は無いか?」
「ねーよ。」
「そうか。・・・今どんな場面だ?」
「ハルカが時渡りしてる場面。」
「ほぉ・・・じゃ、俺も見せてもらおうか。」
特殊部隊の団員も一緒になって食事しつつテレビを見始めた。


(x+1)日の21:00。
他の団員たちは緊迫した状況にあったが、シュランだけ違っていた。
「えーと・・・時間過ぎるの早いねー;」
「仕方がないだろう、ショートストーリーなのだから。」
自室でシュランとカイリューは大乱闘スマッシュブラザーズDXをやっていた。
「っしゃあ、俺の勝ち!リンク最強!」
「うぅー、僕のヨッシーだってホントは強いもん!もう1回やろ!」
「おぅよ!」


そして運命の23:00。
○○ロケット団基地から約1km離れた所に黒マントの怪しい人が立っていた。
「・・・・・・転送。」
そう言った直後、その不審人物はテレポートし、1kmという距離を一瞬にして0にした。

だが場所が悪かった。
いや、幸運なのかもしれない。
この謎の人物、事もあろうにシュランの真後ろにテレポートしたのだ。
侵入者の存在に気付かず、シュランとカイリューはカービィのエアライドをしている。
「っしゃ、また勝った!」
「嘘だぁー;」
「・・・・・・。」
気付かれない事がある意味不満なのか、その場に立ち尽くしていた。

数分後。
ゲームを終えたシュランが振り向くと、未だに侵入者が立っていた。
「うぉっ、誰だてめー!」
「気付くの遅いわボケが!」
「逆切れしたΣ!;」
すかさず突っ込むカイリュー。
「やかましい!緊迫した空気が漂ってるのかと思ったら、一撃でその状況を破壊しおって!」
「ゲームして何が悪い!」
「何か論点ずれてないΣ!?;」
「むぅ・・・まあいい。大体、貴様何者だ!」

シュランが問うと、侵入者は数歩下がってこう答えた。
「我か?我は国際連合よりある命を受けし者!この基地に存在する最強兵器を破壊しに来た!」
「凄いところから命受けてるーΣ!?・・・って、あれれ?僕この基地に最強兵器があるなんて聞いた事ないよー?」
「以下同文。」
はしょるシュラン。
「隠しても無駄だ!センサーで武器の存在を感知しているのだ!ここにかなりの威力を持つ兵器があるって事をな!」
「そう言われても、ねー。」
「ねー。」
カイリューとシュランは顔を見合わせる。

「・・・まあいい、少し暴れていたらすぐに分かるだろう。」
そう言い残して、その派遣員―侵入者―はシュランの部屋を後にした。
「・・・・・・国際連合だってよ。お前信じるか?」
「それ以前の問題だと思う;きっとアレ、どこかの変人だよ。他の人に任せよ。」
「同意。」


それから更に数分後。
シュランとカイリューは問題なくゲームを再開していた。
「ふー・・・喉が渇いたな。食堂行って何か取ってくるわな。」
「あ、僕コーラがいいー。」
「へいへい。」
そう言って部屋の外に出るシュラン。
「・・・・・・何ぃーΣ!?」
「?・・・どしたのー?」
シュランの驚愕な声を聞き、部屋を出るカイリュー。
すると、そこには傷ついたロケット団員やポケモンが倒れ、壁も多少崩壊しているという光景があった。

「・・・もしかしてー、さっきの変人って本物な罠?w」
冷汗流しつつカイリューを見るシュラン。
「そーみたい・・・w」
同じく冷汗流しつつ応答するカイリュー。


シュランとカイリューが冷汗を流してから3分後。
崩壊寸前の司令室にて、派遣員と隊長(いわゆる所長?)が対峙していた。
「さあ、兵器のありかを吐くんだ。そうすればこれ以上の被害は出ない。
「そ、そんな物は無い!行けぃバシャーモ、ブレイズキック!」
「バシャーモッ!」
隊長のバシャーモが派遣員にブレイズキックを繰り出す!
技は派遣員に直撃したものの、ダメージは0のようだ。
「無駄だ。我には特殊能力がある。」
「な・・・貴様、一体・・・?」
「さあ、誰だろうな・・・?」

こんな緊迫した状況の最中、そんな雰囲気を一撃でぶち壊す輩が、ソフトクリームを食べつつ司令室に飛び込んできた。
「隊長!・・・チッ、生きてやがった。」
「何ぃ!?」
「えーい、まあいい・・・オイてめー!俺の基地で随分暴れてんじゃねーか!」
「それより今のお前が問題だろうが!;」
焦る派遣員。
「まあいいさ、とにかく貴様を倒して俺は幹部昇進してくれる!」

直後、派遣員が素早く銃を抜き、シュランの持っていたソフトクリームを粉砕した。
「・・・次は外さんぞ?」
「き・・・貴様、よくも俺のソフトクリームを・・・・・・許さねぇ!」
「・・・は?」
派遣員が戸惑う間もなく、シュランは通信機を取り出した。
「ふん、今から応援を呼んでも無駄だ。」
「おいアーチャー!そっちの転送機でこの基地に存在する全てのロケット団員及びポケモンを転送!方位180、距離は1km!」
『急だな・・・分かった。』

