2月9日 バレンタイン料理教室(前編)  編集:Rista


 年が明け、まだまだ春は遠い1月末。
 とあるルージュラがカフェを訪れ、入口近くにある掲示板にこんな張り紙をしていった。

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『バレンタイン前特別料理教室!』

こんにちは!皆さん今年も始まって1月が経とうとしているワ。まだまだ寒くて春が遠く感じるけどいかがお過ごしかしら?

1月が終わる・・・すなわち2月が始まるという事よネ。
2月といえば女子の聖戦・男子の戦争、そうバレンタインデー。

そこで、バレンタインデー直前の2月9日頃にカフェの一角をお借りしてみんなで楽しく簡単で本格的な手作りギフトチョコを作る教室を開こうと思っているわぁん。

お料理が苦手でチョコを送りたいけど作れないコはもちろん、一人で作るのもちょっと寂しいってコや逆チョコを計画しちゃっているあざとい男子も大歓迎よぉん♪

ぜひ参加したいってコはこの記事に作りたい個数と種族を明記して貼り付けてイってねぇん。


当日の持ち物は

参加費1000ポケ+材料費500ポケ×個数分。
それと、場所代としてワンドリンクオーダーとなってるワ。

必要な道具や材料は一通り準備してあるけど持参していただいてももちろん結構よぉん。

参加者は当日爪きりを忘れずにしてきて頂戴。モフモフちゃん達は抜け毛がチョコに入らないよう、しっかりブラッシングもねぇん?


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 そして、指定された当日……


チェルク「いらっしゃいませ!」
サチコ「ごめんあそばせぇん。」

 宙に浮いた4個のボストンバッグを引き連れて店に入ってきたのは、人間の女性……ではない。完璧なモデル体型とキューティクルの輝きに目を奪われて見逃しそうだが、よく見るとその顔は人間とは決定的に違っていた。
 人呼んで美魔女ルージュラ。彼女こそが料理教室の主催者、その名をサチコという。

サチコ「まだ誰も来てないみたいね。集まる前にぱぱっと準備しちゃうわよぉん。」
 大きく膨らんだバッグはどうやら“ねんりき”で浮かせていたらしい。パチパチ、と彼女が手を叩く動作で一斉に口を開いた。
サチコ「ボウル、ホイッパー、ゴムべら・・・・」
 無いものがないか口に出して確認しながら、バッグの中から次々とバットやらボウルやら各種料理道具が取り出される。道具たちはどれも“サイコキネシス”で宙を舞い、カフェの一角のテーブルに等間隔で配置されていった。
サチコ「最後に材料・・・は全部足りないものなく入ってるわよねぇん?一応もう一度確認しとくことにしましょ」
 取り出されたのは、ジップロックに袋詰めされた手作りチョコの基本的な材料。きちんと不足したものが無いか確認しながら、これは手作業で配置していく。
サチコ「ま、大丈夫そうねぇん。トッピング用の木の実やらとラッピング用の100均雑貨はこっちに・・・」
 料理道具が並べられたテーブルの隣のテーブルにドサッと。実に雑多なグッズの数々が並んだ。
 色鮮やかなラッピングテープ。
 ちょっぴり小洒落た物、かわいい模様の物、無地の物などの色々な趣味趣向に合った小さい組み立て式パッケージ。
 トッピング用のドライフルーツやカラフルなチョコスプレー等々。中にはなぜか青海苔や鰹節も混ざっているが……とりあえず、スイーツ作りに使えそうなものは一通り揃っているようだ。

 さて、これらの材料がどんな風に化けるのだろうか?



サチコ「さて、とりあえず準備はこんな所ねぇん。みんな揃うまでお茶でも飲んでようかしら。ルファリーさん、ダージリンをカップで戴けるかしらぁん?(近くの椅子に座って。)」
 指名されたルファリーさんの元気な返答を合図に、カフェのキッチン周りも動き始めた。

