伝統と愛の狭間  作:拓也 投稿日時:07/6/24


軍と伝統・・・これは切っても切れない縁がある。
軍は伝統を守り、伝統は軍の行動を縛る。
つまり、軍が伝統を重視し、時代の波について行かなくなるということであり、
軍の弱体化への悪循環を繰り返す時もある。

私も・・・

乗組員「拓也提督!!左舷より敵機接近!!」
拓也「対空砲を撃て!迎撃しろ!」

その伝統を守る・・・

乗組員「レーダーに機影及び艦影なし、我が方の損害ゼロ、我が方の完全勝利です!!」
拓也「よし、ご苦労だった。」

1人の軍人だった。

だが、私は理不尽な伝統は戦闘の足枷になるのでことごとく無視してきた。
しかし、私にも大切にしている伝統が2つあった。
1つは・・・ 

『生きて捕虜の辱めを受ける事なかれ』

つまり、敵に捕まるぐらいなら死を選べと言うことだ。
そしてもう1つは・・・

『艦隊を指揮する上級将校は乗っている艦が沈み、
艦隊が戦闘に負けた時には艦と運命を共にすること。』である。

つまり、艦隊が戦闘に負け、乗っている軍艦を含め多くの軍艦が沈む時は
責任を取るため、指揮官は軍艦と一緒に海の底に沈むという事だ。

どちらの伝統も強制ではなく、あくまで任意の伝統だが、
私の所属している軍には暗黙のルールがある『伝統は絶対厳守』という・・・。
私も最初は時がきたら実行するつもりで2つの伝統を守ってきた。
だが、私はある人物との出会いで伝統に対する意識が変わった。

ハルナ「お疲れ様です、拓也提督」
拓也「ん、ありがとう、ハルナ軍曹。」

私の軍での補佐であり婚約者でもある・・・バクフーン♀のハルナのおかげで。
そして、私は彼女のことを考え、前者の伝統を捨てた。
捕虜になって戦争が終わっても生きて彼女の元に帰るために。
しかし、後者の伝統は捨てられなかった・・・。
軍艦が沈む時は何百、何千もの将兵の命と共に沈んでいく。
そして、軍艦が沈むということは的確な指示を出す事の出来なかった指揮官の責任であり、
彼らを見捨て生き残る事は指揮官として・・・人として・・・私の軍では許されない。

私はそれを悩んでいる。彼女を残して死ぬ事は彼女の事を考えれば本当は・・・出来ない。
しかし、数百、数千の命を見捨てる事も私には・・・出来ない。

だから私は後者の伝統をどうするか結論が出るまで・・・戦争に負けるわけにはいかない。
そう、答えが出せるまで勝ち続けなければならない・・・。
負ける事は・・・許されないのだ・・・。