11月30日 決勝戦 タイムVSヒイラギ!(inカフェパ)(前編)  編集:消夢


始まりは秋も終わりに近づいてきたある日の事。
突如、カフェの掲示板に「トーナメントのお知らせ」なる記事が貼り出された。
8名によるトーナメント式、1対1のチームバトル。
参加者集めに難儀するものの、無事予定当日までに人数が集まり、大会は行われた。

互いのパーティの中から、ランダムに決められた選手同士での戦闘。
圧倒的な力でフィールドを変えるものもいれば、作戦を練り、思考を盗んで一手先を行く者、様々な選手がいた。
そして、ついに残すは勝ち残ったタイムパーティ、そしてヒイラギパーティが戦う、決勝戦のみとなった。




壁に囲まれた。何も無い、土だけが敷き詰められた円形状の空間が広がっている。そして、そんな壁の一角に開いた大きな穴の中から、現れる影が1つ。


メリー「…さて、そんじゃ準備準備と」


今大会の主催者であり、実況を担当するメリーである。
愁海棠から借り受けた、カフェのモニタに映像を映すための機械を、手際よくカメラに取り付けている。
…まあ、今日を含めて大会は7回。手馴れるのも当然といえば当然だが。

ヒイラギ「行き成りなんか大変なことになってる気が(・・・」
アイグル「… (モニターから見るのと実際に見るのは違うもの、とか一人でうんうん頷いて()」
銀翼「っと、観戦観戦・・・」


作業をしている間に、次々とやってくる参加者と見学者。
ちなみに、銀翼もトーナメントに出場し、3位に入賞している。

フライト「昨日も多かったけど今日はもっと多くなりそうだね〜」
タイム「わー、やっぱり決勝だと来る人が多いですねー;」

ちなみに前日、土曜に行った3位決定戦でもかなりの閲覧者がいた。
今日は更に人数が来るであろう事が予測され、タイムも心なしか緊張しているように見える。
メリーが取り付け作業をしている間に、ヒイラギとタイムはMBを放り、自分達のPTを出す。
ヒイラギが出したのは、モモコ,エド,ドリー,タッチン,サニー。
タイムが出したのは、ラルス,フィール,ナイトメア,キーラ。ちなみに、もう一匹の参加者であるキアは、既にボール外に出ている。
と、ここで機械の設置が終わったのか。主催者が意味不明なテンションで叫びながら、手を上空へ。


メリー 「それじゃ、バトル準備ーセット・オン!」


それと同時に、ヒイラギ達とタイム達。当事者だけを残して、他の面々の姿は観客席である「壁の中」へと転送させられた。
ちなみに壁の中は空洞になっていて、外からは中が見えないが、中からは外が見える、全面マジックミラーのような構造になっている。
階段もあり、囲まれているので様々な位置・角度からバトルを見学できるように配慮されていて、中々使い勝手は良い。
解説と実況、そして指示も、ここで行われる事になっている。

キア。o(よし、相手ポケリスト化完了(ぇ
タイム「あー、緊張してきましたぁぁぁ……!;(」
ラルス「落ちつけ!;(」

ヒイラギ「…ドリーも不利そうだよーぅ、…サニーは昨日の今日だし…エド?狙い目エド?…悪対決になったらやだなぁ…(うじうじぶつぶつ)」
モモコ「うるさ」
ヒイラギ「Σ」

メリー「……んじゃ、お二方。ポケモンは既に出てるね? それなら……運命のルーレット、開始ー!」

司会も兼ねているメリーは、二人の様子を確認して、再度宣言。
ちなみに運命のルーレットとは、対戦するポケモンをランダムに選ぶ装置のようなものである。後半からネタに走り始めたが(ぁ
宣言と同時に黒と白、二つの矢印がヒイラギPTとタイムPTの頭上を目まぐるしく移動し始める。

ヒイラギ「ぶぅ。…あー、すとーぷー(ダレ切った声色(…)」
タイム「す、すとーっぷー!!;( 」

二人がストップと叫んだ(片方はぶつりと言った)その瞬間、会場全体が一切の光が存在しない、暗闇に包まれる。

タイム「狽ヲっ、ほぇっ!?;(わたわたわた(」
キア「あら、停電?」
ラルス「違うだろ;(」
ヒイラギ「ブレーカー?(・・・」
フライト「これも演出なの〜?」
アイグル「(赤外線で見ろって事ー?、とか思っているのか居ないのか、目を凝らしてじー()」
銀翼「えっ・・・。(暗くなったのか驚き)・・・これじゃ、見えないよ;」

