光の誓い  作:トースト 投稿日時:09/3/18


─私たちには、深い闇の底から救ってくれた人が居た。
 ちょっと変だけど、それでも私たちの大切な─




「ッチ、今日は此処までか。」
黒いロケット団服を着た人間が、倒れた俺…僕…私たちを見て言った。

ロケット団研究所。
そこで俺…僕…私たちは生まれた。
両親の顔も知らず、毎日無理やりポケモンと戦わされ、そして、薬を打たれて。
同じようなイーブイたちが何十匹もいて、毎日が地獄の日々だった。

逃げたかった。

空というものを…見てみたかった…。

海っていうのを見て…みたかった…。

逃げ出そうとすれば、罰せられる。
連れ戻され、さらに大変なバトルを強いられる。


俺たちは…
僕たちは…
私たちは…


太陽っていう、光を浴びてみたかった……。



そんなある日、突然騒がしくなった。
何だろう、と俺たちは思っていた。

「おい、お前たち。」

そして扉を開けて入ってきた、何人ものロケット団。
「足止めくらいにはなれよ?」
そして彼らは、僕たちをボールに戻した。



「いけ!!」
私たちはボールから出された。
目の前には赤い大きな体をしたポケモンと、青い服を着た女の人だった。
「ほらイーブイども、破壊光線だ!!」
ロケット団がそう命令した。
「なんですって!?」
女の人は驚いたが、私たちには関係なかった。
私たちは一斉に口をあけて、光線を吐いた。
「ウインディ、守る!!」
女の人は赤いポケモンにそう命令した。
ウインディと呼ばれたその赤いポケモンは青い壁のようなものをだして、私たちの攻撃を防いだ。
「ッチ、ほら、もう一発!!早くしろ!!」
命令され、私たちは反動でしびれる体に鞭打って、構えた。


そんなときだった。


アイツが現れたのは。



ドンッ、と背後でした音。
同時にロケット団が「ぐわっ!!」といって倒れた音がした。
俺たちは何事かとおもった。
そして俺たちは突如後ろからいっせいに抱き上げられた。

気づかなかった。

足音も、気配も、なかった。

突如現れた、黒い服を着たそいつに、僕たちは………。






「か〜〜〜わぃいな〜〜ぁもうw!!」






ギュ〜、と抱きしめられた。



ワケが分からなかった。
そいつは僕たちを苦しくない程度に抱きしめ、頬をすり合わせてきたりした。

「確保!!」

その間にロケット団は女の人に鉄の輪っかをつけられた。
俺たちはただ呆然としていると、そいつはモンスターボールを取り出し、俺たちを入れた。


「──君!! 他のところもお願い!!」

「わかりました!!」

ジュンサーさんはボクにそう言って、敬礼した。
ボクはあのイーブイちゃんたちを抱きしめたことでまたやる気が出たから、ボクも敬礼してまた廊下を走っていった。


「み〜〜つけたぁぁ〜あw!!」

私たちはいきなり現れたその男に、抱き上げられた。
「貴様ぁ!!」
ロケット団がスターミーを出して。
「破壊光線!!」
私たちは驚いた。

まさか…私たちごと……。

「ライトニル、ブレイズ!!」

その男はボールからウインディとライチュウを出した。
瞬間、スターミーが光線を打ち出す前にライチュウが雷を帯びながら突進し、ウインディはロケット団に体当たりをした。
「がっ!!」
ロケット団はウインディに吹っ飛ばされ、壁に激突して気絶した。

私たちは呆然としていた。
そしてその男はモンスターボールの中に私たちを入れて…。



俺たちはボールから出された。
周りを見れば、カプセルのようなものに入れられていた。

僕たちはカプセルに体当たりをして出ようとした。
そうしていると、僕たちのほうピンク色の丸いポケモンとともに、白い服をきた女の人がやってきた。

また、あの日々が始まるのか…。
私たちはもうあきらめた。

そして…。

「さ、プリン。歌ってあげて。」
女の人はそう、丸いポケモンに言った。
そのポケモンは頷き、歌を歌いだした。

その歌を聴いて…。

俺たちは…

僕たちは・・・

私たちは…

眠りに着いた…。



俺が目を覚ますと、どこからか光が射し込んできた。

僕はそれが最初なんだったのかわからなかった。

私がその方向を見ると…とてもまぶしかった。



…これが太陽なんだって、わかった。






「さぁみんな、ご飯の時間よ。」
昨日見た、女の人がやってきた。
その人は俺たちの前にやってきて、俺たちをカプセルから出した。
そして昨日とは違うたまごのような形をしたピンク色のポケモンが、僕たちの前にポケモンフーズを出してきた。
どうせまずいものだろうって、最初私たちはそう思った。

