2月9日 バレンタイン料理教室(後編)  編集:Rista


サチコ「じゃあお湯の準備が出来た所で湯煎始めるわよぉん?湯煎の仕方わかる?さっきの刻んだチョコを入れたボウルをお湯に浮かせてゴムべらで混ぜていくのよぉん。
 いよいよチョコを溶かしていく手順だ。サチコは口で説明しつつ実際に自分の手元でもやってみせた。
 先ほど細かく刻んであったチョコが、あっという間にトロトロに溶けていく。
サチコ「改めて言うけど、やけどに気をつけてねぇん?ボウルを押さえているほうの手は特にやりやすいわぁん。ていうか、じきにボウルが熱くなるから持ってたらハンカチかなんかで掴んだほうがいいかもねぇん。鍋つかみ用意するの忘れちゃった。」

アイグル「… (こくこく、自分もチョコの粉末入りのボウルをお湯入りのボウルの中に浮かべ、ゴムへらを神通力で浮かべてぐいぐい。 溶ける溶ける、香りを楽しみながら隣のジュリエさんの様子も見やって。)」
ジュリエ「……温度、は、問題無い、と思うよ、少しお湯を多めに使う事になっちゃった、けれど。【 と、云いつつ、こっちも刻んたチョコを入れた小さなボウルをお湯を入れた大きなボウルに浮かべて、ゴムへらでぐりぐり、と。 それなりに、こっちもこっちで溶けて云ってる、実に無難。 氷の手がえっちらおっちらちょっと危なっかしいが。(】」
サチコ「ジュリエさんお湯多いと溢れてやけどしやすいから気をつけてねぇん?(こちらはこちらでカチャカチャと段取り良くやっている。)」
ブラスト「(自分の分は溶かした内に貰い再度温めている。お湯にボウルを浮かべるがその後気付いた。ボウルを押さえる手がない(…)湯銭……ドン。」
ドン「…なら溶かせ。(氷の結晶から響く声。()」
 みんなのチョコレートが溶けるにつれて、店内にチョコの甘い香りが広がっていく。


カラクリ「ふぇ…おはようございまー…す(うとうとしながら緑のボーマンダが入ってくる」
 そこへ、新たな客がふらりと現れた。
 サイズは種族平均の3分の2ほど、しかも色違い。なかなか珍しい姿をしている。
アイグル「…こんばんは…起きたばかりなのでしょうか… (あら、緑のボーマンダさんに目を向け、チョコレートを溶かしながら小首を傾げる。)」
ドン「おは…いや違うこんばんわだぞ。(喋る太い氷の塊。入ってきたカラクリを見て)」
カラクリ「こんばんはーアイグルさーん…なんか掲示板見たらなにかやってるみたいで。面白そうだから様子でも見に来たんですけど…(ふらりとテーブルについてうつ伏せに」
アイグル「…はい、料理教室にただ今参加しております… (カラクリさんにこく、と頷きながらチョコレートをすっかり溶かし、さぁてお次は。)」
カラクリ「あー、ドンさんやらサチコさんやら…なるほどお料理教室ですか。(目を細めて甘い香りをすーっと吸い込み、ぼてっと顔をテーブルに落とす」
 この頃には店内がすっかりチョコの香りに包まれている。
 甘いもの好きにとっては実に幸せな空気だ。

サチコ「もー、しょうがないわねぇん。」
 作業に差し支えるなら仕方ないと、サチコはこおり状態の解除を決めた。ドンを覆っていた氷が跡形も無く消える。
 ドンが動けるようになったことでブラストも何とか追いつき、ちゃんと湯煎できたようだ。


サチコ「そろそろ溶けきったかしらぁん?いい感じにペースト状になったらお湯から上げて卵黄を混ぜ込むわぁん。
 そしてここからが、ある意味調理の本番。
 まずはサチコのお手本。お湯からチョコのボウルをあげるとタマゴを割り、ねんりきを使って綺麗に卵黄だけをチョコの中に混ぜ込む。