 そこへ……
チェルク「いらっしゃいませ!」
ジュリエ「【 ちりん。  入り口の扉が開いて、一匹、ポケモンが顔をのぞかせてから、入店してきた】………、と、時間に来るには、少し早かったかな。【ぽつ。 直ぐに、先客の姿に気付いたのか、そちらへと顔を向けた。】…こんばんは。」
 2番目の客が現れた。顔を出したのは、雪のように白い毛並みのグレイシア。光の加減で微かな灰色の模様が見えたり見えなかったり。紅色の瞳がサチコの姿を映すと、すぐに状況をある程度察したようだった。
サチコ「あら、こんばんわ。参加者の方かしら?」
ジュリエ「あぁ、参加者の一人だよ、…ん、………と、云う事は、【 少し首を捻りながら、】…Ms,サチコは、貴女かな?【と、尋ねかける。】」
サチコ「ソウヨ。いかにもアタシがサチコよぉん?(ルファリーさんが運んできたダージリンティーをすすり。)  あ、場所代でワンドリンクオーダー忘れないで頂戴ねぇん?>ジュリエ」

ルファリー「いらっしゃいませー♪」
ブラスト「ばんわーっと…まだ、準備中か。(扉を蹴るように開けて入ってきたバクフーン。片方の腕に抱えた沢山の機械。)あー…やっぱりサチコさんか…;」
サチコ「あら、ブラストちゃんじゃない。どうしたの?」
 続いて訪れた客はバクフーンだった。
 訳あって左腕がない彼は、残った右腕一本で何やら大荷物を抱えていた。
アイグル「… (三秒前である、どれだけぎりぎりなのだろう。 とたとたと店内に入って来る一頭のルギアの姿、店内に顔を出し、そのままきょろり。) 」
 さらに続けて入ってくる、こちらはルギア。なにやら時間を気にしている。掲示板のレスに集合時間の目安が書いてあったらしい。

ジュリエ「ん、…じゃあ、名乗っておかないとね、【握手、とばかり手を差し出す。】ジュリエ・フューリだ、お会い出来て光栄だよ、Ms.サチコ。【と。】あぁ、勿論だ、…そのがてら換金もしないといけないしね。【 店員さんの方に視線を向けて、】あぁ、アイスティーを1つお願いするよ。【   と、他の来店客それぞれにも、】こんばんは、君等も参加者かな?【 ぱち、と、アイグルの方に、片目を閉じて向けた、そちらは把握済。】」
サチコ「アラマ、どっかのドサイドンと違って紳士だこと。(差し出された手を握り返して)>ジュリエ」
 いったい誰のことなんでしょうね……

サチコ「参加者のみんなはテーブルに必要なものを一人分ずつ並べてあるからそっちに言って頂戴。っていっても、ジュリエ君とアイグルちゃんのだけだけど。個数が違うから間違えないようにネ。」
 結局、募集に正規ルートで返答をよこしたのは、このジュリエとアイグルだけだったという。
 それぞれ作る数が違うらしく、片方だけ材料が多めに盛られていた。
アイグル「…お待たせしました… (サチコさんたちの姿を見つけるとぺこりと深く下げる頭、ついですたすたとそちらへ歩み寄り、とりあえずどんな様子かと眺めている。 テーブルの上に材料も道具も一杯。) 」
ジュリエ「【 握手を交わした後、こく、と、一度頷く。】あぁ、…と言っても、僕の場合数が多いから、一目瞭然だけれども。【 テーブルの方へ向かうと、材料の方を確認、】……なるほど、…こういうのを使うんだね、…2つ程、何か不思議なものがある、けれど。【主に鰹節、青海苔へ向けての感想。(】」

サチコ「そっちのお二人はどうするの?(と、ブラスト達のほうを見て。)>ドン」
ブラスト「ちゃんはいらなよ;(サチコに苦笑いしつつ丁寧にお辞儀。)今日、やるんでしょ?それをドンが暫く此処に来れないくせに行きたい言うからさ…身代わりに顔と腕だけの感覚だけ此処に呼ぶんだよ。(店員に電源を借り、コンセントを刺すと機械をテーブルに置き、身代わりでドサイドンの姿をした身代わりを作った。勿論太い(…)それ、聞いてたら殴られてるぞサチコさん・・・;」
 なんと、技の“みがわり”と機械の合わせ技でバーチャル参加という回りくどい斬新な試み。
 来られない理由は不明だが、今頃ドンの本体もどこかで準備をしているんだろうか?
サチコ「ドンちゃんくらいならまだまだぜんぜん平気よん。感覚だけ呼ぶなら何しても何もされないのネ。後でイタズラしちゃおーっと♪>ドン」
 この身代わり、どう見ても「にげる」を使えるようには見えない。大丈夫なのか。