通信機からそう声が聞こえると、派遣員の視界からシュランと隊長、バシャーモが消えた。
いや、基地から全てのポケモンや団員が消えた。
「・・・こ、これは一体・・・?」


基地から1km離れた地点に、シュラン達は居た。
全員、現状が分からず戸惑っているようだ。
そこへキノガッサ―名前はアーチャー―がテレポートで登場した。
「一体何のつもりだ?これほどの人数をテレポートさせるとは・・・。」
「話は後だ!俺は今、最強に怒っている!」
「アイスひとつで激怒するのって別の意味で王道だよね;」
隣りにいつの間にかカイリューが居た。

「やかましい!俺は悪の王道なんだよ!行け、メクウ!」
シュランがボールを空高く投げ、そのボールからメクウが出てきた。
「機械ってモンスターボールの中に入るんだΣ!」
「そりゃおにぎりが・・・入るくらいだからなぁ。」
驚愕するカイリューと、ぽけーっとメクウを見てるアーチャー。

「メクウ!基地に照準セット!最大パワーで究極破壊光線!!」
「待てシュラン!今何と!?」
「相手は誰です?」
隊長の質問を遮ってメクウはシュランに質問した。
「相手なんぞ関係あるか!これは命令だメクウ!」
「・・・マジでキレちゃってるよ;僕知ーらない;」
シュランから離れるカイリュー。
「了解。」
メクウのこの発言の直後、凄まじい光と共に基地は消滅した。


(x+2)日の7:00。○○基地跡。
難民キャンプ的なテントの中で、ズタボロの派遣員が警察による事情聴取を受けていた。
「それで、動機は。」
「ふん、誰が言うか!」
机をバァン!と叩く刑事さん。
「甘ったれるな!お前がそんな事言ってると、お前の実家の親っさんが悲しむぞ?」
「うっ・・・父さん、母さん・・・。」
「・・・カツ丼、食うか?」
「はい・・・;」


その頃、○○基地のロケット団員達は本部に居た。
シュラン達はというと、ロケット団の監獄に入れられていた。
「俺のアイス・・・あれが最後の一本だったのに・・・。」
「レッドサヴィナハバネロ(世界一辛い食べ物)を食べさせられる刑にされる事よりそっちが哀しいんだ;」
「おぅよ、アイスの方が大事だともさ・・・はぁ〜、銀行にゃお金残ってるかどうか定かじゃないし、アイス食べたいし・・・;」
「安心した方が良いかと。銀行に残金が2万3000円ほど残っています。」
「うぉ、マジかΣ!w」
メクウが余計な発言をしたばかりに、シュランが復活してしまった。


数分後。
看守が見回りをしていると、41号室―シュランの部屋―の壁が粉々に粉砕され、中はもぬけの空になっていた。
「すっすすすすっすすすすみません!!囚人が1人脱獄しました!!」
サカキの居る部屋で慌てふためく看守。
「何だと!?監獄全体はフォースフィールド(電磁バリア)で覆われているハズ、一体どこから逃げられると・・・!」
「シュランの部屋から特殊なエネルギー反応を感知しました!メクウの特殊な電磁波で一時的にセンサー及び電磁バリアを解除したものと思われます!」
「・・・ならば奴を連れ戻せ!何としてでもレッドサヴィナハバネロを食べさせるのだ!!」
「はっ!」


その後、許される森の「湖のほとり」で捕まったが、その後シュランがどうなったかは誰も知らない。
ちなみに言うと、シュランは現在ロケット団を辞めて怪盗という職に就いたそうな。
―END―



カイリュー「ところでさ、いろいろと質問があるんだよね。」
プレイヤー「うん?何かね?」

「問1、結局あの人って国際連合の派遣員だったの?」
「いや、違うよ。どっかの組織の人。(殴られ」

「問2、偽派遣員が言ってた兵器って?」
「メクウのこと。(蹴られ」

「問3、シュランが途中で言ってた『方位180、距離は1km!』って何?」
「まーいろいろと細かい説明取っ払うと、要するに『後方1km』って意味。(切り裂かれ」

「問4、x日とか(x+1)日って一体何?」
「いわゆる方程式っぽいモノかな。ちなみに言うと、x日を10日と仮定した場合、(x+1)日=11日って事になるよ。(叩きつけられ」

「問5、偽派遣員の特殊能力って何だったの?」
「そうですねぇ・・・いろんな解釈が出来るんですよ。例えば、実は『服をバリアに変える能力』だったり、体を鉄のように硬くする事ができたり、実はターミネーターだったり・・・。(げきりん直撃」

「最後の問6、どうやって偽派遣員はシュランが持ってたアイスだけを銃で撃てたの?アレじゃあシュランにも当たっちゃうよ?」
「奇跡が起きたのです。(隕石直撃」
―真・END―