サチコ「ま、慣れないうちは殻が入っちゃったり上手く卵黄だけ入らないと思うから、初めてやるコは黄身取り器を用意してあるからさっきのアルコールでしっかり消毒してから自由に使ってねぇん。でも、人数分は用意してないから譲り合って頂戴。(先ほどのようにみんなのとりやすい位置に黄身取り器を浮遊させ) ラム酒とかで香り付けをしたり、チョコの中に満遍なく具を入れたいコはここでパラパラっと入れちゃって。ラム酒とかブランデーとかはほんのちょっとでいいわよぉん?」
アイグル「…畏まりました… (お湯から上げていいのね、ごそごそ。 それから卵を一つ頂き、空中に浮かべるとそのまま虚空で殻割り。 ついでに黄身を取り出して…白身どうしよう。 とりあえず黄身は放り込んでおくけれど。)」
ジュリエ「え、あ、了解。【火傷苦手な体質故に、その一言でいっきに表情が硬くなった。(  無事チョコレートはとかしきった。(】……、ん。【 チョコレートの匂い、これが実に良い匂い。】……え?卵をっ?」
サチコ「そうよぉん。ここで卵黄を混ぜると冷やして固まったときに元の板チョコの硬さに戻らないの。これがいわゆるトリュフチョコと普通のチョコの境目ねぇん。アレルギーとかがあったら入れなくていいわヨ。>ジュリエ」
ジュリエ「…へぇ、…それは知らなかった…、【ほぅ、と、卵とチョコを見比べている。】知恵豊富だね、羨ましいよ。」
 硬さの違いはつまり食感の違いだ。
 しかしサチコはここで、重要なことに気づいてしまう。
サチコ「ていうか、ジュリエくんタマゴ割れるかしらぁん・・・?(」
ジュリエ「…あ、…あぁ、まぁ、割れるよ、この通り。【 氷の手がふわんっと卵を一つ持ち上げて、慣れた様子でぱきっと割った、その後、に。】……………、さて、どうしよう。【黄身と白身の選別が出来ない。(】」
 卵の中身を念力以外の方法で分けるには、割り方に少々コツがいるのだ。

カラクリ「チョコレートといえば…トリュフ型とかのあの舌触りがいいのとか…口の中に入れたらフワっと溶けるようなチョコレートも人気ですよね… 焦がしチョコの生地につつまれた液状のチョコレート、フォンダンショコラも実に美味…ケーキならガトー…ふふうふふ…(うっすらよだれを垂らしながら妄想にふける(」
 料理に参加しない方は気楽なことを言ってるが……
ドン「夏以来…ってか。俺は沢山あげる人が居るが今回は姉貴だけだな。(卵を片手で割り手際よく黄身を分けると、白身は食べた())お前…そんなチョコばっか食うといつか大変な目にあうぞ…;あ、白身は俺が食うわ。(…」
 あ、つまみ食い発見。
 実に器用な身代わりである。
サチコ「白身・・・白身どうしようかしら。捨てるのも勿体無いし、ブラストちゃんに焼いてもらってお醤油でもかけて食べたらどうかしら?(普段のサルサの扱いが垣間見えるコンロ代わりっぷりである。本当に役に立つイタチ。)」
ブラスト「はーいサチコせんせーい。僕もう技のPPがありませーん。(棒)」
カラクリ「あ、白身ください。ちょっとお菓子作るときに使いたいです(がばっと頭を急に上げて(」
 ここでいきなり名乗りを上げた。
 食べるだけかと思いきや、カラクリもお菓子作りをするらしい。
ドン「お菓子って…帰るまでに白身大丈夫か…ここは俺が腹に片づけるべきだとだな…( >カラクリ」
サチコ「どうやって持って帰るのヨ・・・・まぁ、適当にビニールに詰めてあげるワ。(ゴソゴソとバッグの中からビニールを取り出して)>カラクリ   白身要らない人はこの中に入れて頂戴。(既に中にはサチコの入れた白身が入っている)」
アイグル「…畏まりました… (カラクリさんを見やって小さく頷くと、綺麗に殻と黄身を分離した白身をビニール袋の中へ神通力で放り込ませて頂こう。)」
カラクリ「あぁ、保存場所ならマフラーの中があるので大丈夫ですよー ありがとうございますサチコさーん(礼しつつ 割れた殻を使って黄身だけ掬い上げるようにするんですよ。白身は一回剥がれかけたらいっぺんにおちるから、そんな難しくはないと思います(ジュリエさんの方を振り向いて」
サチコ「まぁこれは流石にこれは氷の手では難しいよねぇ・・・(ジュリエが割ったタマゴの中から黄身だけ浮かび、チョコのボウルの中にぼちゃっと入るだろう。)」
ジュリエ「…その必要は無かったみたい、だ。【カラクリの方へ視線を遣り、遅れて、こんばんは、とひらっと手を振りつつ。】…あぁ、…有難う、Ms.サチコ。【と、礼を述べつつ、白身はそのビニール袋の中へ白身を入れておく。 殻は粉★砕して氷の手が吸収した。】…カルシウム摂取。【ぼそっ。(…】」
 卵の殻も殻で有効な活用法はいろいろある。
カラクリ「ですねー。念動力ってべんりだなぁ・・・僕頭突き以外で使えないよ・・・(ジュリエさんに笑顔でこんばんはーですー あのー、なんかドンさんがぼやいてますけど。どうするんですあれ(しっぽでドンさんの方をさしつつ」
ドン「お前ら…お前ら…俺に白身を…(…」
 こいつは食べることで頭がいっぱいになって、自分が身代わりを使っていることも忘れていたとかいないとか。
 どこまで食い意地張ってるんだ。