サチコ「そしたら、みんな集まったしそろそろ始めるわよぉん?最低限の材料はみんなの前に用意してあるわぁん。でも、チョコ溶かして整形しただけじゃ芸がないから自由にそっちにある副材料を取って使って頂戴ぃん♪」
 サチコは隣のテーブルを指差して言うと、どこからか髪留めバンドを取り出して、自慢のロングヘアをポニーテールに結わえた。
 身だしなみは料理の基本。 大事なチョコに髪の毛が混入なんてシャレにならない。

ブラスト「でもよ…カメラでこっちは見えてるぜ…後が怖い怖い;(身代わりのドサイドンを蹴るなり押すなりで席に座らせると、コンセントと繋がったバンドを両腕につけ、頭にゴーグルを取り付けた。片腕でも難なく自分より大きい者のテキパキと)あー遅れた、俺たちも勿論参加するよ。」>サチコ
サチコ「ていうか、ドン君予約してないでしょ。材料無いわヨ(ズバッ)」
ブラスト「え、予約制なのこの企画…(」
 説明をきちんと読んでなかったことがここでバレてしまった!
 手の込んだ身代わりは無駄になってしまうのか。
 と思いきや、
ジュリエ「…成程、…こういうのを使って彩るのかな。【 実に興味深そうに材料を見ている。(…】…あぁ、良ければ僕の一つ分を彼の方にやれるかな、Ms.サチコ。」
アイグル「… (こちらはサチコさんの説明に耳を傾けるばかり、視線をちらちらと向けながら、テーブルの前まで移動して。) 」
サチコ「いやいや、冗談ヨ。さすがに“ここ”でやるのに飛び入りの想定してなかったわけじゃないワ。予備がいくらかあるからそれを使うといいわヨ。参加費の1000ポケと個数x500円の代金はしっかり頂くケド。(カバンの中から材料を出して、ブラストの前に置く)」
ブラスト「ま、それなら早く……書いてあったな。(…(材料を置かれ、サチコに礼を言うと身代わりにつけた機械の電源を入れた。)」
ジュリエ「……、…と、なると気遣いする必要はなかったかな。【 パタン、と、尻尾を一度揺らした、苦笑い。】……。【 さて、材料を覗きこんで、また興味深そうに見つめる作業に入ろう。(】」
 愛のお裾分け。材料はきちんと多めに用意されていたのだった。
サチコ「あんまり欲張って色々使うとかえって不恰好になるから、出来るだけ色をそろえて2、3種類にしておいたほうがいいわよ。(と、チョコスプレーをがっつり否定した一言を発射して。)みんなお好みのもの取れたら手をしっかり洗ってそれぞれ場所についてねぇん。」


 材料が確認できたところで、いよいよ調理開始。
 と思いきや、ここで大事なことを思い出したようだ。
アイグル「…先にお支払しておいた方が良いでしょうか… (そういえばポケポケ、1,000ポケと、500ポケ、でいいのかしら。 作りながら飲み物でも飲むのもいいかもしれない。) 」
ジュリエ「…と。【ちょっと失礼、と一言。 カウンターの方へ行って、店員さんに何か話しかけとる。 換金中、少々お待ちを。】」
サチコ「あ、御代はいつでもいいわヨ。手洗っちゃったら後のほうがいいかもしれないわね。>アイグル」

 店員たちが仕事をしている間に、風変わりな身代わり人形が起動していた。
 顔に装着されたゴーグル型の機械が光り、しばらくして腕の部分が動き始める。どうやらこのゴーグルにカメラが仕込まれているらしい。
ドン「…っと。ちゃんと動くみたいだな、このポンコツ。(肩が微妙に竦めると動かない口から声が出た(…)」
サチコ「これってブラストちゃんの感覚がドン君に伝わるのぉん?(ブラストの装着している機械に興味津々である。)」
ブラスト「ま、まぁ、俺が作った身代わりだし少しは伝わるけど…今日は駄目だからな、参加費消えるなら良いけど((ブラスト、というより身代わりと二人に同じものが付けてある。PPでも吸い取って形状を維持してるのだろうか)」
 やはり動力は電気だけではないらしい。
サチコ「あら、参加費免除ならおさわりオッケーなのぉん?ヤッター・・・っていうかイタズラするなら身代わりのほうってことね。()>ドン」
ブラスト「だね、それなら俺に痛覚が来ない。(ドンにニヤァと笑い)」
ドン「お前ら戻ってきた頃には覚えとけよ…あ、ちなみにチョコは100人分な。材料費はこれが払うってさ。(ブラストの頭に手を乗せた。身代わりの体と言えど重さは本物のドサイドンとは変わりがないようだ。)ここは行きたい所だが俺はいかないからな。」
サチコ「ブラストちゃん。とりあえず2人前でいいかしら?あ、ブラストちゃんはもしかしてあげる相手居たりするのかしら。3人分ぐらいなら用意できるケド。(まったくドンのことは相手にしていない)」
 予約し忘れたくせに図々しい要求は実にあっさりと無視された。

