暗い過去。そして未来へ・・・・・・  作:ミシェル(一部編集:Rista) 投稿日時:06/6/7


クラリア「知ってる?ミシェルが生まれた場所。」
ファラル「さぁ。何処か遠くの国って、きいたことあるけど・・」
クラリア「それが、7歳ぐらいのときに戦争に巻き込まれて、此処に来たんだって。」
ファラル「Σ戦争!?そんな小さいときに!?」



 その少女は、走っていた。辺りは、前方は人だらけ。後方は、火の海。逃げ遅れた人々の叫びが、後ろから聞こえる。
「だれかぁ〜〜〜!!!」
「おがぁさぁ〜ん!!助けて〜〜〜!!」
 その叫び、助けを求める叫びは、人々の耳に、聞こえているはずだった。だが、『助けていたら、自分も死ぬ』と思い、皆火のないほうへ走っていった。
 少女は、ミシェル、といった。茶髪で、エメラルドグリーンの瞳。背には、小さな真紅の竜翼が生えている。
 ミシェルは、もう疲れていた。もう、どれだけ走っただろう。お母さんとお父さんは、5歳のときに行方不明に。それ以来、親戚に育ててもらっていた。もう既に、親戚の家は炎の中だ。
 帰る場所なんて、何処にも無い。
 それならいっそ、死ねばいいじゃないか。生きる意味も無い。
『あたしみたいな人が死んだって、何も変わりやしない。』
 彼女は、そう思った。火に背を向け、立ち止まった。もう、此処にいてもしょうがない。

 そのとき、声が聞こえた。懐かしい、幼い時に聞いた声。
「飛んで。あなたは、まだ生きられる。」
『飛んで・・?』
 彼女は、耳を疑った。背中を見た。あっと、声を出した。小さかったあの竜翼が、大きく開いているではないか。「今すぐ、飛べ。」と言っているようであった。
『トベ』
 心の中で、そう呟いた。だんだん、背中が熱くなってくる。火の手は、すぐそこへ迫っている。
 翼が、少し羽ばたきはじめた。
『飛べっ』
 突然、バサッと大きな音がした。
 ミシェルは、宙に浮いていた。飛んだのだ。死を免れたのだ。彼女は、どんどん前へ飛んだ。前へ、前へ。

 その先に、何があるか分からない。もしかしたら、もっとひどいところかもしれない。
 だが、彼女は、希望を持ち始めた。この先に、とてもいい所があると。とても平和な所があると。
 この先、きっと何か良いことがあると・・・・・・・・・・・。


   THE END




注:元の文章に改行が少なく見づらい部分がありましたので、内容を損なわない範囲で改行を加えました。
文章そのものの変更はありません。