サチコ「ドン君はオンオフボタンが壊れたラジオみたいなものだからほっとけば電池が切れて静かになるワ。>カラクリ」
カラクリ「わかりやすい例えですねー。でもそれそのうち本当に壊れるんじゃないですか。寿命切れ寸前じゃないですか(さらりと残酷発言(」
サチコ「なかなかどうして壊れないのよねぇんアレ。>カラクリ」
ブラスト「大丈夫。昔から太り過ぎで体の中身は壊れてきてるから。」
 サチコに続き、仲間であるはずのブラストにまでこき下ろされる始末。
ドン「カラクリまで俺が手を出せない事知ってて…俺がこっちに戻ってきたらお前ら覚悟しとけよ。(」


サチコ「で、ホントはここで冷蔵庫で1〜2時間冷やすんだけど、そんな事やってる時間は無いので出来た人からアタシのとこに持ってきて頂戴。冷やしてあげるわぁん。(ふっ、と唇をすぼめて吐き出した吐息は冷蔵庫の冷気の吹きだし口から出て来た風のように冷たい。) アタシが冷やしている間に各自バットにココアパウダーを挽いておいて頂戴。」
 ここで氷タイプの本領発揮。
 彼女は念力だけでなく冷気も自在に操るのだ。
アイグル「(ああそうだ、ついでにラム酒を混ぜておこう、たら、ちょろちょろ…ちょっと入れ過ぎかな、でもこのくらいでいいと思う。 そして攪拌攪拌、神通力ミキサーがしゅいいいんと中のものを混ぜ合わせ。) …お願い申し上げます… (さっさと持って行こう、サチコさんの方へボウルを抱えてのそのそ。)」
サチコ「はぁい、じゃあココアパウダーやっといてねぇん。(アイグルからボウルを受け取ると吐息やら氷タイプクオリティのハイパー冷え性ハンドで冷やしていく)」
アイグル「… (長い尻尾を左右にゆらり、いい具合に冷やして貰うことにしよう、その様子をじいっと眺める。)」
 眺めるアイグルの横で、ブラストもラム酒を入れて混ぜている。それから木の実を手中で潰し、ボウルをサチコに渡した。
 そういえばジュリエは氷タイプだが……
ジュリエ「…、【 氷の手で泡立て機があるなら、それ持って、かしゃかしゃかしゃってこればっかりは『慣れた様子』で混ぜていく、】…慣れないものだけど、…中々楽しいな、これは。【ぽつ。】……あぁ、自前で冷やせる場合は、その方が良いかな。」
サチコ「そうね、じゃあジュリエさんはそっちで冷やしてもらおうかしら。ある程度固まったらパウダーまぶして丸っこく丸めちゃってて頂戴。(ジュリエのほうを見て。)」
 説明と指示を出しながら、サチコは手元に集めたボウルを冷やしていく。
 アイグルの分は“いい感じ”になったようで、ブラスト達のものと入れ替わりでアイグルの手元に戻される。ブラストのものも同様に冷やされ、手元に戻っていった。

カラクリ「お菓子作るのはたのしいですよー。自分でアレンジしたりいろいろ(ジュリエさんに顔を向けて んーぅ、あれじゃないですか、こう、縁の下の力持ち、じゃなくて、虫の息?違うか・・・>サチコさんとブラストさんにぼやきつつ ・・・ドンさんパワータイプだから避け続けたらPP切れおこしますかね(細めでドンさんをじーっとみつめて」
ドン「悪いなカラクリ。俺はPPによる攻撃はしないタイプなんだ。ロックブラストも地面があれば無限に撃てるし、地震は全部力技だ。その戦法ならお前の体力負けだぜ。」
カラクリ「じゃあのんびり兄ちゃんにでも助け求めときます・・・なんだ面倒だな(後半わずかに黒く(」