メリー「…さあ、決勝戦。タイムパーティVSヒイラギパーティ。その組み合わせは……!」

出場者はもちろん、観客も動揺する中、どこからかドララララララ、とドラムロールが鳴り響き、メリーの落ち着き払った声が聞こえてくる。
どうやら、フライトの読み通り演出らしい。


ヒイラギ「…また、無駄に凝った…;(;」

その様子に、呆れ顔でぼそりと呟くヒイラギ。


アイグル「(ああなるほど、とスポットライトか何かを待っていたり() 」
銀翼「(アイグル見)・・・いつの間に?(…」

何故かスポットライトを手にしている、アイグル。

メリー「タイムPT、種族キルリア! キア!!」

実況の声と同じタイミングで、アイグルが用意したのとは別の、既に主催者が用意していたと思われるスポットライトがキアに当たる。

メリー「そして、ヒイラギPT! 種族ヘルガー! エド!!」

そして、次にスポットライトはエドを……当てなかった。
何故かモモコだった。どうしてかエドじゃなかった。何故だろう。フシギダネ。

ヒイラギ「Σどっちだよ!?;」
モモコ「・・・む?;」


モモコなのかエドなのか判別がつかず、困惑する1人と1匹。

エド「俺ー!;俺えぇぇ!!;」

そして、何か必死な当の本人。
と、エドの叫びが届いたのか、実況が慌てて訂正を伝える。

メリー「…あ、スポットライト。間違ってる間違ってる。ヘルガーだってば」

今度はちゃんと、エドにスポットライトが当たる。
……何か深い恨みでもあるのか、首から下だけに。

エド「虐めかァ!;」
ヒイラギ「…まあ、エドだし。しょうがないよ。頑張れ。(至極他人事)」
エド「ざけんなー!?;」
メリー「…えー。何か調子悪いようですね、うん」
ヒイラギ「あー、そうそう。エド、ちゃんと言うこと聞いて落ち着いてね。怒らないよーに」

メリーが満面の笑顔で頷くのとほぼ同時に、明かりが戻り、同時にキアとエド以外の面々も壁の中へと転送させられる。
転送された瞬間、虚しい遠吠えが聞こえたのは気のせいだろう。きっと。
…ところで、対戦相手を見たキアの様子は…?

キア「はいィ!?ヘルガーって悪タイプでしょ!?;あたしの攻撃当たらないじゃない!!;
ラルス「……どんまい;(」
メリー「エスパー一辺倒…ってのがよりによって最後の最後に裏目に出たなぁ…」
銀翼「・・・これは・・・かなり不利そうだね・・・(汗)」

タイムパーティの大半はエスパータイプだから、悪タイプが出てくるとかなり不利になるのは仕方の無いことだろう。
…とはいえ、よりによって決勝戦にこの組み合わせ、というのは大きい。

キア「くっそ、最後はフィールドに頼るしかないわぁ……!!」
ラルス「がんばれー……;」
タイム「が、がんばってください;」
キア「あーくそ、がんばってやるわ;(」(

気合を新たにしているキアをさておいて、メリーは観客の顔ぶれを見回している。…と、フライトに目を止め、ヘッドマイクを差し出しながらこう言った。

メリー「(面々見回し)……んー。……フライト、解説やってみる?」
フライト「え〜?大事な決勝の解説なのにボクでいいの〜?(首を傾げる)」
メリー「最後だからさ。逆に経験ある人の方がいいかなー、って」

ちなみに実況は固定でメリーだが、解説は観客の中からメリーが気分で選んで任せている。
フライトは過去に一度、半ば押し付けられて解説をさせられた一人(匹)だった。

フライト「それならやってみようかな〜。どきどきするな〜・・・」

緊張しながらも、ヘッドマイクを受け取り装着するフライト。
その間にメリーは、トレーナーであるタイムとヒイラギにも、それぞれ指示を飛ばすためのヘッドマイクを手渡した。
そして、取り付け終えたのを見て、確認するようにタイム,ヒイラギ,フライトを見回して。

メリー「……準備はOK?」

ヒイラギ「ボクはだいじょぶー。」
エド「ぐるる;」

キア「(貰い火をトレース)おっ、貰い火か。ふふんw」
タイム「はい、OKですw」
キア「あたしもおっけーよw」

フライト「OKだよ〜 o0(どきどき)」

メリーはそれに頷きを返して…宣言する。

メリー 「……それではラストバトルのフィールドを、今此処に。……フィールド、チェーンジ!!」

メリーが叫ぶのと同時に、無機質だった円形状の空間が歪み……代わりに、バトルの舞台となるフィールドが姿を現す。
時には火山、時には墓場、時には迷宮と今まで奇想天外なフィールドの数々で壮絶なバトルが繰り広げられた。
その最後の戦いとなるフィールドは……なんと、カフェ「パーティ」の店内そのものだった!