アイグル「…では、先に支払わせて頂きますね… (まだ準備がまるでできていないという状況ゆえ、ごそごそとポケを揃えて、1ポケの誤差もなくこの場に用意しておくとしよう。)」
 後回しにすると、そのまま忘れてしまうこともしばしばだ。
サチコ「はーい、ありがとぉん。(アイグルの手元から参加費分のポケがねんりきで回収される)  ジュリエさんが戻ってきたらさっそく開始しましょうかしらぁん。」
アイグル「…では、可能な限り清潔にして参りますね… (参加費を支払ってから一度お手洗いの方へすたすた、扉の向こうへぱたん。 そのうちに戻って来るが、見た目は特に変化がない。)」
 入れ違いでジュリエが戻ってくる。
ジュリエ「【 換金を終えて戻ってきた】待たせたね、【と云いつつ、こちらも揃えた金額ぴったりで提出しよう。】…手は、まぁ、……あぁ、失礼、自分の手じゃなきゃ駄目かい?Ms.サチコ、…例えば、サイコキネシスとか、そこの類の。」
 グレイシアは四足歩行のポケモン。
 両手を使う作業ではどうしてもルージュラに及ばない。
サチコ「あ、ねんりきが使えるならその方がイイワネ。もちろん、チャレンジしてみてもかまわないケド。>ジュリエ  じゃあアイグルさんが戻ってきたらさっそく(ry)」
アイグル「…お待たせしました… (サチコさんにぺこりと下げる頭、準備万端。)」
ジュリエ「…成程、了解した。【 と、云うなり。 ぼんっとジュリエの傍らに小さな冷気の塊が2つ。 で、こおりのて が あらわれた ! ▼】」
 おっと、こちらも実に器用な技をお持ちだった。



 そんなこんなで、料理教室の始まりである。

サチコ「はい、それじゃあ 今回は割と簡単に作れて、尚且つ“それっぽい”雰囲気も簡単に出せるトリュフチョコを作るわぁん。張り切って行くわよぉん♪(おー、と一人で拳をかかげて包丁を握る。)」
 ここで今回のお題発表。
ジュリエ 【おー、と、こおりのてがガッツポーズを取った。(】
ブラスト「俺にあげる人は…2人しか居ないかな。仲の良い女性なんて二人しかいないからね…;(苦笑い。サチコが始めようと声を出すなら同じく出すぞ()」
アイグル「… (張りきるぞー。 普段と特に変わらない様子でサチコさんをじいっと観察する視線。)」

ドン「おいこら…無視するな;化粧濃いぞ幸子。(ボソッ(…」
サチコ「アタシ今日ノーメークよ。素顔でもお化粧しているように見えるアタシ本当に女子力高いわよね。(ドンを軽くあしらって早速調理を始めようと)」
 ドン君はそろそろ自分の立場を思い出そうね。