サチコ「そしたら、相手がスプーンで食べやすい大きさに取ってココアパウダーをまぶしつつ丸めていっちゃてぇん♪型をつかってかわいい形にしたいってコはそっちにあるから自由に使っていいわよぉん。」
 いよいよ形を作る工程。
 サチコが指差した先、さっき使ったポットの近くには、星やハートなどの形をした銀色のチョコレート型が置いてある。
サチコ「あ、こういう型が欲しいってのがあったらアタシに言ってくれればねんりきで曲げて作ってあげちゃうわよぉん?あんまり複雑なのはムリだけど。」
 そしてサチコ自身の作ったトリュフチョコはというと……既にやたら大きい球体になっている。なんとボウル一個分を丸々一個の球にまとめていたのだった。

アイグル「…なるほど、畏まりました… (時折カラクリさんの方を見やって気にしつつも、返して貰ったチョコボウルを手に、さてはて、綺麗に丸めないと…どんな風に丸めよう、神通力で完璧に六等分にして、ころころ。)」
 アイグルは丸めた形のチョコを考えていたらしい。神通力という名のフリーハンドで取り分けて、丸める作業へ。
カラクリ「・・・ん(ちょこっと目があったアイグルさんの方にちょこちょこ近寄って、丸める様子を眺める」
アイグル「…いかがでしょうか… (近づいてきたカラクリさんを見やりながらぐいぐいむぎゅむぎゅ虚空で丸める様子をお見せしたり、冒涜的なほど真球なチョコの上にココアパウダーをたっぷりかけてある。 あとラム酒の香り。)」
 カラクリはアイグルの作業を見学することにしたようだ。
 その横ではブラストも、ボウルを受け取って礼を言うと席に戻り、チョコを丸め始めた。

 一方、ジュリエは別のイメージを持っていたようで。
ジュリエ「…【ぴこん、と、耳を立てた。】……、【 片方、氷の手が、ハートの型を取って行った。】Ms.サチコ、型を使ってチョコレートを固める場合、どうすれば良いかな。」
サチコ「アタシは型を置いて上からグイっと型にチョコを押し込んで形を取った後にパウダーかけて・・・って感じかしらぁ?型取るならば、ラッピングのとき形が崩れないように気をつけてねぇん。(ハート型のチョコかぁ・・・・。アタシが最後にあの形で作ったのはいつだったかしら。と短く感傷に浸る)  >>ジュリエ」
ジュリエ「…了解。【感傷に浸る様子に少しだけ苦笑いしつつ、とりあえず、】……やってみよう。【やってみた。( 経験談に従ってやっていく。 ※描写ェ… 】………。【 で、作ってる最中、少しだけ表情が、なんだか柔らかくなったような。】」
 そうそう、愛情を込めて。
 送る相手のことを考えるだけで表情は自然とゆるむものだ。


サチコ「はーい、そしたら本体は出来上がり!でも、バレンタインチョコはここからがある意味本番ヨ。ラッピングを如何に綺麗に、あるいは如何にかわいく出来るか。ここが勝負よ。さ、自分の好きな柄のアイテムを自由に取ってらっしゃい!女子力アンテナをフル回転させるのよ!(なんか気が付いたら男子比率のほうが高いけど。そういうと自分の作ったチョコに思いっきりかぶり付く。もっちゃもっちゃ。)」

 この話の冒頭で、製菓材料と一緒にいろいろ積まれていたことを、読者の皆さんは覚えているだろうか。
 今回のテーマはバレンタインチョコ。つまりプレゼント。
 贈り物であることを思い出し……って言ってるそばから自分のを食べてる? 気にするな!