キア「……、……はァ!?;(…」
フライト「って、いいのコレ〜!?」
アイグル「(まさかこうなるとは想像していなかったのか、店内ステージを見ていたり(」
ヒイラギ「・・・どうしよう、…エド、どうしよう(」
エド「あ゛?」
ヒイラギ「まさか何か壊したら弁償とか湿り気随時発動中とか」
エド「いや、それは無ぇだろ; 」
銀翼「・・・まさかの展開・・・だね;」

あまりにも予想外なフィールドに、動揺する面々。
カフェの中は天窓もプールだけではなく、椅子やテーブル、食器まで完璧にカフェそのままである。…とはいえ、カフェ店内そのものではなく、あくまで精巧に模倣されただけのセットらしい。
ちなみに、どのような原理かは不明だが「壁の中」からは、カフェの壁は透けて見えるようになっているので、見学には困らない。

メリー「……さあ。ラストバトルはカフェの店内! …どのような戦いになると思いますか、フライトさん?」

フライト「あ、え〜っと・・・・」

実況モードでフライトに問いかけるメリー。
しかし、その返事を待つ事無く、高らかに宣言する。

メリー「さて。それでは、ラストバトル!! トーナメント決勝。
    タイムPT、種族キルリア! キア
    VS
    ヒイラギPT、種族ヘルガー! エド。
    試合……開始ぃっ!!!」

フライト「ちょっと〜;;」

…緊張気味の解説を置いてけぼりにして。

メリー「次回、バトルスタート! チャンネルはそのまま!(ぇー」


メリー「さて。それでは、ラストバトル!! トーナメント決勝。タイムパーティ、種族キルリア! キアVSヒイラギパーティ、種族ヘルガー! エド。試合……開始ぃっ!!!」
フライト「あ、え〜っと・・・・ちょっと〜;;」

解説を置いてけぼりにしたメリーの試合開始宣言と同時に、ヒイラギがエドに指示を飛ばす。

ヒイラギ「まあいいや。まさかの「理想郷」。Go(」
エド「(開始合図と同時に、室内にスモッグを撒き始めた!/当てる、というよりは充満させる感じで。)」

キア「っ、せぇい!(充満する前にびしぃっ、とエドを指差したあと天窓から屋根へ移動する!」
エド「(それを追おうとはせず、やっぱりスモッグを店内に広げて行く)」


フライト「(コホっと一つ咳払いをして気持ちを落ち着かせ・・)カフェが舞台となると、トレーナー・ポケモンがどれだけ構造を知ってるかが問題になりそう〜。個人的に普段入れない厨房や2階も行ってみたくなるね〜」
メリー「そちらも再現は完璧ですが、トレーナーもポケモンも、恐らく内部構造はあまり詳しくは無いでしょうね。ですが、此処まで残ってきた猛者。果たしてどのように使うか!」


キア「うっざいわねこれ……!!(天窓から手だけを出し、エドにマジカルリーフ!!出し切ってすぐに手は引っ込めて)」

エド「(マジカルリーフは直撃するも、やはり大した効果は無い様子で)…フン。」
ヒイラギ「そろそろ良いかな?」

キア「ぬぬぬ……せぇぇい!!(サイキネで水を持ち、すごい勢いで天窓から流しこむ!!」

ヒイラギ「何か降って来るよー?」
エド「…(ひょい、と、天窓の下に位置しないテーブルの上に飛び乗り濡れるのを避けて/スモッグは空気に溶けこんで段々色が薄く)」


メリー「さて、バトルは現在、エドがなにやらスモッグを溜めています。
……カフェ店内を毒で埋め尽くそうというのか! しかし、キアは既に脱出!
更に言えば、エド自身、この毒に耐えられるのでしょうか!」


ヘルガーはスモッグを使うものの、タイプは悪と炎。毒に強い種族ではない。
充満している毒が辛いのはエド自身も同じはずである。

キア「(水はだんだん床に広がって水浸しになっていき)てやああ!!(ガラス窓をぱりーん、と割って、そこからマジカルリーフ!……と、エドに「みらいよち」のダメージが!)」


