桃色の光  作:キル 投稿日時:06/11/3


十月×日

キル「・・・。」
ナイトメア「来ましたね。」
ラルス「ほんとにここなのか?」
サー「それにしてはやけに荒れてるね・・・。廃墟?」
キル「いや、ここだよ。この研究所が俺を人にしたりポケにしたんだ。」
キア「いいの?人間に戻してもらって・・・。」
リヴ「うちはな、逆にイーブイの方がええんやけど金色のとこ茶色にしてほしーわぁ・・・。」
キル「どっちでもいいよ。ただな、知りたいだけなんだよ。五年前「ここ」で何があったかってのをな・・・。」

ラルス「中はまだ人がいるのか?」
キル「・・・実験の成功率を上げるために実験をずーっとやってるよ。」
サー「なんの為にしてるんだろうね・・・?」
キア「さあね。もしかしたらポケモンとして利用するため・・・?」
ナイトメア「どちらにしろ許せませんね。ポケモンを実験台にするなんて。」
キル「半分は死んでるんだぜ?さらに許ねーよ。」

サー「じゃ、テレポートリング作るよー。」

サーは白い輪を作った。

キア「じゃ入るわよ。」

6匹とも白い輪を抜け、研究所の中に侵入。

リヴ「なんか・・・手薄やな。」
キル「何がだ?;」
リヴ「えと・・・侵入させない工夫とかが。」
キア「廃墟だからじゃない?」

まわりを見るとたくさんのガラスの柱。
柱の下の方に機械があり、柱には液体がつまっている。
そして・・・ニャースのしっぽが生えた人体や、腕のみがリザードンの人体。
ガラスの柱の中にはポケモンになる実験をして失敗した人体だった・・・。
もう生きてはいないようだ。

ナイトメア「これは・・・!?」
ラルス「多分実験して失敗したやつらか途中のヤツだよ。しかしひでーな・・・。」
キル「・・・!?」

頭痛がする。
なにか大事なことを忘れてるような気がする。
なにか思い出すような気がする。

キル「・・・く・・・。」

キルはそのまま倒れた。

ナイトメア「あっ、キルさん!?」
リヴ「にーちゃん!?どーしたん!?」
ラルス「おいしっかりしろっ!!」

五年前 研究所

ガラスの柱にはポケモンがいた。
研究員はガラスの柱の下にある機械をすごい早さで操っていた。
そして・・・

「やった!成功しましたよ博士!!」
「ナンバーは!」
「1199です!やりましたね!」
「うむ・・・。」

目覚めたのはそのばかでかい声で。
「ぼく」はガラスの柱の中にいた。
ここは―――?

「む、起きたかねNo.1199。」

1199?
ぼくは首をかしげた。

「ふむ・・・。まだ無理か。記憶の変更はできてるのか?」
「一応キモリであった頃の記憶は変更してます・・・が。」
「・・・が、なんだ?」
「記憶が戻る可能性が高いのです。記憶の変更を繰り替えさないと・・・。」
「ふぅむ・・・。」

ぼくは柱の中で研究所を見渡していた。

5日後

ぼくは柱から出してもらえた。
他の人もいっぱいいる。
友達も何人かできた。

「あれ・・・なんだろー?」
「え・・・どれどれー?」

丸い薄桃色の光。
ぼく達は不思議そうに見ていた。

『・・・逃ゲテ・・・』
「!?」

テレパシーで声が聞こえた。
あの光からだ。

「逃げてってどういうこと!?」
「わかんない・・・でもヤバイ気がする・・・。」
「っ!!頭痛い!」
「俺もだ・・・くっ・・・。」

頭痛い。
なんか思い出しそう。
・・・そうだ!「俺」はキモリだった!
なのになんで人になったんだ・・・?