サチコ「綺麗にラッピングできなくたっていいのヨ。これは商品じゃなくて相手の心を惹き付けるアイテムでしかないから、場合によってはむしろラッピングは下手糞なほうが効果がある事もあるワ。あざとく行きなさい!あざとく!」
 檄を飛ばしながら、自分はキッチンを借り、念力を極限まで使って洗い物を始めていた。

ジュリエ「【自分で食っとるゥ…】……、【えぇ…って、微か顔が引き攣りながら、も。】…Ms.サチコ、なんだか頼ってばかりで申し訳ないけれど、…妹にチョコをあげようと想っているんだが、どうラッピングすればプレゼント、っぽい感じに、できそうかな。」
サチコ「そうねぇ・・・(早くも半分近く無くなったMyチョコレートをねんりきで宙に浮かせ、ラッピングアイテムをいくつか見繕う)  妹さん、って事なら変に気取ったラッピングよりもシンプルで大人しめの感じがいいかもねぇん。この箱にこの新聞紙をシュレッダーにかけた系の紙くずを入れて・・・・」
 と言って持ってきたのは薄茶色の紙箱。模様も数種類用意されていた。ココアパウダーの色がチョコレートをいい感じに引き立ちそうに見える。
 ちなみに紙くずとか言われているが、緩衝材として市販されているものだ。主に「ペーパーパッキン」などと呼ばれているので、買いに行く際は参考にしてほしい。
サチコ「ここに銀紙でも引いて後はそれっぽい感じにリボンでも付けてあげたらどうかしら?妹さんはイーブイ族かしら?>ジュリエ」
ジュリエ「……ふ、む、【 箱を見遣り、少しだけ考えたり、…】………あぁ、いや、ブラッキーの種だよ、イーブイ種の進化系のうちだ。【   …チョイスしたのは、とりあえず、落ち着いた感じな、リボンの色を選んでおこう、黒と白、なんていうのがあればそれに。 箱の中、そのハート型のチョコを、トッピングするみたく、銀紙を敷いた上に「シュレッダーに掛けた系紙くず」を置いて、並べて入れておいて、から。リボンで、しゅるっ。】……、……出来た…。【 ぽつ。】」
 モノトーンを基調に、おしゃれなラッピングの完成。
サチコ「偶然こんなものあるんだけど使ってみる?(と、取り出したのは氷の結晶の形をしたリボンの結び目の所につけるタイプのシール。) アタシの趣味でチョイスしたんだけど、どうかしら。  (と、ポッとしてるジュリエに。)>ジュリエ」
ジュリエ「…!……バッチリだよ、有難う、Ms.サチコ。【深々と頭を下げて、から、シールを受け取ろうか。 で、リボンの結び目のところに、それを、ぺたっと、貼り付けて。】」

ブラスト「ラッピングね…これは帰って仕事場の包み使えばいいか…」
 何か考えがあるらしい。作った数個を分けると一つは袋に仕舞う。もう一つのチョコはここで包むのか仕舞わずに、用意されたラッピングアイテムを見に行った。

カラクリ「なんか、すっごく舌触り良さそうですねー・・・おもしろい(アイグルさんとそのチョコの様子を交互に眺めながら」
アイグル「…それは何よりです… (褒め言葉に尻尾をふりふり、完璧なる真球を一所懸命作り上げ、ココアパウダーつきなのに真球という不思議な物体を完成させる。 …これ舌貼りついたりしないよね。) …ラッピング、ですか… (ちょっと考えないと、んー。)」
 芸術品を作り上げたものの、完成イメージがはっきりしていたわけではなかったらしい。
カラクリ「・・・粉、どこいったんですアイグルさん・・・(まじまじとそのチョコを見つめつつ。わぁこれなんか硬そうって表情を浮かべ」
アイグル「…こちらですが… (表面、のはずなんだけど、なんかひたすらに塗り固めた泥団子を思い出す光沢。 どの辺がトリュフなんだろう。)」
ドン「…それ、7個あって星あったら願い叶えられるんじゃね…(」
 それは違う意味で争奪戦になりませんかね……
カラクリ「んー・・・トリュフというより、チョコキャンディな感じですね。美味しそうだけど(くたーっと机につっぷしてアイグルさんとチョコを見ながらにへへと」
アイグル「…キャンディですか、それは興味深いですね… (尻尾をゆらり、カラクリさんの目の前で、六個…四個を土台に、一個を上に積んだら一個余る…とりあえず巾着袋みたいに詰めてみよう、紫というハイセンス。)」
カラクリ「表面をキャンディで薄くコーティングしたチョコレート・・・っていえばいいのかな。ほぇー(つまれていく様子をながめながら、ピラミッドのようなそれをじーっと見つめる」
 カラクリの助言がヒントになったのか、アイグルもチョコの包み方を思いついたようだ。
 しかし同時に、視線そのものも気になってしまったらしい。
アイグル「…あーん… (どうぞ、の代わりに、余った一個を神通力で持ち上げ、カラクリさんの口元へ差し出してみる。 見た目はふつーに、いやふつーじゃないのか。)」
カラクリ「ん、がう、あー・・・(あむっと咥えて数回咀嚼。もくもくとかみながら、ふっと顔をほころばせる」
アイグル「…いかがでしょうか… (割とラム酒多めに入れてみたのだけど、カラクリさんの顔をじいーっと眺める視線。)」
 ここだけ、チョコと一緒に大人の香りも漂っている。



