店員達の1日  作:クロ 投稿日時:06/8/27


星を回せ、世界を掴め。
僕らの場所は僕らの中に――




朝日が輝いています。
暖かな朝日を、夜の間に溜まった朝露がキラキラと乱反射させてとても綺麗です。
森に住む草ポケモン達は早くも活動を始めています。
イトマルは新しく巣をつくります。
バタフリーは水を求めて、10数匹で湖へゆっくり飛んでいきます。
ヤミカラスとホーホーは夜行性なのでちょっぴり眠そうです。

――同じ頃。
此処は場所が変わってカフェ『パーティ』の2階。
店長のチェルクさん(オオタチ♀)をはじめとする、全8人の店員さんたちのお部屋です。
彼らは大きめのお部屋を借りて、住み込みで働いているのです。

今日はちょっとドタバタした彼らの1日を追ってみましょう。






ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ……

チェルクさんの枕元にあるデジタル式の時計が、午前6時を告げて鳴り始めます。
朝の仕込みやご飯を炊いたりするために、開店よりずっと早く起きないといけないからです。
…もっとも、この喫茶店は世にも珍しい24時間営業ですが。
チェルクさんは目を少しだけ開けて時計を確認。 そのまま上体をひねって右手を伸ばします。
時計の上のスイッチを押すと、時計は鳴り止みます。
……そしてチェルクさんは目を瞑って、眠ってしまいました。


「…あ、あ…私のモモン食べないでよぉ…」


…寝言です、カナタさん(ピカチュウ♀)の。
一体どんな夢を見ているのかは、これを読んでいる皆さんの想像にお任せします。
カナタさんは枕をしっかりと抱きしめて、ベットの端で寝ています。
危ないです、これ以上寝返りをうつと――

――ぼふん。

おっこちました、カナタさん。
結構大きかったその音で、チェルクさんとユウリさん(サーナイト♀)それからサテュロスさん(カブトプス♂)が起きました。

「な、何事だ?」

「…か、カナタさん…?;」

「あらあら…なんで落っこちてるのかしら?;」

「いてて……;」

カナタさんは後頭部を抑えながら起き上がりました。
ユウリさん達はカナタさんの近くに集まりました。

「な、なんだかとっても良い朝の目覚めだよ…」

「そういえば…今何時…?」

ユウリさんは目覚ましを手にとって見ました。


「カナタさんとユウリさんはティンさん(ヌマクロー♂)と一緒に店内をすぐに掃いて!; ルファリーさん(ルンパッパ♂)は厨房に入って料理の仕込みをサテュロスさん、ソーレンさん(バリヤード♂)と一緒にして!; ミニッツさん(ヌオー♂)、私と伝票の整理手伝って!;」


チェルクさんは他の店員にテキパキと指示しながら、自分も大量にある伝票にチェックを入れていきます。
普通なら、これは夜にする仕事のはずですが…?

「…なんで伝票の整理を朝にやっているんだい? これはお客さんが減ってきたらやる仕事だろう?」

「…ごめんなさい。 昨日は遅くまで常連さんが来ていて…バタバタしてたから眠るのが3時近くになってしまって…;朝に済ませようと思っていたんだけど…; あ、確認するのは今日の仕入れの分だけで良いですよ。」

ミニッツさんは手元をゆっくりと動かしながら、マイペースで伝票にチェックしていきます。
時折頷いて『しょうがないよ、こんな日もあるさ。』とゆっくりとした口調で言うのでした。
朝の準備は8時30分に終わりました。

…しかし。

お客さんが来ません。
此処が最も繁盛するのは、夜の6時くらいからなんです。
今は朝の9時…みんな、宿題や仕事に追われている時間なのです。

「ヒマだね…誰もいない店内って、ちょっと寂しい。」

朝の準備が終わると、お腹が空きます。
とりあえず今は休憩する組としない組に分けて朝ごはんの時間です。
カナタさんは小さな一口パンを口に放り込みつつ、ぼやきました。

「だ、だってさ……夜になればきっと人が増えてくるってw;」

「そうだよー♪ 今はある意味別の意味で休憩時間なんだよ♪」

とティンさんとルファリーさん。
ルファリーさん、ちょっと意味がわかりません;
ティンさんはバタートーストを食べながら、ルファリーさんはコーンポタージュを飲みながら雑談は続きます。
此処からはカフェパ流でいきましょう。(何

サテュロス「…そういえば、最近は注文品を運ぶのは命がけだろう?(コーヒー飲みつつ)」

カナタ「(ストローから口を離して)あ、それはわかる; この前メロンソーダを火炎放射がかすめたもん;」

ルファリー「(軽くあくびをしつつ)…最近の夜は火炎放射の花火が多くて危険だよねー♪」

ティン「あ、ぁ…僕は清掃なんてできたもんじゃないですよ…;(少し震えつつ」

サテュロス「ふむ…(コーヒーを置いて)…そのうち、オーナーに相談しようか。『最近店員が殺されかけてるのですが…』と。」

カナタ「グッ!;(飲んでた麦茶を吹き出し(待」

ティン「あ…大丈夫ですか…?;(雑巾を取りに走る!」

ルファリー「あーあ; だから言わんこっちゃ無い;♪」

ティン「…はい、カナタさん。(カナタに雑巾差し出しつつ、反対の手で麦茶を掃除する)」

カナタ「(雑巾見苦笑を浮かべ…)…出来ればティッシュかハンカチが良いんだけど…;」

チェルク「あらあら; 誰も居ないのに忙しいわねぇ…;(一同の様子を見つつ、微笑む)」


…とまぁ、午前中のカフェはこんなものです。
やがて、美しい夕日が……出てきません。
お昼くらいから雲行きが怪しくなり、やがて空は厚い雲に覆われます。
ユウリさんは、窓から空を見上げて「…今日は雨がふるのかしら…?」と呟きました。