3日後

博士から話があった。

「えー、君達は、突然変異でポケモンから人間になってしまった。」
「突然変異!?」
「えーっ!ポケモンに戻りたいよー!」
「うむ・・・。その為に我々も研究をしているつもりだ。」
「・・・ポケモンに戻れるのか?」
「研究をして、成功になるようになったらポケモンに戻してやろう。それまで待っていてくれ。」

博士は去っていった。

「突然変異だってよー・・・。」
「そうか・・・。原因はなんだろう?」
「ちょっと待てよ!!」

俺は思わず叫んだ。

「突然変異にしちゃ多すぎるだろ!?絶対何か他の理由が―――・・・!!」
「博士がそう言うんだよ。信じるしかないでしょ・・・?それともなに?あなたは他の理由だとわかる証拠、持ってるの?」
「う・・・。」
「・・・ね・・・?博士が言うからには信じるしかないの。」
「・・・。」

夜遅く。
俺は起きてしまった。

「ふぁ・・・ん・・・?」

博士達の内緒話が聞こえる。

「記憶・・・戻って・・・」
「・・・大変・・・変更・・・」
「・・・・・・実験・・・?」

記憶?変更?・・・実験?
わからない・・・。
・・・寝た方がいいか。

それから何週間か過ぎた。

また薄桃色の光が窓をすり抜けて入ってきた。

「あ・・・まただ・・・。」
「ほっとけよ・・・。」
『逃ゲテ・・・デキルダケ遠クマデ逃ゲテ!今ナラ逃ゲラレル!サ、早ク・・・。』

「・・・一つだけ教えて。私たちは突然変異?」

桃色の髪の女の子が言う。

『・・・違ウ。』
「なら教えて!なんで私達は人になってしまったの!?」
『アノ博士達ハ悪イ研究者。アナタタチハ実験台。逃ゲルナラ今ノウチ・・・。』

「・・・実験・・・昨日の・・・?」
「昨日?」
「博士の内緒話を聞いたんだ。記憶、変更、実験!」
「記憶を変更して実験したの・・・?」
「逃げるぞ、ここにいたらマズイ!」

『今ココニハ誰モイナイ。何故カハワカラナイケド・・・早ク!」

「危ないから外に出るときは2人1組で行きましょう。ここから出ても油断しないで。」
「誰でもいいから2人1組で行動して!」
「みんな、また会う日まで元気で・・・。」

『コッチダヨ、ミンナツイテキテ!』

光に案内されて俺達は走る。
俺が組んだのはリヴだった。
そのとき名前なんて知らなかったけど・・・。
長い廊下を走った。走った。

光はサイコキネシスを使って穴を開けた。

『ココヲ抜ケレバ外ヘ出レル。急イデ!早ク!』

2人組がどんどん出て行く。
最後の1組が俺達だった。

「・・・最後に聞かせて。君は何?なんで助けてくれる・・・?」
『私?私ハネ、ミュウ。』
『同ジポケモントシテ許セナカッタカラ助ケタ。早ク、コノ穴ヲ抜ケテ!!』

「・・・ありがとうな。」

そこの研究所ではじめて出した笑顔だった。
俺とリヴは穴を抜けて逃げた。


キル「う・・・?」
ナイトメア「あっ、気がつきましたね。大丈夫ですか?」
キル「・・・思い出したよ。」
ラルス「何を?」
キル「ここであったこと、全部・・・。」

俺はここであったことを全部話した。

キア「なるほどね・・・。」
リヴ「そーやったんかー!」
キル「あと・・・リヴをさらったあの黒い闇はな、ここの研究員だ。」
サー「えっ、あれが?;」
キル「姿を見て記憶を思い出すのを恐れたんだろうな。」
キア「廃墟なのに?」
キル「多分研究を継続させたかったヤツら。つまり・・・「残党」ってやつか?」
ナイトメア「ちょっと違うかも・・・。」
キル「ラルス・・・機械はまだ動くよな?」
ラルス「みたいだな・・・。人に戻してやろうか?」
キル「頼む・・・。」

ナイトメア「早めにしてくださいね、私は周りを見てますから。」

三十分後

ナイトメア「ちょっと待って下さいいくらなんでも早すぎませんか?」
ラルス「いやー・・・早いな。こいつはいいなー、分解したくなった。」

キルは人に戻ってた。

キア「本当によかったの・・・?」
キル「いーんだよこれで。」

ラルス「リヴの方も終わったっぽいな。」

リヴは普通のイーブイになってた。

ナイトメア「さあずらかりましょう。」
サー「テレポートリング!」

テレポートリングを抜ける。
キルは研究所を見渡す。

キア「何やってんの?急ぎなさいよー。」
キル「ん、ああ。」

ミュウ、ありがとう。

―END―