サチコ「そしたらみんな一応は完成したかしら? とりあえず、今回の料理教室は以上で全行程終了ヨ。みんなお疲れ様!」
 説明しながらサチコは髪をポニーテールに縛ってまとめていたゴムを外した。キューティクルMAXの髪は綺麗な波をうって元の状態に戻る。仕草の一つ一つが実に美しい。残りのチョコレートを口いっぱいにほおばってさえいなければ。
ジュリエ「…、【 ほ、と、一息、出来上がったプレゼントチョコを氷の手で持って、】…さて、…受け取ってくれるかな、レベッカは。【ぼそ。苦笑い。 プレゼントを手にあずけて、自分はすっかりぬるくなって薄くなったアイスティーを、ぐびっと一気飲み。】」
 終了と聞いて、参加者たちの間で緊張がほどけ、空気が変わった。

ブラスト「(適当にラッピングをすまし、息を吐くと。サチコの方へ行き)ンじゃ3時間クッキングシしゅーりょーっと……サチコさん。少し良いかな?」
サチコ「はいはい?何かしらぁん?アタシにチョコくれるの?(ホバーすり足でブラストの所へ)」
ブラスト「…まぁな。こんな事得意じゃ無いんだが…こ、今回もお世話になりました。サルサつー奴にも宜しくな。(と真っ赤な銀包みの箱を渡した。しかも二つ。)…一つはドンだ、夏のリベンジの意味だそう。」
サチコ「アラマほんとにくれちゃうの?ありがとぉん、大事に食べるワ(受け取ると、潰れないように大事に手提げカバンに入れて。)」
ブラスト「ま、まぁ礼はいらんからな…;(サチコに頭を下げると戻っていき。)」
 なんだかんだいって無事に完成した品が、早速手渡された。
 バレンタイン当日にはまだ早いがそんなことは関係ない。重要なのは気持ちだ!

カラクリ「うん、おいしい・・・おいしいんだけど・・・あいぐるさん、お酒いれすぎ・・・(若干ゆれながらアイグルさんをじーっと」
アイグル「…入れ過ぎましたか、申し訳ございません… (でも美味しいなら大丈夫よね。( どことなく嬉しそうに尻尾をぱたぱた。)」
 どうやら彼に大人の味は少し早かったようだ。
カラクリ「んー・・・アイグルさーん、これ渡す相手、お酒飲んでも大丈夫な方にしてよー・・・僕みたいになっちゃうよー・・・(くへーっと息を吐きながら机にぐたー。アイグルさんを見上げて」
ドン「…ならそのチョコ俺にくれよアイグル…(…」
 早速口を挟む食いしん坊。
ジュリエ「…Mr.レオンなら、酒に滅法強いから、大丈夫なんじゃないかな。【とか。(】」
 食いしん坊を遮るように出てくる別の意見。
 ジュリエはアイグルの狙いに心当たりがあるようだ。
アイグル「…はい、問題ございません… (ジュリエさんの言葉にも助けられてこくん、大丈夫かな、とカラクリさんの頭をそっと撫でようとする。)」
カラクリ「それならいいんだけど・・・がうぅー(んーと目を細めて、大きな手にすりすり」
アイグル「…強過ぎましたでしょうか… (カラクリさんが大きな手に頭をすりすりする様子を見つめ、大きな指先でふにふにと頭を撫で返したり、喉を撫でたりしようとする。 チョコレートはちゃんと保管しておかないと。)」
カラクリ「まぁ、そんなに僕がお酒に強いわけでもないし・・・(喉をなでられてぐるるるる 言葉に素が出てきている」
アイグル「…そうだったのですか、申し訳ございません… (熱くなっちゃってるのかな、素が出て来てる様子のカラクリさんをひたと見つめ、鼻先をすいっと近づける。)」


