四葉のクローバー。  作:雷來 投稿日時:06/8/3


…そう。深い深い森の最深部。そこに小さな小屋がある。


「…は?何言ってんの。私がアンタの言うことなんか聞くわけないでしょ?」
あ〜…私は雷來。凛瑠のセカンドポケで〜すっ!
…そんなことはどうでもいいんだった。
「だから、帰るけどそんなことしないからね。荷物取りに行くだけだし」
電話に向かって話す凛瑠は、すっごい不機嫌だった。
こめかみがピクピク動いてるし、話しながら部屋中を歩き回ってる。彼女が歩き回る時はイラついてる証拠。
電話の相手は恐らく…父。

ピッ――
ドカッ―――

あ〜あぁ。また始まった。
『凛瑠?止めたら?』
「嫌だ」
『オイ凛瑠、修理代馬鹿にならねぇぞ?』
凛瑠は壁に八つ当たりし始めた。
修理代を心配してる場合じゃないよ、紅蓮;
『また親父でしょ?行けばいいじゃない』
『連れてってやるよっ!』
ここは霧の外だけど、凛瑠は私達の言葉を理解してくれる。
と、そんなこんなで、何故か私達は凛瑠の実家へレッツらGO〜!だ。


「…ついた」
『相変わらずでっけー家だな』
『荷物取りに来ただけね』
「そう。荷物を取ってさっさと帰るの」
小高い丘に、凛瑠の実家はある。
凛瑠は自分に言い聞かせるようにしながら、家のドアを開いた。

「…ただいま」
一言。それだけで凛瑠は自分の部屋へ向かう。
この世界ではポケモンの言葉は聞き取れないから、私達は黙ってついていく。

ガチャリ。

開いた。
凛瑠の部屋は本がぎっしり。本と机とベッドしか無い。
なんか簡潔な部屋だなぁ…図書館;?
そこから本を数冊取り出すと、「帰るよ」と言ってくれた。

私達は部屋から出て、兄・凛彩の部屋、弟・凛羅の部屋、妹・凛深の部屋と通り過ぎ、難関の父&母を通り過ぎる時だった。

「り〜んりゅ〜!帰ってたのかぁ〜!!」
「ママ心配したわぁ〜!!」
狽ネんか来たっ!え〜と、凛瑠曰く「クソオヤジ」の(本人に言ったら殺されるかも;)父と、凛瑠溺愛(親バカ?)の義理の母っていうの?
兎に角最凶(最強じゃなくて;)なコンビ。寒気がする;
「私帰るから」
「そんなことさせないわっ!待ちなさいっ!」
姐さん(飛鳥・ウインディ)に乗って爆走する私達を追いかけてきた最凶コンビ。
「飛鳥、オーバーヒート使っちゃって!」
『いいのかい?』
「こういう時は特別に許可っ!…それと、紅蓮は火炎放射でそこの二人ふっとばしちゃってね!」
…盛り上がってるし。


ゴォ・・・


姐さんのオーバーヒートで焼け落ちた壁を抜けて、私達は外へ出た。



「…ったく、四葉のクローバーはなーんにも役に立ってないよ!」
少し離れた草原に座って、凛瑠はクローバーを投げた。
彼女には、お守りも呪いもお呪いも効かないらしい。
『凛瑠、御袋さん達大丈夫か?』
「追いかけてくるほうが悪いの」
『冷酷だね…』



これは、ほんの昨日の出来事。