眩しい光の柱が消え去った後、目が慣れるまでに少し時間がかかった。

 再び薄暗闇の中に戻された美南は、数歩先に見覚えのある袋が落ちているのに気づいた。拾い上げて中を見ると、確かに自分の物だった。
 空を見上げた。
 低めの木のぎりぎり上に、小さな満月が引っかかっている。
 振り返るとオレンジ色の余韻も消えかけ、一番星が夜の到来を告げていた。
――もう、こんな時間?……帰らないと。
 走り出そうとして急に気が変わり、よろけながら立ち止まった。
――そういえば。
 森の中に誰もいないことを確かめて、美南はため息をついた。
 ほっとしたのか残念に思ったのか、自分でも分からなかった。


 願わくは、彼の在るべき場所へ還らんことを。




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