メリー「さあ、キアは天窓から激しく攻撃ー! いくら効果は今一つとはいえ、此処までの攻撃を受ければ、エドもただでは済まないでしょう!」

フライト「っていうかもう早速普段だったら弁償物だね〜。(ふふっと笑う)」


ヒイラギ「問題なし、着火、フラッシュオーバー!」
エド「(かちん、と口内で火花を爆ぜさせると、建物中が「一瞬のうちに爆発」し燃え上がった!(それによりマジカルリーフは灰となし、未来予知によるダメージだけを食らって)がるっ…;(テーブルの下へ。熱によって湯気を上げる元水、現熱湯の床へ強制的に降ろされた)」


メリー「……おおっとぉ!! エド、スモッグに引火ぁ!!;
見た目粉塵爆発っぽいですが、威力はともかく範囲はまるで別物! 凄まじい攻撃ー!! …しかし貰い火があるとはいえ、爆風まで防げるか…!;
エド、キア、両名、ダメージはどうなっているのでしょうか!」

フライト「普通はコレだけの爆破が起こったら建物が崩壊しちゃうね〜。でも「カフェ」だから崩壊はしないかな〜」

メリー「ええ。このカフェを崩壊させるなら、それこそ相当の努力をしても無理というもの!(…)」

ちなみに、一口メモによると『フラッシュオーバー=可燃ガス等が充満した部屋などに火の気が入ると一気に派手に燃え上がる現象。水爆と原理は同じなのです。即ち水素でも可能』とのこと。

キア「狽、そォ!!(燃えあがったのに驚き、「あちちちち;」とか言いながらもトレースした『もらいび』でダメージは受けてないっぽい)。o(サイキネ使えないのは痛いのよーっ!!;(エドをぴしっと指差し、屋根から降りて地面の上へ)」

ヒイラギ「追撃準備ー、未来予知来てるっぽいから気をつけてー、GO。」
エド「ぐる・・・(当然自分にもダメージは無く、足元の水に威力の上がった火炎放射を噴出し、蒸発させる事で店内の火の気を押さえ込んでいく)」

タイム「とりあえず、攻めますよ!」
キア「りょっかい!(振りかえってサイキネで水をすくって、割れてる(と思われる)窓から侵入、エドに水をぶっかけようと!」


メリー「さて、フライトさん。エドは大技を出しましたが、その狙いは…?」

フライト「「カフェ」の中は広いけどテーブルとかイスとかいっぱいあってそのままじゃ床を走り回るのは無理だからかな〜、邪魔なものを一回ふっとばしちゃおうってことだと思うよ〜。
あとは爆炎の中心でもらい火して調子を一気に上げちゃおうってところかな〜」

メリー「なるほど。…貰い火は炎技の攻撃を無効化し、炎属性の技の威力を上げる特性。キア自身に効果は無いとはいえ、様々な使い道はあります! …さあ、両者被害は0のようだが、どう攻める!」


エド「(室内は真っ白い且つかなりの温度の水蒸気が充満してて、下手に熱耐性(火の耐性ではなく)がないと火傷しそうな状態になってる!)」

キア「ちょっ、熱ッ!?;(水を手放すまで我慢して、さっき入ってきた窓から退避!(」


メリー「…おっと? キア、店内から一時退避した!
……この霧が……いえ、これは水蒸気だ! 先程の水が熱され、相当な熱さの水蒸気なって店内に充満しているー!!」

フライト「なるほど〜、店内に高熱の水蒸気を充満してるからしばらくキアが店内に入れなくなったね〜。
今回は今までの試合より時間が長いからこうやって自分に有利なフィールドを作った効果も出たみたいだね〜」

メリー「ええ。カフェ店内は障害物も多いですからね。「フィールドを作る」。今までも何度も行われてきましたが、最終局面のこの戦いでも行われていますね」


エド「(水(というか御湯)が掛かったくらいでは中々ダメージ源にはなって無いぞ!/キアが退避する前に、ヘドロ爆弾のヘドロを割れた窓にぶっかけて、塞いでしまおうと) 」

キア「煤iヘドロ爆弾をサイキネで止め、エドに投げつける!その間に窓から退避!……と、エドにみらいよちのダメージ!)」


メリー「…キア、攻撃を封じられながらも上手くサイコキネシスを使ってエドの行動を妨害! 更に、未来予知でじわじわダメージを与え続けているぞー!」

フライト「今のところキアはカフェの外からしか攻撃ができないね〜。どうするのかな〜」


試合の行方は……後編に続く!