サチコ「まずは板チョコをガリガリと刻んでいくわぁん。ミキサーでやっちゃってもいいけど、あんまり細かくならないしやっぱり手でやるのがオススメねぇん。 いきなり電子レンジで溶かすのも楽だけど、これをやると固めた後に色が変わっちゃってなんだか不気味な感じになることがあるから、同じくあまり推奨はしないわぁん。 それに、大切な人に贈るものなんだから手間は惜しんじゃだめヨ(バリバリバリとゼクロムの如く板チョコを刻んでいく。)」
 まずは先生のお手本から。黒き塊が細かく砕かれていく。
ジュリエ「…ふむ、刻んでいく、と。【 氷の片手が刃物っぽい指になった。(】…料理作りと似てるのかな。」
サチコ「あ、氷の刃で刻むのはやめたほうがいいわヨ。水が入ると後で湯煎するときにチョコがボソボソになっちゃうから。うまいこと包丁使ってガンバッテ(」
ジュリエ「……、ん、…了解。【 なんか凹んだように手がおずおず元の形に。( 包丁を持って、コンコンコンコン、と、包丁さばき『は』慣れた様子で、ぎこちなくチョコを刻んでいく。(】」
 ちょっと何かが混ざるだけで出来上がりが違ってくる。チョコはとてもデリケートなのだ。

アイグル「…畏まりました… (とにかく細かく…ふんふん。 板チョコをまな板の上にぽんと置くと、上に手をかざし、神通力パワー。 一撃でぎりぎり原子崩壊しない程度の細かさにぽふんと崩れる様子はどこかとろけるチーズ。)」
 ここにはもっと斜め上の刻み方を見せる方がいらっしゃいました。
 というか、これ、刻むなんてレベルじゃないよ……

ドン「あーそーいやお前にこれはほめ言葉だったな…(物々愚痴を言いながらチョコに包丁を降ろし一振りで余ったチョコを砕く。そこから破片を細かくし始め。)」
ブラスト「(包丁を握りしめると、チョコを千切りのように素早く切り始める。連続切りを使ってるぞ()ちなみに心理的に愚痴言いながらやるのも駄目だからな?」
 ポケモンの技を使うならこれくらいがちょうどいいのかもしれない。

サチコ「結構大変な作業だけど、しっかり刻んであげてねぇん。ここで手を抜くと次の湯煎で中々溶けなくて大変よぉん?」
 手際よく刻まれたサチコのチョコは、暖房がきいた店内の気温でも溶け出しそうなほどに細かい破片の山となっていた。
 ここまでやれば後の加工は楽そうだが、初心者は無理にそのレベルを目指さなくていい。


サチコ「さ、みんな刻めたらこぼさない様にボウルに移してねぇん。水道は厨房の借りると迷惑になるからボウルはこの食品用アルコール霧吹きで消毒して頂戴。霧吹きした後しっかりペーパーで拭いてねぇん?」
 自分の分を用意する手は止めないまま、ボストンバッグの中から霧吹きとクッキングペーパーを3組取り出し、参加各組の取りやすいところにねんりきで浮遊させる。
 サイコパワーは実に便利だ。
アイグル「…畏まりました… (神通力で受け取ろう、早くしないとくしゃみ一つでチョコパウダーが飛散してみんなの鼻から吸い込まれて体内チョココーティングされてしまう。 アルコール霧吹きを空中でボウルにしゅっ、ついでペーパーで念入りにふきふきふき。)」
ジュリエ「…了解。【  ぎこちなく切っていった割、まぁまぁ細かく刻めた。】…ん。【 片手がふわんっと霧吹きを持って、ボウルにしゅしゅっと。 その後、包丁を一度置いた手がふわんっとペーパーで拭き拭き、と。】」
 こちらも見えない力をフル活用。
ブラスト「(ボウルを受け取るとテーブルに置き、霧吹きをすると指先に火を作り熱で乾燥させた)そーいや、サチコさんは誰にチョコを?」
サチコ「アタシ?アタシは自分で食べる用とサルサ達にちょこっとずつあげる分ヨ。一昨年まではみんなファンからチョコが沢山届いてたんだけど、処理しきれないからバトルフロンティアの運営からプレゼントの類は禁止、ってなっちゃって寂しくなったから去年からはお互い送りあってるのよネ。> ブラスト」
 人気者は大変だ。


サチコ「みんなうまく出来たかしらぁん?そしたら、大きいほうのボウルにそこにあるポットからお湯を注いで頂戴ぃん。やけどしないようにネ。」
 トッピングやラッピング用品が置いてあるテーブルの隅に、ポットが二つ並べられている。
 全員分足りるかどうか、若干心もとない大きさだが、ここはカフェだ。足りなくてもきっと何とかなるだろう。
アイグル「…畏まりました… (ポットを見やり、お先にどうぞ。)」
ジュリエ「【 ポットのうちの片方に氷の手が飛んでって、大きい方のボウルを持った氷の手がポットの傍に。 大きいボウルにお湯を注いでいく。】…、【ちょっと緊張した面持ち。(】」
アイグル「… (ジュリエさんの様子をじいっと見守るばかりである。()」
 慎重にお湯を注いでいく。勢いなんかで跳ねたら大変だ。