「ラッキー!!(さぁ、たんと食べなさいw)」

そういわれても…と、俺たちは最初は思ったもんさ。
だけどよ…。
僕たちの鼻に入って来るポケモンフーズの匂いは、ロケット団で出されたものなんかよりもすごかった。
とってもいいにおいで…。
私たちはロクに食べてないのもあるせいか、ポケモンフーズを食べ始めた。
とっても美味しかった。


みんなを見る暇もなく、俺たちはすぐに皿を空にした。
僕たちはおかわりをせがんだ。

「はいはい、まだまだあるからねw」

その女の人は私たちの前に別のポケモンフーズの入ったお皿を出してきた。

またそれも空にして。
でもまだなにか足りなかった。

「琴牙く〜ん。ポロックもってきて〜?」
女の人が向こうの部屋へと呼びかけると、男の声で「は〜い、今もって行きます〜」と言葉が返ってきた。
そしてまたいい匂いがしてきた。
今度は甘い香り。
私たちが見ると、黒い服をきた男がカートを押してやってきた。
「は〜い、出来立てのポロックだよ〜w」
そして私たちの前に出されたのはカラフルな四角いもの。
食べるとカリッとして、口の中に甘い味が広がって…。
「はいはい、まだまだいっぱいあるから、食べて食べて〜w」
「ごめんなさい、琴牙君。」
女の人がそういうと、その男は笑って。
「いいんですよ〜、ジョーイさん。これくらいw かわいいイーブイちゃんたちの面倒みれるんですから〜w」
俺たちは女の人がジョーイ、男が琴牙という名前だと知った。


次の日から、僕たちははじめて太陽をみた。空を見た。
空は大きくて青くて、太陽はまぶしくてあったかくて。

毎日が幸せだった。

そしてある日、いろんな男の子や女の子がやってきた。
彼らは私たちの友達を少しずつ連れて行った。


『なぁ…。』
『なによ…。』
『俺たちはこれからどうなるんだ?』
『知りませんよ、そんなこと。』
『私たちも、離れ離れになるのかな…。』
『離れたく、無いですけどね…。』


俺たちはいつのまにか仲良くなったやつらと話していた。
名前はないけど、な。

もし連れて行かれるなら、どんなトレーナーがいいか、という話になった。
僕たちは全員一致で琴牙になった。

そしてその日がきた…。


「さ、琴牙君。好きな子を連れて行ってねw」
「ボクはどの子つれていこっかなー。」

私たちは声を聞いた。
そしてそこには琴牙がいた。
俺たち8匹は一斉に琴牙へと向かっていった。

「あ、どうしたのぉ?」
琴牙は僕たち1匹1匹を撫でながら言った。
私たちは言葉は通じないけど、「連れて行って。」と叫んでいた。
「ぅーん、8匹かぁ〜。」
残念そうに琴牙は言った。
そんな、と俺たちは思った。
「6匹までなのよねー…。」
ジョーイさんがそういった。
でも僕たちはみんな一緒に連れて行ってといった。
琴牙は私たちを撫でながら言った。
「ぅーん、ジョーイさん、この子達、もらってっちゃダメですか?」
俺たちはお願い、と言いながらジョーイさんをみた。
「…まぁ、琴牙君の頼みだし…。いいわ、連れて行ってもw」
「やったぁ〜wよ〜ろしくね〜〜w」
僕たちは一斉に琴牙に抱きしめられた。



そして私たちは琴牙のポケモンとなった。
彼の家に行くと、いろんなポケモンが出迎えてくれた。
やさしくって、あったかくて。

俺は

僕は

私は


光をくれた、彼についていくと誓った…。