 そうこうしているうちに、主催者サチコは洗い物を終え、キッチンもテーブルの上も綺麗に片付いていた。
 あれほどたくさんあった料理道具も魔法のように消え失せている。

ジュリエ「……さて、と、【 氷で冷やしつつ箱を持っときながら、】Ms.サチコ、今日は本当にありがとう、とても有意義な時間だったよ。【と、もう一度頭を深々と下げた。】」
 こちらも帰り支度が終わったらしい。
サチコ「いえいえ、こちらこそ楽しかったわぁん。そのチョコで笑顔が一つでも多く生まれますように。(グッと親指を立てて) >ジュリエ」
ジュリエ「…ははは、…妹が、チョコレートが苦手じゃなければ、きっと笑顔になってくれると、思いたいね。【…ぽつ。】何時か妹も此処に連れて来たいよ、ホント。【こんな楽しい場所だもの、と。】」
サチコ「まぁ、チョコレートは会話を広げるためのアイテムでしかないのよ。重要なのはチョコレートを渡した後の会話。そこで相手の懐にどれだけ潜り込めるか、がバレンタインデーって奴ヨ。まぁ、妹さん相手じゃそういうもんじゃないでしょうケドね。 >ジュリエ」
 きちんとフォローまでした後、サチコはキッチンの方へ行った。カフェの店員たちと何やら話があるようだ。
ジュリエ「……まぁ、頑張って、みるよ、兄としてね。【と。 厨房の方へ行ったサチコを見送って、から。】……さて、と。【 材料費、場所代等の分のポケをカウンターに置くと、たった、っと店の入り口へ向かっていく、】…一足先に失礼するよ、…それじゃあ、Good night。【ひらっ、と手を振ると、店の外へと歩き出していった。】」
アイグル「…さようなら… (あら、カラクリくんを気にしてたらもうそんな時間だったとは、ジュリエさんにご挨拶。 あ、飲み物注文しないと。)」
カラクリ「おつかれさんですジュリエさん。チョコ、うまくいくといいですねー(しっぽをゆらりと揺らして挨拶 んー・・・がう(近づいた鼻先に自分のはなつらもこつ、と当ててみる」
 幸せな空気の余韻を引き連れて、まず一人が店を後にした。

ブラスト「残念だなードン、お前はチョコを食べてはいけないってレナから聞いていてなー。それにもう時間だ。チョコは諦めな。」
ドン「は?フザけんn(ブツンと音が鳴ると腕が止まり声が消えた)」
 強制終了。
 スイッチを切られた身代わりがただの人形に戻るとブラストは自分の荷物だけを抱えた。
ブラスト「さて、俺も帰るぜー。お疲れ様っと。(レジに行き、何やら話しをするとサチコ達に挨拶し店を出た)」
 挨拶をすませて店を出て行く。あの、何か忘れてません?
カラクリ「あ、おつかれブラストさーん(横目で身代わりを気にしながら」
アイグル「…いかがでしょうか… (何がだろう、カラクリさんと鼻先をこつ、と交わし合い、間近から瞳を覗き込んだかと思えば、鼻先をすり、すりと頬辺りに寄せ始める。)」
カラクリ「いかが・・・というと、まぁ、ぎゃうー(もはやろくな回答をしていないが、そのままぐるーぅと喉を鳴らす。心地いいらしい」

サチコ「じゃあ、アタシもボチボチ帰ることにするワ。2時からサルサたちとモンハンするから粉塵とか落とし穴とか用意しないといけないから。」
 レッスン料をとりまとめ、店へ払う分を店員へ渡してきたらしい。話を終えて戻ってきたサチコは、来た時のようにボストンバッグをねんりきで浮かべ、引き連れて店を後にした。
 それにしても夜中の2時からゲームで遊ぶ約束らしい、実に元気だ。
カラクリ「あ、サチコさんさよならーぁ」
アイグル「…さようなら、今夜はありがとうございました… (ドンさんやサチコさんもお見送り、助かったよぅ。) …なるほど… (何が分かったのだろう、カラクリさんの様子に首を緩やかに傾げながらも、頬同士を押しつけ合うように大きな頭を擦りつけたり。 体格差が際立つ。)」

 アイグルとカラクリは注文した飲み物をお供にしばらくくつろいでから帰って行ったという。

 こうして、夜の料理教室は大きな事件もなく、無事に幕を下ろしたのだった。





 そして店には、ゴーグルを装着したドサイドンの身代わり人形が残された。

 もう動かないそれが誰の手でどこへ行ったのかは、誰も知らない。