サチコ「あ、丁度いいわ。ブラストちゃんちょっとお湯たらなさそうだからこれ沸騰させてポットに入れておいて頂戴。(そういうとブラストの前に大きな氷が入ったボウルがふわふわとやってくる(・・・)」
 ここで目をつけられた炎ポケモン代表。
 なるほど、そういう手があった。
ブラスト「サルサ…達?夏に言ってた俺にそっくりなやつだっけ?(お湯を注ぎに行きながらサチコを見た。氷水ボウルを受け取ると席に戻り炎の拳でボウルに触れ温める。)…氷水…ドン。(」
ドン「俺身代わりだから無理。(少々ノイズが入った声が流れる。ブラストに舌打ちされ包丁を投げられ肩に突き刺さるぞ。身代わりだから血は出ない。ザクッと()」
 そこ、ケンカしない。
ジュリエ「Σ【ザクッと。にビビった。 氷の手が嗚呼ボウルの中に落ちた。溶けた。(】…あ。【…】」
サチコ「こら!料理道具を凶器に使わないの!刃が欠けちゃうでしょ!(ジュリエの様子をみたりしつつこちらはこちらで手を止めない)」
ブラスト「大丈夫だよ。非戦闘で考えた身代わりなんだから柔らかいし、力も技も無い。包丁なんかただの残鉄剣さ(…(ボウルを温めながら。溶け切った氷がボウルの中で少しずつブクブクとし始めた。)」
 包丁も身代わりもこんな残念な使い方をしてはいけない(…

サチコ「とりあえず、お湯の準備が出来たらいって頂戴。それまでアタシはドン君にいたずらしてることにするワ(身代わりの手元を氷結させる。)必殺!ひえしょう手袋!」
 よくわからない技名だが、何をしたかというと。
ドン「っ…。いたずらじゃねぇよ包丁抜けよ…!(刺さった包丁諸共凍っていく。冷凍食品ならぬ冷凍岩石(全身が凍りつつもカメラは起動してる()だーからーやめろっての!」
サチコ「ブラストちゃーん。はやくはやく。(みがわりの顔部分や腹部まで凍らせている。ドンは無事だろうか・・・・。)」
 手袋どころか全身をすっぽり覆う勢いで、氷結は拡大していった。
 絶対に無事で済ませる気ないよね?

ジュリエ「【  …こおりの手を修復、また浮かせてポッドのお湯を追加していく。(…】……。【やっと出来た。( ほっと一息を着く慣れない一人。(】」
アイグル「…それでは…。 (ジュリエさんがお湯を入れ終えれば、次は自分の番。 大きなボウルにちょろろ…ちょろ、かぽ、かぽ。)」
 一方こちら、普通に作業してるお二方。手が滑ってしまった分は何とかカバーできたようだ。
 その間に追加のお湯も準備できたようで。
サチコ「あ、ブラストちゃんありがとぉん。じゃあ早速お湯分けるわよぉん。足りないコはボウルこっちに持ってきてぇ。(ブラストが持っているボウルの中からねんりきで熱湯を浮かせる)」
ジュリエ「…僕は、まぁ、これくらいで足りる、かな、【氷の手の分の水分が+されてるからして量がそれなりに。(】」
サチコ「さっき氷入ってるのがチラッと見えたけど温度大丈夫カシラ?ぬるくなって溶けづらくなったら言って頂戴ネ(ジュリエのほうを見て。)>ジュリエ」
アイグル「…お願い申し上げます… (サチコさんの方へのそりとボウルを抱えて持って行くのである、熱いとかそういうのは気にしない。)」
サチコ「はーい、じゃあアイグルさんどうぞぉん♪(静かに適量の熱湯がボウルの中に注がれる。残った分はサチコが使うようだ)」
 ちなみにお湯を注ぐ作業も全部ねんりきで行っている。エスパー凄い。


サンクル「お湯を用意したということは……次はいよいよアレですね。後編に続きます!」