ルビー「ウーイェ! GANGAN進め風切ってー!w」

ライナ「こんにちはー!w」

キュリアス「…こんにちは。」

チェルク「いらっしゃいませ!」

元気よく走ってくる少女と、天窓から飛び降りるライチュウ。続けてゆっくりと入ってくるキュウコン。
特に驚きもせずにチェルクさんは入店の挨拶を微笑んで返します。

ルビー「…とはいえ、誰も居ないんだよな;うん…;(メニュー見つつ」

ライナ「(メニュー見つつ)…俺はホットミルク!」

キュリアス「…………。(2人の様子眺め…)」

ルビー「(メニューからキュリアスへ目線移し)…キュリアスも何か頼んだら?」

キュリアス「…うむ; …コーラで良いか?」

ユウリ「(そっとルビーに近づき)…ご注文はお決まりですか?」

ルビー「ココアとホットミルクとコーラで!w」

ユウリ「はい…。(オーダーを紙に書き込む…)…かしこまりました、少々お待ちください。(テレポートで厨房に消える)」

さて、テレポートで厨房に戻ったユウリさんは…。

ユウリ「オーダーはいりました。 ココアとホットミルクとコーラです!」

サテュロス「…了解した。」

ソーレン「よろこんで!!w」

オーダーを受けた厨房係の2人は急いで準備します。
サテュロスさんはココアの粉を戸棚から取り出します。
ソーレンさんは冷蔵庫からミルクとコーラを取り出して、まずミルクを温めます。
その間にグラスに氷を入れてコーラを注いでおきます。
2人はテキパキと作業して、出来上がったココアとホットミルクとコーラはお盆に載せられます。

ソーレン「チェルクさん、お願い!」

チェルク「…はいw」

微笑んで返したチェルクさんは、お盆を持って厨房を出ます。
そして、ルビーさんのところへ。

ルビー「キュリアスあったかーww(キュリアスの首元にんぎゅーと(何」

キュリアス「……;」

チェルク「お待たせしました。 ココアとホットミルクとコーラですw(それぞれ飲み物を置く」

ライナ「待ってましたー!w(ホットミルクを一口飲んで)熱っ!;」

チェルク「ごゆっくりどうぞ!w」

ルビー「ありがとーw」


…さて、それから少しだけ時間が経ちました。
心配していた雨は結局降ってきませんでした。誰かが日本晴れでもつかったのでしょうか?
今日も夜のカフェ『パーティ』は大繁盛です。

カナタ「おまたせしましたー; カレーになります;(ルシェロの前に置きつつ)」

ルシェロ「(目を輝かせ…)ヘルッ、グラァ!w(ありがとう、と言っているらしい」

デューク「カシラー…; お礼くらいは真面目にやりましょうぜ;」

愁海棠「(お冷飲みつつ)全部食べきれば無問題だよ……わしも激辛特盛カレーを一つ…」

チェルク「(食後のお皿をたくさん持って)いらっしゃいませーw;」

ユウリ「(テレポートで厨房へ)オーダー追加; 激辛特盛カレー…愁海棠さんです!;」

ソーレン「(鍋をゆでつつ)うわぁ…あの人だけでこっちは忙しくなるよー; 伝票置いておいて;」

サテュロス「全くだ!;(キャベツを高速で切りつつ)」

ルシェロ「な、何を言う!; これは立派な言語だろう!?;(デュークに火炎放射連発!)」

ティン「……………ひっ;(火炎放射見、店の隅で震えている…」

ルファリー「(火炎放射を器用に避けて)お待たせー♪ アイスティーだよ♪」

ルーチェ「ルファリーサンキュー!w(受け取り、飲み始め」

ミニッツ「520円です…はい。(受け取り)ありがとうございましたーw」

クロ「じゃぁ、またなーw(外へ」

デューク「カシラにしか通用せんわ!(▼デュークの じしん!(ぁ)」

ソーレン「(地震を予知などできず…;)うわぁっ!? 鍋と包丁危ないっ;;」

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さて、楽しかった時間は飛ぶように過ぎます。
時刻は深夜1時…ホーホーは活動を始める時刻です。

ポケマニ「(ミニッツに代金払い)…私が最後かな。 では、お休みなさいーw(外へ」

チェルク「ありがとうございましたーw」

最後のお客さんも帰り、1段落しました。
店内で聞こえるのは、最後の洗い物を皆で片付ける音だけです。

チェルク「…皆さん、片付けは終わりましたか?」

サテュロス「…キッチンは今終わったところだ。」

カナタ「掃除終わりましたーw」

報告を聞いたチェルクさんは微笑みました。

チェルク「…みんなお疲れ様w そろそろ今日は閉店しましょう。」


店内の電気はついたままですが、店員さんたちは皆2階に上がったので誰も居ません。
夜のカフェ『パーティ』は静かでした。
こうして店員さん達の1日は終わり、また始まっていくのです。

常連の皆さん?
カフェを支えているポケモン達が居る事を忘れないでくださいね。


fin……


チェルク「…そろそろお休みが欲しいのですが…オーナー、なんとかなりませんか…?」